韓国報復制裁 安倍首相と取り巻きたちの“狂気の暴走”

韓国に報復制裁発動 安倍政権の狂気の暴走

 日本政府は韓国に対して1日、スマートフォンやテレビに使われる半導体材料3品目で輸出規制を強化すると発表しました。安全保障上の脅威となる電子部品の輸出でも、規制が緩和されている「ホワイト国」から韓国を外す方針で、さっそく政令改正の手続きに入ったということです。
 輸出規制強化の対象は、半導体の洗浄に使う「フッ化水素」やスマホの画面などに使用する「フッ化ポリイミド」、半導体の基板に塗る感光剤の「レジスト」の3品目です。
フッ化水素」などはそれ自体はありふれた化学品なのですが、半導体エッジングや洗浄に用いる場合には、半導体を汚染しないために極限まで純度を高める必要があるので、日本以外からは容易に入手できません。韓国の電機産業の生産に重大な影響を与えるのは必至です。韓国は液晶は勿論、半導体も世界における有力な供給源なので、日本や世界に大きな影響を及ぼすことにもなります。
 

 政府は否定していますが、これが元徴用工問題で関係が悪化している韓国に対する制裁であることは明らかで、それはG20大阪サミットで、安倍首相が「自由で公正な貿易」と宣言した精神に反するものです。わずか2日後に議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出るのでは国際社会も決して納得しません。
 
 日本政府は1965年に結ばれた日韓条約によって賠償請求権は解消されているという立場ですが、個人の請求(訴訟)権までは消失していないというのが、当時からの日韓両政府の見解でした。
 元徴用工の賠償請求訴訟で韓国の裁判所が賠償を命じる判決を下すのはその意味でも正当なことです。そもそも三権分立は民主国家の大原則で、それを韓国政府が抑制するようにという日本の要求は筋が通りません。訴訟で闘うしかありません。
 対象の日本企業がそれによって本当に苦衷に陥っているのであれば、国策の結果であるとして、国が何らかの方途を探る余地もあるのではないでしょうか。政権発足後海外に50兆円とも60兆円ともいわれる大金をバラ撒いてきた政府に出来ない筈がありません。
 
 日刊ゲンダイが「韓国報復制裁 安倍首相と取り巻きたちの“狂気の暴走”」のタイトルで取り上げました。
 冒頭で「そこまでやるか」としてます。
 嫌韓”でのし上がってきた政治家と言ってもいい安倍氏がこのタイミングで対韓制裁カードを切ったのは、4日の参院選公示を目前にした支持者向けのポイント稼ぎ、という思惑もあるのだろうとも述べています。正にトランプ氏と瓜二つの発想ですが、トランプ氏と違うのは日本には何のメリットもなくて、韓国への「致命的な」意地悪を意図している点です。
 
 いずれにせよ隣国に対する理解しがたい暴挙です。

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韓国報復制裁 安倍首相と取り巻きたちの“狂気の暴走”
日刊ゲンダイ 2019/07/02
阿修羅文字起こしより転載

 そこまでやるか、である。
 元徴用工問題で関係が悪化する韓国に対し、日本政府は“経済制裁”を科す。経産省は1日、スマートフォンやテレビに使われる半導体材料3品目で対韓輸出規制を強化すると発表。安全保障上の脅威となる電子部品の輸出でも、規制が緩和されている「ホワイト国」から韓国を外す方針で、さっそく政令改正の手続きに入った。
 3品目の中には日本企業が世界シェアの9割を占める部品もあり、韓国の電機産業の生産に影響を与えるのは必至だ。
 西村官房副長官は「適切な輸出管理制度の運用を目的としたもので、対抗措置ではない」と強弁。その一方で、「韓国との信頼関係の下で輸出管理に取り組むことが困難になっている」と、相手に非があると言わんばかりのことを口にしたから、元徴用工問題が進展しないことが背景にあるのは間違いない。
 
 韓国はすぐさま反発し、「自由貿易の精神に反する」として世界貿易機関WTO)提訴を含めた必要な措置を講じると表明した。
 G20大阪サミットで、安倍首相が「自由で公正な貿易」を宣言してからわずか2日。その議長国が自由貿易を完全否定するような暴挙に出るというのだから、国際社会は唖然だろう。
 G20は昨年のブエノスアイレス・サミット以来、「アメリカファースト」のトランプ米大統領に振り回され、「反保護主義」の文言を首脳宣言に入れられないできた。
 そんな苦境に安倍は、「国際社会においては、対立が強調されがちですが、日本は議長として、意見の違いよりも一致点や共通点を見いだしていきたい」と決意表明していた。対立より協調で乗り越える、のではなかったのか。 
 

「国交断絶」の声まで上がる異様
 韓国は例外ということなのだろう。安倍はG20でも文在寅大統領と挨拶こそ交わしたものの、かたくなに会談を避けた。文在寅が「いつでも対話のドアは開かれている」とメディアのインタビューで秋波を送っても、立ち話すら拒絶したのだ。
 その結果、電撃的に実現した3度目の米朝首脳会談では、安倍は蚊帳の外。板門店米朝韓のトップが揃って談笑するのを、テレビで見て青ざめるだけだった。盟友のはずのトランプからも事前情報ナシなのだから、惨めで赤っ恥だが、韓国への制裁はそれに対する腹いせもあるのか。
 
