岩手・宮城の津波瓦礫は全て集め、山積み処分して津波記念公園に整備を(その1)

岡山博 仙台赤十字病院呼吸器科医師、東北大学臨床教授 のブログより

放射線を含む瓦礫処理について、非常に的を得た主張をされています。
厚労省は「がれきには危険な放射能が含まれてる可能性がある」と言って、現地での焼却炉建設を認めない一方で、他府県には、「焼却は問題なし」と言って拡散処理させる・・・政府の矛盾
*この矛盾をついて、放射能を含む瓦礫は焼却させてはいけないし、管理の点からも瓦礫拡散は国際的にも違法・・ また、津波瓦礫は遺品でもある。という観点から、利権狙いの広域処理ではなく、1カ所に集めて山積みし、震災の記念公園を作ったらどうかと提案されています。
*瓦礫処分にかかる膨大な費用を地元処理に回すことで、安全で、利権や税金の無駄遣いもなく、雇用を促進させることにもつながる。山積みするだけなので復興のための時間もスピーディに・・。
*最後に<社会と人とのあり方><全国の方へ>は社会や私たちのあり方、瓦礫拡散反対をするにもどんな態度でしているか?を問う、心に留めておいてほしい内容です。
少し長いのですが、読みやすい文章で、非常に説得力がありますので、ぜひ最後までお読みください。

津波瓦礫は全て山積み処分し公園に整備を。津波瓦礫の合理的処分法
岩手・宮城の津波瓦礫は全て集め、
   山積み処分して津波記念公園に整備を
  
               
津波瓦礫の合理的処分法
 要約
津波瓦礫の焼却や広域処分は、瓦礫処分を早めることにならない
  やれば莫大な費用と時間を浪費し、復興を妨げる。
 
・ 莫大な費用をかけて他の地方に運んで処分する合理的理由は無い。
広域処分は莫大な浪費だ。瓦礫は全量地元で処分し、貴重な税金は浪費せずに、直接、被災者と被災地の為に使うべきだ。
 
・ 岩手、宮城の津波瓦礫は遺品として扱い全て集めて仙台平野の海岸に山積み処分し、大古墳のように整備して、慰霊と津波記念の大公園にするのがよい
・ 岩手や宮城の海底や海岸にある津波瓦礫の放射能は低いので放射能処理施設で管理しなくてもよいが焼却や拡散してはいけない。
 
焼却や広域処分は費用と時間を浪費するかえって放射能処理を妨げる。汚染を拡大する可能性がある。
 
山積み処分が最も、早く、経済的で安全な合理的処分法だ。
                        (3月30日修正)
            
 はじめに 岩手、宮城県津波瓦礫処分について考え方の整理と私の考えを述べる。

          <津波瓦礫の現状>
宮城、岩手県津波瓦礫は2000万トン。
焼却、埋め立て、建設・土木資材として再利用、他地方へ輸送して焼却等の広域処分などの方針で進められている。
1年かけて、処理されたのはわずか6%。

          <瓦礫処分遅れの理由>
・広域処理の目標は、岩手県で全瓦礫のわずか15%弱、宮城で23%だけだ。
・岩手で瓦礫処理まで20年、宮城で10年の試算がある。
・もし広域処理が瓦礫全体の80%なら、広域処分のスピードを上げれば、被災地の瓦礫処分は早まる。
・しかし計画でさえ全体のわずか15%の広域処分ではその半分が達成されても20年が18年半、10年が9年3ヶ月とわずかに短縮されるだけで、現実の瓦礫処理を早めない。
岩手、宮城瓦礫の20%だけの広域処分を早めても被災地の瓦礫処分に役立たたず、広域処分は無意実だ。

被災地の瓦礫処分を早めるには、地元での処分を早めるべきだ。
・瓦礫処分遅れは、地元処分の遅れが原因だ。
地元処分方針のまずさと政府に熱意無いことが地元処分遅れの原因だ。

厚労省現地での焼却炉建設を認めない
・理由は「がれきには危険な放射能が含まれてる可能性がある詳細な検討が必要」と。
一方で全国には、焼却は問題ないと拡散させて処させる
 
岩手県岩泉町長:「もともと使ってない土地がたくさんあるのに、どうして急いで瓦礫を全国に拡散するのか?10年、20年と時間をかけて処理した方が雇用確保し、地元に金も落ちる。」
南相馬市長:「がれきは復興の貴重な財産。護岸工事に使いたいが不足しているので宮城から運んできたいと相談したら、放射線量が不明だから動かせないといったのは官僚」。
岩手県担当者:「県内に処理施設を増設するなどし、その費用が補助金で賄われ、自前処理ができれば理想的です」
国は地元には「線量が不明だから動かせない」と言い、一方で他の地方には「瓦礫処理で汚染の心配はない」と言う。
・「国が言った」というのは「官僚が仕切って言った」ということだ。

