震源が南西に広がるのに鹿児島を映さないNHK(植草一秀ブログ)他
2016年4月19日火曜日
19- ネット右翼 と マスメディアの電力追随の異常
LITERAによれば、川内原発を止めなくていいのかという極めて当然の懸念・主張に対して、ナント「地震を政治利用するものだ」という批判があるのだそうです。一体なぜそんな発想になるのか? 徹頭徹尾理解不能の反応です。
今回の熊本地震は熊本県を通る中央構造線上で起きたもので、構造線に沿った南西端に鹿児島の川内原発があり、逆に中央構造線が四国側に抜けたところには愛媛県の伊方原発があります。従っていつ川内原発の近くで大地震が起きるかもしれない状況下にあるのに、漫然と原発を動かし続けることこそが異常です。
南西側というのはとりもなおさず川内原発の近辺を意味しているのですが、なぜかNHKなどのマスメディアはその先の鹿児島県は映さないようにしています。政府や電力会社が隠すのは勿論許されませんが、メディアがそれを報じないことはもっと許されないことです。
しかし、常に政府の顔色を伺っているNHKも、電力会社が何よりも大事な広告主である大新聞やTVも、わが身可愛さで報道を避けています。これが権力・権威からの独立度が世界で62番目といわれている日本の現実です。
LITERAと植草一秀の「知られざる真実」の記事を紹介します。
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LITERA 2016年4月17日
熊本大地震は、予想をはるかに上回る被害をもたらした。現時点(17日20時30分現在)で、死者41名、重軽傷者は1000名以上。さらに大規模な土砂崩れ、阿蘇大橋崩落、数々の道路崩壊、地割れ、新しい建物でも全壊や半壊が続出している
当然だろう。震源地の近くにある鹿児島県・川内原発は反対を押し切って再稼働したばかりで、地震対策の甘さが各方面から指摘されていた。今回の地震では異常は認められなかったが、もし、直下で同規模の地震が起きたら、深刻な事故が起きる可能性は決して低くない。
たとえば、地震発生後、川内原発の運転続行が決定されたことに対し、共産党の池内さおり衆院議員が〈川内原発今すぐ止めよ。正気の沙汰か!〉とツイートすると、一斉に「政治利用だ」批判が巻き起こり、〈おまえが一番正気じゃない〉〈被災地で電気が止まれば人命に関わるのがわからないのか〉などと大炎上。池内議員は一連のツイートを削除する事態に追い込まれた。
また、16日の『報道特集』(TBS)で、現地レポートをしたキャスターの金平茂紀氏が川内原発への不安を訴える住民の声を紹介し、このまま再稼働を続けていいのかと疑問を呈した際も、〈熊本の震災に便乗して自分達の主張をアピールする反原発派〉〈福一は地震でなくて、津波での電源喪失だよ。なんでもかんでも原発止めろかよ〉〈今、停止したら救助活動に支障が出ます。電気が不足したら、明らかに救助活動が低下します〉という非難ツイートが殺到した。
他にも、原発に不安を示したり、運転中止を求めるツイートなどに対しては、必ず〈自然災害まで反原発に利用するゲス〉〈今原発を止めたら大規模な電力不足でますます状況が悪化する〉という攻撃が加えられる状況になっている。
こうした攻撃を仕掛けている連中は、「原発を止めたら電気が足りなくなって救助できなくなる」といったありえない主張を平気で口にしていることからもわかるように、原発をどうしても運転させたい原発ムラの関係者と、頭の悪いネトウヨが中心だ。
しかし、なかには“善意”で「震災が起きている原発に触れることは政治利用」だと信じ込んでいる人たちもいる。
〈全員が一丸にならないといけない時期なのに、こういう意見は残念〉〈反原発の気持ちはわかるけど今はまず、この災害に立ち向かうべき〉
こういうことを言う人たちにこそ釘をさしておきたいのだが、原発はけっして「政治」や「イデオロギー」ではない。ひとたび近くで自然災害が起きれば、原発はすぐに国民の生命や地域の環境を脅かす。つまり、いま、目の前にある“現実の危機”なのだ。そのことは、5年前の東日本大震災のことを思い起こせば明らかだろう。
「中央構造線断層帯」というのは、九州の西南部から、四国を横断し紀伊半島、関東にまで延びる日本最大級の活断層だが、この中央構造線が九州、四国などでおおよそ2000年に1回動いており、マグニチュード8クラスの巨大地震を発生させていることが近年の研究で明らかになっている。
たしかに、一連の地震の震源は、14日の日奈久断層帯から16日の布田川断層帯、さらに阿蘇、大分と、まるで中央構造線の想定ラインに沿うように北東へと移動しており、次が四国の中央構造線上で起きる可能性は否定できない。
