25%の支持で絶対的権力を握っていいのか?

25%の支持で絶対的権力を握っていいのかと

 メディアが報じた参院選序盤の情勢では、与党の自公が優位に選挙戦を展開しているということで、このままでは参院選を経ても現状が維持されるということでは何ともやり切れません。
 これについて植草一秀氏は6日のブログ「選挙結果は投票率に比例して激変する」で、「たしかに選挙の投票率が5割程度にとどまる場合、自公は多数議席を確保することになるだろうが、選挙結果は投票率に連動するので、投票率が大幅に上昇すれば自公の獲得議席数は激減することになる。現在の安倍政治に反対する主権者の投票行動を、どう促すのかが焦点になる」と述べました。
 
 植草氏は引き続き8日に、「三だけ教信者による日本私物化を阻止しよう」とするブログを出しました。
三だけ教信者」というのは珍しい表現ですが、「今だけ、金だけ、自分だけ」を信条とする人たちのことで、主権者の25%を占める安倍内閣による「利権互助会の人々」を指しています。要するに自公政権の支持者ということで、25%というのはこれまでの国政選挙での実績:自民党の支持票の全有権者数比17%と同じく公明党支持票の全有権者数比8%を合計したものです。
 有権者の17%乃至は公明党を合わせた25%の支持によって、国会議員の3分の2が占められ、それによって日本(の政治)が私物化されているというのが植草氏の論理です。
 
 そして残る75%の主権者は蹶起して、25%の「三だけ教信者」による日本私物化にブレーキをかけねばならないと訴えています。これは今回だけではなく植草氏が繰り返し訴えてきたものです。
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三だけ教信者による日本私物化を阻止しよう
植草一秀の「知られざる真実」 2019年7月 8日

参院選公示後初めての日曜となった7月7日、安倍首相は東京で街宣を行った。
安倍首相は反安倍政治の主権者が街宣場所に来訪するのを恐れて街宣日程を隠ぺいしている。
しかし、自民党関係者には事前に街宣場所の告知があり、情報は事前に漏れる。
ツイッター上では、「#会いに行ける国難」のハッシュタグで安倍首相街宣が拡散されており、逆に安倍首相街宣が短時間で急拡散される状況が生じている。
 
7月7日の中野での街宣では、安倍首相を批判する主権者が参集したが、自民党関係者が大きなプラカードなどを用いて、安倍首相批判者の批判プラカードが安倍首相の視界に入らぬようガードする対応が示された。
主権者の声に耳を傾け、堂々と自分の主張を開陳することすらできぬ器の小さな人物が首相の地位にある。日本の悲しい現実である。
 

選挙情勢が報道されているが、基本的には投票行動に影響を与えるための「情報工作」である。
主権者の25%が安倍自公内閣による利権互助会の人々である。
「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ教」の信者で、この人々は雨が降ろうが嵐が来ようが投票所に足を運んで投票する。投票率が下がると、この25%の人々の相対的比率が上昇する。

最近の国政選挙では投票率が5割強に低迷し、そのために、25%の三だけ教信者ウェイトが高まり、安倍自公が国会議席の7割を占有するという状況が生み出されてきた。
 
しかし、安倍政治の実績は悲惨なものである。
「外交の安倍」も「アベノミクス」も、言うのは自由だが、優良な現実が伴っていないから悲喜劇でしかない。
大阪でG20首脳会議が行われたが成果はゼロどころか大幅マイナスだった。
 
日米関係はどうか。
安倍首相は「日米間の同盟関係はこれほど強力だったことはない」と繰り返すがトランプ大統領日米安保条約についてどう述べたのか。
トランプ大統領はG20大阪サミット後の記者会見で、「日本が攻撃されたら米国は日本のために戦わなくてはならないが、米国が攻撃されても日本は戦わなくてもいい。不公平だ」と述べた。
日米安保条約について不公平と米国大統領が述べているのに「日米間の同盟関係はこれほど強力だったことはない」と発言するのは異常である心神耗弱状態にあるとの疑いさえ生じる。
 
日朝関係はどうか。
安倍首相は拉致問題について、「政権の最重要問題」としているのではないのか。
カギを握るのは米朝関係である。
その米朝関係において最重要変化が生じた。第3回米朝首脳会談が実現したのだ。
第3回米朝首脳会談が実現したのはG20大阪会合の直後だ。しかし、安倍首相は完全に蚊帳の外に置かれた。
韓国の文在寅大統領がトランプ大統領板門店までエスコートし、ここで米朝首脳会談が実現した。安倍首相はトランプ大統領と歓談しながら、何の情報も得ていなかった。
 
韓国の文大統領とは首脳会談を開催する機会があったが、安倍首相がこの貴重な機会をみずから潰した。拉致問題を解決する意欲を持ち合わせていないのだと思われる。
韓国との間に問題があるなら、積極的にコミュニケーションを図ることが問題解決への王道だ。偏狭な姿勢で会談さえ拒むなら問題はこじれるばかりである。あまりにも幼稚な対応で目も当てられない。
 
日露関係はどうなったか。
昨年11月に安倍首相はシンガポールでの日露首脳会談を終えて、「平和条約交渉を加速させることでプーチン氏と合意した」と発言した。
安倍首相は「加速」という日本語の意味を理解しているのだろうか。
四島」の要求を一方的に「二島」に引き下げて、しかも、成果ゼロというのは完全な失敗外交である。
 
トランプ大統領が来日して、ゴルフ、相撲、炉端焼きと、接待の限りを尽くして得るものはゼロ、失うものは無限大というのが安倍外交の実情である。
イランへの訪問は恥をかきに行ったようなものだった。

75%の主権者は蹶起して、25%の「三だけ教信者」による日本私物化にブレーキをかけねばならない。