20110823 吉田照美ソコダイジナトコ(その2)

20110823 吉田照美ソコダイジナトコ
「週刊エンター」3 小出裕章
 
京都大学原子炉実験所の小出裕章助教のお話しの続きのご紹介をさせていただきます
放射能汚染が心配される今後の日本についてうかがいました



吉田:
今後、福島のみならず日本全体で言うとどの程度の所まで、
もう、日本全域なんですか?これ。
一番最悪の事態を考えた時には、もう、日本全体が危ないという事になるんですか?

小出:
放射能に被ばくするという事はどんなに微量でも危険なんです
ですから、福島原子力発電所から噴き出して来た放射能は、もうすでに世界中に汚染を広げている。地球の裏側のような所に行っても、
これが「あの日、福島の原子炉から噴き出して来たんだよ」という事がわかるように世界中にも広がっているわけです
ですから、日本だって、沖縄にだって放射能は飛んでいってるし、
北海道だって飛んでいってる。大阪だって飛んできている。訳ですね。
そういう意味ではもう、全てこれから生きる人達は
福島の原子力発電所から飛んで来た放射能からは逃れられないのです
ただし、もちろん汚染の濃淡があります。
福島県内の汚染は猛烈ですし、茨城県宮城県そして、千葉県、埼玉県、ま、東京もそうですし、ホットスポット的に汚れているという所は沢山あるんですね。
神奈川だって静岡だってお茶から恒久濃度を超える放射能が見つかるほど汚染している訳です
そういう所から、これから沢山汚染したというか、高度に汚染した食べ物が出回ってくる。そしてそれは全て検査される訳ではないので、分からないまま皆さんの食卓に上るという事になる訳です

吉田:
そうですね
でも先生はどうなんですか?希望は正直持ってらっしゃるんですか?
そこも伺いたいんですけれど

小出:
わたしは、原子力を一刻も早く廃絶したいと願いながら
原子力を廃絶させられないで・・事故を起こさせてしまった・・防げなかった・・一人の責任者でもあるので

吉田:
そういう事をおっしゃると言うのが本当にお人柄だと思うんですけれども

小出:
とても残念だけれども、私は非力だった訳ですね。
ですからその非力な私が、これから本当に希望が持てるかというと
正直に言えば、あんまり希望は持てないのです
ただし、絶望してしまったら、その時が最後の負けだと思いますので、絶望はしたくないし、せめて、この事故を引き起こしてしまった責任をどうやって取れるかといえば「子どもを守りたい」というそこで、その1点で私のやるべき事はあるだろうと思っているのです

吉田:
わかりました。
僕らも出来る限りの事はやっぱりね、もう、この歳になったら、
最後は少しでも「人のためになる事をやらなければいけない」と思うのが人間だと思うんだけど、最後まで、「自分のため」ばっかりという人があまりにも多すぎるのがね。非常に残念だなと思っているところなんです。
また是非、今後もよろしくお願いいたします
今日はどうもありがとうございました

小出:ありがとうございました