いずれにしても、日奈久、布田川断層帯の先や、さらにその延長線上にある中央構造線で大地震の危険性が高まっているのだが、実は、この中央構造線の南西の端には、鹿児島の川内原発があり、一方、中央構造線が四国側に抜けたところには、愛媛県の伊方原発があるのだ。
安倍首相は川内原発の再稼働をめぐって「世界一厳しい耐震基準をクリアした」ことを再三強調していたが、川内原発が再稼働にあわせて策定した基準地震動(想定される最大の揺れ)は620ガル。しかし、16日の地震では、益城町でその3倍に当たる1580ガルの加速度が測定されている。
また、伊方原発も、今年夏の3号機の再稼働に向けて耐震工事を実施したが、対応できる地震動は1000ガル。伊方原発付近では、M8〜M9の巨大地震の可能性があることを文科省の特別機関である地震調査研究推進本部も認めており、もしこの規模の地震が起きたら、とても耐えられる設計ではない。
ところが、ネット上にひそむ原発ムラ関係者やネトウ連中は、原発を再稼働するために、こうした懸念の声を「政治利用だ」と決めつけ、「みんなが一丸となっているときにそんなことをいうのは不謹慎だ」などという無茶苦茶な論理で批判を封じ込めようとする。
いや、ネット上だけではない。電力会社に巨額広告漬けにされているマスコミも同様だ。
たとえば、今日17日に放送されたフジテレビの『新報道2001』では、番組の最後にわざわざ、「今回の地震は稼働中の川内原発、停止中の玄海原発、伊方原発が近くにあり、その影響を心配する声も上がっていますが、東日本大震災以降、原子力規制委員会も新しい耐震基準を整備しています。デマに流されず、冷静に公開された情報を受け止めてください」などと、わざわざ原発への不安の声をかき消すアナウンスをする始末だった。
そして、こうした声に引きずられるかたちで、一般のネットユーザーまでが「政治利用はよくない」「いまは原発のことを言うべきときじゃない」などと言い始め、原発の危険性の議論そのものがタブーになってしまっている。
しかし、5年前の東日本大震災を思い出してほしい。福島第一原発事故が進行しているあの最中にも、ネット上では同様に、懸念と不安の声を嘲笑い、「反原発の連中が不安を煽っている」と原発危機の現実から目をそらせようと動いている連中が大量にいた。
しかし、実際には、故・吉田昌郎所長の調書が示していたように、福一の危機は我々が考えている以上に進行しており、吉田所長が「東日本壊滅を覚悟する」ところまで深刻化していたのである。
震源が南西に広がるのに鹿児島を映さないNHK
植草一秀の「知られざる真実」 2016年4月17日
NHKは2011年3月12日正午頃のニュース放送で次のように放送した。
「そして、原子力発電所に関する情報です。
えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機では、原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、核燃料棒を束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態になったということです。
このため消火用に貯めていた水など、およそ2万7000リットルを仮設のポンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。
この情報を繰り返します」
この原稿を読み上げたあと、約7秒間の沈黙があった。
すると、アナウンサーの横から「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」という声が入った。
するとアナウンサーは、最初の原稿を繰り返し読み上げるのをやめて、
「改めて原発に関する情報です。
福島県にある福島第一原子力発電所の一号機では、原子炉が入った格納容器の圧力が高まっているため、東京電力が容器内の空気を外部に放出するベントの作業を始めましたが、格納容器のすぐ近くにある弁を開く現場の放射線が強いことから、作業をいったん中断し、今後の対応を検討しています。」
と別の原稿を読み上げたのである。
報道してしまってから、「いまの原稿使っちゃいけないんだって」の声が入り、事実を隠蔽した。
これがNHKの正体である。
本ブログ、メルマガでは、最初の地震が発生した翌日である4月15日午前10時の記事に、1596年に発生した 慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震 について記述するとともに、地震の連鎖、広がりについて警告を発した。
NHKは震源地の地図を示す際に、鹿児島県が表示されないようにしている。
(以下は有料ブログのため非公開)
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