「先住民の聖地」に対する日本とオーストラリアの違い

「先住民の聖地」に対する彼我の差…

みなさん、このニュース、聞きはりましたか?
エアーズロック、2年後登山禁止へ 一帯が先住民の聖地(朝日:2017年11月1日)

 オーストラリア中部の世界遺産地区にある巨岩「ウルル(エアーズロック)」に登ることを禁止します――。豪州の先住民の人たちなどでつくる「ウルル・カタジュタ国立公園」の運営協議会が1日、こんな決定をした。一帯が先住民の聖地であることが理由で「ウルルはディズニーランドのようなテーマパークではありません」としている

 禁止の開始は、観光業者らへの影響も考慮して、2年後の2019年10月26日からとした。10月26日は、豪政府が1985年にこの土地一帯を所有者が先住民たちであることを認め、「返還」した記念日。その後、一帯を先住民たちが国立公園にリースして訪問者を受け入れている。

 ウルルは高さ348メートル、周囲が9・4キロにもなる巨岩。以前から、先住民たちが登らないように求めていたこともあり、近年は、年間約25万人の訪問者のうち、実際に登るのは2割ほどにとどまっていた。

オーストラリアはその昔(…と言っても、それは1973年まで続いてた最近のことでもあったけど)

白豪主義」を唱えて、オーストラリアは白人しか受け入れへんぞ…とか

先住民を排除しつつ、先住民の文化や伝統を省みずに

先住民の子供たちを強制的に白人家庭や寄宿舎に連れて行く…なんていう、

それはもう、べらぼうなことをしてきた国…ではあったんだけど

その後、そのべらぼうな方針を転換して反省してる…らしいことは

この短い記事を読んでもわかります


例えば、「豪政府が1985年にこの土地一帯を所有者が先住民たちであることを認め、「返還」した」…

というのは、遅きに失した…とはいえ、先住民の権利を認めたもの…であるし

先住民の人たちを「ウルル・カタジュタ国立公園」の運営協議会に参加させている…というのもそうだし

さらには、その先住民たちの「聖地に対する意向」を優先してこのたびの決定と相成った…

ということは、現在のオーストラリア政府の反省を物語るものでありましょう


そう、先住民の「聖地」は「テーマパーク」ではない…

いくら「観光資源」として有名になったから…といっても

先住民の「聖地に対する思い」を無視することはできない…

ということを、「当たり前やん、そんなこと…」と思う人もいるだろうし

はたまた、「そうは言っても、(中央政府が)なかなかそこまでできるもんじゃない…」と思う人もいるでしょう


けど、「そんなこと(=先住民の意向を優先することなんか)、する必要ないじゃん…」と思う人は

さすがに、なかなかいない…とは思いますが

日本の政府は、過去に、そういう立場に立って、北海道の先住民たるアイヌの聖地をダムで水没させた…

という、べらぼうなことをしたことがあって(→詳しくは『二風谷ダム』参照)

ここでぼくは、いまだに先住民迫害の「過去の反省」も疎かにしている、日本政府のことを考えずにはいられないのであります