         <広域処分はすべきでない>
・広域処理は運送費など莫大な経費と時間の浪費と放射能の拡散になる。
・各地に分散するのは除染と逆の行為で、してはいけない国際的合意だ。
・元々、広域処理の合理的必要性は無い。

各地で瓦礫受け入れが進んでいないことが、瓦礫処理と被災地復興の妨げになっているという政府発表や報道が続いている。偽りである
・政府の方針でも域外処分予定は20%で80%は地元処理である。
・地元処理が進んでいないことが瓦礫処理が進まない原因だ。

・20%の域外処理は元来不要だが、問題をすり替えて国民を偽る政府と、批判せずに政府広報的なことしか伝えない報道は、きちんと事実を知らせずに、世論誘導をしている
政府に不都合なことも十分報道して、国民の議論と同意、良識に基づく、健全な復興復旧事業にすべきだ。

         <焼却処分はすべきではない>
津波瓦礫の放射能は低レベルだが、全体量が多いので拡散すべきではない
放射線の確率的発癌作用は、千人に1人癌死させる放射能量は、1万人で分けても10万人で分けても1人が癌死する・個人の発癌確立は減るが全体では変わらない。
低濃度だからと放射能拡散の総量を増やすと社会全体で癌死はかえって増えるから、放射能を希釈して広げてはいけないという考えで、日本や殆どの国の法律が作られている。
放射能は食品や大気中に希釈して汚染範囲を拡大してはいけないというのは放射能管理の常識・関係者の合意事項、国際的にも合意事項だ。
煙の放射能を完全に回収できない焼却施設で燃やすと、大気中に放射能を再拡散する。
煙の中の放射能がどの焼却場も十分回収するのか、これまで住民や国民を何度も欺いてきた政府の「きちんとやるから安全」という説明が基準どおり実行する保証になるか疑問だ。
焼却しても、放射能は減らないので、回収した煙と燃え残り灰に全て残る。
回収した煙と残り灰の重さは焼却前より少なくなるが、放射能は減らないので、kgあたりの放射能は高くなり、かえって処理を困難にする。
高濃度になった回収煙と残り灰の処分法、処分場を政府は決めていない。
最終処分の方法と場所を決めない放射能処分はありえない
・これだけでも、焼却処分をしてはいけない強い理由だ。
放射線管理の常識と国際合意に反している。

        
       <埋め立て素材などとしての再利用>
農地や海への埋め立てに使うと汚染や土質悪化をおこすので、すべきでない
・十分低レベルのものは土木資材として使うことは可能だ。
・しかし、本当に放射能レベルが低いか、測定や規制が公正かということについて繰り返し国民を欺いてきた政府の悪い実績が多く、今も続いているので、広く社会的に自由で健全な議論や検討をせずには再利用すべきではない
・現実は、更に、自由で健全な議論を抑圧する、自由な発言がしにくい社会に誘導された。
・土木・建設素材として再利用することに反対する人を、「復興を邪魔する特殊な、社会から無視されるべき人だ」と、土木素材に再利用させないことが復興を邪魔する異常な人であるかのような、異論を侮辱排除する世論誘導が実際に行われている。
再利用するとしても、瓦礫の全体量から見ればきわめて少ないので、処分計画に影響を与える量にはならない。
・したがって、瓦礫再利用によって瓦礫処分が早まる、あるいは、再利用を有効な瓦礫対策の1つとして考えるべきではない。
・瓦礫を再利用する場合は、再利用することが直接事業に役立つ場合に限るべきだ。
・事業に直接利益が無ければ、瓦礫を再利用させるために公的補助金が上乗せされて始めて実行される。

            <浪費>
補助金を出す側と受け取る側に不健全な関係を生じ、税金が浪費されてきた。
行政と業界の不健全な関係は、瓦礫処理に無効なだけでなく、社会の健全さと合理性を蝕み、利権は社会の健全性を阻害し国民の財産を消耗させる。
浪費や利権に費やす費用は全て納税者から集める税金だ
・広域処分や焼却、再利用を行うための補助金は、貴重な税金の浪費になり、被災者と被災地の回復・復興を妨げる。
利権は真の復興を妨げる。
・浪費をやめて被災者と被災地の為に直接使うべきだ。
「東京都に搬入瓦礫の焼却をする処分業者は、東京臨海リサイクルパワー株式会社;東京電力 のグループ企業社。ここでも税金から200億円が東電に入る仕組みだ。

 その2 に続きます。