「緊急事態条項」は日本会議結成時からの“悲願”

「緊急事態条項」は日本会議結成時からの“悲願”

 自民党憲法に盛り込もうとしている「緊急事態条項」は内閣が「緊急事態」を宣言することで国会と同様の立法権を内閣に持たせ基本的人権制約できるようにする危険なもので、ナチス・ドイツヒトラー時代に制定された「全権委任法」に匹敵するものです。
 
 「日本会議」の機関誌によると、同会議が結成された97年に日本会議国会議員懇談会のメンバーが橋本首相(当時)に「緊急事態における法制の整備」などを要望したことが分かりました。
 同会議はその後もシンポジウムなどで何度も要請して2012年に発表された自民党憲法改正草案」に盛り込まれました。
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「緊急事態条項」は結成時からの“悲願” 
 改憲右翼団体日本会議」97年、橋本内閣に要望書
しんぶん赤旗 2016年2月3日
 安倍晋三政権を強く後押ししている改憲右翼団体日本会議」が結成直後の1997年7月に、早くも当時の橋本龍太郎内閣に「緊急事態法制」の整備を求める要望書を提出していたことがわかりました。
 
日本会議」機関誌の『日本の息吹』97年8月号の記事によると、同会議の結成(同年5月)直後の7月14日、初代会長の塚本幸一氏(ワコール会長=当時、故人)ら同会議の幹部とともに、同会議と行動をともにする「日本会議国会議員懇談会」所属の国会議員が首相官邸を訪問。橋本首相(当時)に対し、「緊急事態における法制の整備」を筆頭に、▽学校教科書からの従軍慰安婦についての記述の削除▽首相の靖国神社参拝実現など5項目の「要望書」を手渡していました。
 同記事によると、塚本会長らは同会議結成後「初の首相会見」(約20分)として、橋本首相に直接、要望書を手渡しました。橋本首相は「その趣旨は十分理解している」と返答したといいます。
 
 その後、日本会議側は改憲に「緊急事態条項」を盛り込むようシンポジウムなどで何度も要請。2012年4月に発表された「自民党憲法改正草案」に「緊急事態条項」が盛り込まれました。
 
「緊急事態条項」は、外部からの攻撃や自然災害だけでなく、「内乱」などの口実でも内閣が「緊急事態」を宣言することで、国会と同様の立法権を内閣に持たせ、基本的人権まで制約できるようにする危険なもの。1933年にナチス・ドイツアドルフ・ヒトラー首相(当時)のもとで制定された「全権委任法」と同様、政権に対する憲法の制約を取り払う狙いがあります。