 拉致問題での協力だけでなく日本外交の行く末を真剣に考えれば、国際社会から顰蹙を買う感情的な制裁なんてマトモじゃないことは分かるはずだし、誰かがストップをかけてもおかしくない。だが、官邸主導の独裁政治に染まった自民党と恐怖人事で牛耳られた霞が関では、誰も何も言わない。
 むしろ、韓国政府が三権分立を理由に動かないことに苛立つ安倍自民の強硬派からは、数カ月前から党内の部会で、駐韓大使の召還や韓国人に対する就労ビザの制限などを求める声が強まっていた。そこでは「国交断絶を含めて検討すべき」の声まで上がる、まさにアベ様カルト的な様相。おそらく「韓国なんかやっちまえ」という気分なのだろう。異様で狂った状態なのだ。
 

 高千穂大教授の五野井郁夫国際政治学)がこう言う。
米朝会談で融和ムードとはいえ、後ろに中国やロシアがいる北朝鮮をめぐる東アジア情勢は、まだ目が離せません。そんな中で米国とともに同じ自由主義陣営にいる韓国の足を引っ張ってどうするのか。拉致問題でも韓国は北朝鮮との仲介役になり得るのにネトウヨのような感情論で“仕返し”をするとは。日本はいつからそんな恥ずかしい国になってしまったのでしょうか。一方で、北朝鮮の脅威が減退し、日本が強く出られる相手がいなくなってしまった現状が、韓国への強硬姿勢を強める結果になっている側面もあると思います。韓国ならしっぺ返しを食らわない、と下に見る帝国主義的な発想がいまだ残っているのです
 
 G20のために来日したEUのトゥスク大統領は、大阪での会議の前に被爆地・長崎を訪問し、G20に参加する世界のリーダーに向けてこう演説した。
国際社会は、強い者が容赦なく自らの都合を弱い者に押しつける場所であってはならない。また利己主義が連帯を上回る、また国家主義的な感情が常識を上回る場所であってはなりません。自らの利益だけではなく、何よりも平和で安全かつ公正な国際秩序に対して責任を負っていることを理解しなければならないのです
 安倍の耳にはまったく届いていない。
 
嫌韓でのし上がった安倍とそれを支えるウルトラ右翼 
 このタイミングで安倍が韓国への制裁カードを切ったのは、4日の参院選公示を目前にした支持者向けのポイント稼ぎ、という思惑もあるのだろう。
 公約の1番目に「外交のアベ」を掲げたのに、ロシアのプーチン大統領との北方領土交渉は1ミリも進まず、北朝鮮金正恩委員長との対話は無条件とへりくだったのに相手にされず、G20も主役を米中に奪われ、いいとこナシ。ただの外交オンチがバレたことを払拭するため、別の材料として持ち出してきたのが韓国への強硬策だ。
 振り返ってみれば、安倍という政治家は“嫌韓”でのし上がってきたと言ってもいい。歴史教科書の自虐史観東京裁判史観に反対し、先の戦争を正当化する歴史修正主義者でもある。従軍慰安婦問題については、「強制連行はなかった」と発言したこともある。安倍は2期目の衆院議員だった1997年に自民党の同僚と「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会(教科書議連)」を設立、事務局長になってもいる。
 
 日韓関係がここまでこじれたのも、慰安婦問題に決着がついたはずの「河野談話」や植民地支配と侵略を謝罪した「村山談話」を安倍が見直そうとしたからだ。
 その裏にあるのが不気味な安倍シンパの日本会議の存在。設立趣意書には<東京裁判史観の蔓延は、諸外国への卑屈な謝罪外交を招き、次代を担う青少年の国への誇りと自信を喪失させている>とある。そして、従軍慰安婦問題をめぐる日本国内の論争を取り上げた話題のドキュメンタリー映画「主戦場」で、日本会議的な言説を振りかざしたような極右論陣が、安倍を支えてもいるのである。おぞましい、としか言いようがない。
 
トランプの真似では国際社会で孤立
 安倍はこうした国家主義的なウルトラ右翼にたきつけられ、彼らが喜ぶように動くことで、自らの支持基盤を強固にしてきた。その延長線上に、今回の韓国への制裁がある。だが、そんな高圧的な行動は、国際社会では蔑まれることはあれ、支持されることはない。
 
 政治評論家の森田実が言う。
「圧力をかけて脅せば譲歩するだろうというやり方は、まさにトランプ大統領の真似です。他国を威嚇するなんて、平和憲法のある日本が一番やってはいけない愚かなこと。韓国はWTOに提訴すると言っています。引き下がらないでしょう。韓国が福島などの水産物輸入を禁止していることを不服として日本がWTOに訴えた一件は、今年4月、日本の逆転敗訴となっています。今回も日本が恥をかくことになるのではないか」
 
 いよいよ、手がつけられなくなった狂乱首相一派を、これ以上暴走させ、のさばらせたら、日本は国際社会から孤立する参院選で安倍を引きずり降ろす以外に、亡国への道を逃れるすべはない。