たねまきジャーナル6月28日小出先生のお話(1号機 毎時10シーベルト あり得る。石棺で封じ込めなければならない可能性も)

▼20120628 たね蒔きジャーナル 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章

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書き起こしはざまあみやがれい様よりhttp://blog.livedoor.jp/amenohimoharenohimo/archives/65812655.html
 
千葉「…では早速なんですが。まず、東京電力が昨日、福島第一原発1号機の原子炉建屋地下の、放射線量が、毎時最大10.3シーベルトだったと発表しました。」
千葉「え…それについて、え…リスナーの方から質問がきております。ラジオネームかるかんさんという方で、神奈川県にお住まいの方です。え、福島第1原発1号機の地下で毎時10.3シーベルトが観測されたそうです。メルトダウンしたのだからそうだろうなあと思うのですが。小出さんは、この数値どのようにお考えになりますか。という質問なんですが」
小出「はい、まぁ、今ご質問くださったかたの、おっしゃるとおりで。すでに炉心が溶け落ちてしまっているわけですから。え…その、その程度の値は充分、出ますし。多分もっともっと高いところもあると思います」
千葉「あの、改めてお伺いしますけど10.3シーベルトというのは、ミリシーベルトに直すと、1万300ミリシーベルト
小出「はい」
千葉「…ということは、これを人間が浴びたらどうなるんでしょうか?」
小出「ええと、1時間あたりの被曝量になってるわけですが。人間というのは8シーベルト被曝をしますと全員死んでしまいます。ですからその場所にもしまあ、1時間…まあ1時間弱いれば、すべての人は死ぬという、それほどの被曝量になります
千葉「はあ…。あの、この量というのは法律が一般の人が1年間に浴びる限度としてる1ミリシーベルトの」
小出「はい。1万倍ですね
千葉「……。それだけ高い数値が出たということ…なんですけれども」
小出「はい」
千葉「この数値はですね、トーラス室というところで計測されたということなんですが。ここどんな場所なんでしょうか」
小出「え…格納容器というものは、ドライウェルという…理科のフラスコのような形をしているものと、え…サプレッションチェンバーと私達が呼んでいるドーナツのようなもの、トーラスと呼ぶときもあるのですが。その2つがつながった状態で格納容器というものを構成している、のです。」
千葉「はい」
小出「それでトーラス室というのは、そのドーナツ状のトーラス、あるいはまあサプレッションチェンバーと呼んでいるものが、格納されている、まあ地下室です。」
千葉「ふーん。あの…その場所…に、まあ、これから入らなきゃいけないっていうようなことも、出てくるかと思うんです、が」
小出「はい」
千葉「あの、このままではとても無理…ですよね」?
小出「とても無理です」
千葉「で、この数値というのは将来、下がるんでしょうか?」
小出「えー、基本的に下がりません。」
千葉「と言うことは」
小出「はい」
千葉「これから何年たっても何十年たっても何百年たっても、この場所に人が近づいて廃炉作業…というのは、出来ないということですか?
小出「人間が行くことは多分出来ないと思います
千葉「はあ……。となると、将来ロボットかなにか開発して、」
小出「はい」
千葉「近づかないようにして、え…その、廃炉作業を進めていかないといけないということですか?
小出「はい。もう、たいへん難しい作業になると思いますし。作業自身…の断念しなければいけない可能性も高いと思います」
千葉「はあ…。断念するということになると、そのまんま…」
小出「はい。まあそのままチェルノブイリ原子力発電所の事故の時にやったように、え…トーラス室を含めて原子炉建屋全体を、石棺という形で封じ込めるということに、なる可能性があると思います」
千葉「はあ…今回こういう高い値が出たんですけど、これはあの、ある局部だけ出たというよりはもう、そのあたり一帯は、同じような値と考えたほうが、いいんですか?」
小出「むしろ、もっと別のところに行けば、もっと高いところがあると私は思います
千葉「うーん」
小出「たまたまその場所がその値だったというだけで。まぁ、若干低いところもあるでしょうけ…し、もっと高いところもある、と思います。」
千葉「うーん…。…でもまあこれぐらいの数値が出ているところというのは本当に、今の段階ではどうしようもないという状況なわけですね」
小出「そうですね、まあ、人間が行くということは少なくとも全く出来ません。」
千葉「ふう……。はい、分かりました。え…続いてはですね、朝日新聞が伝えるところによりますと」
小出「はい」
千葉「与野党超党派議員で作る原発ゼロの会が、全国に50ある原発の危険度ランキングというのをまとめた、ということなんです。」
小出「はい」
千葉「で、年数や炉のタイプ、耐震性や地盤状況、周辺人口などを含めて評価したということなんですが。え…実は、上位には、福井県にある原発がズラリと並んでまして。1位から6位までが、すべて福井県にある原発でして
小出「はい」
千葉「ええっと……、1位2位が大飯原発1号機2号機、3位が敦賀1号機、4位が美浜2号機、5位が美浜1号機、6位が美浜3号機ということになってるんですが。小出さん、これだけ福井県原発が上位に並ぶというのはどういうわけなんでしょうか?」
小出「ええまあ、敦賀美浜といい、敦賀と美浜の1号炉は、今現在現存している日本最古の原発ですから。」
 
千葉「はあ」
小出「当然、上位には入ってくるでしょうし。美浜2号機も美浜3号機も比較的早い時期に動き出してる原子力発電所ですので。…まあ危険ランキングでいえば上位に入ると思います。そして若狭湾は今、地震…あるいは活断層という問題が出てきていますので。それが評価されたのではないかと私は、思います。詳しく、その評価のやり方を知りませんので、なんとも言えませんが。まあ多分そうだろうと思います。で…大飯1号機と2号機というのは、」
千葉「はい」
小出「え…非常に特殊な、実は原子炉、でして」
千葉「ええ」
小出「え…世界的にも、多分10基無いんじゃないかと思うぐらいの、特殊な構造をしているのです。で…格納容器というのは放射能を閉じ込める最後の防壁なのですが。例えば、…昨年事故になった福島第一原子力発電所の1号機から4号機では、格納容器の設計耐圧は約4気圧あります。で…若狭湾にある関西電力のまあ原子力発電所、加圧水型と言ってるものも、基本的には2.5気圧位あると思いますし。大飯3号機4号機は、4気圧、の設計耐圧があります。しかし1号機と2号機だけは、0.84気圧しか設計耐圧がない、のです。…簡単に壊れてしまうという、そういう格納容器を使っていまして。もし、格納容器が壊れれば、放射能の防壁が一切なくなってしまいますので、大変危険が大きいと考えなければいけません」
千葉「あの、格納容器自体の強度が、他の原発と比べると非常に低いということなんですか」
小出「圧っ倒的に低いのです」
千葉「へえーーーー。あ。それでこんなに危険度が高くなってるわけですか」
小出「はい。まあ、大飯1号2号を危険度ランキングで上に上げるとすれば多分それだと思います」
千葉「はあ…。あの、なんでまた、そんなにもともと低い状況になってるわけですか?」
小出「(苦笑)ええ、まあ、その当時の大飯1号機2号機を作ったころの設計思想…の反映だと思います。え…原子炉が溶けたりすると大量の蒸気が吹き出してくるのですが。それを、格納容器の中に大量の氷を、あらかじめ入れておきまして。」
千葉「はい」
小出「で、氷で蒸気を冷却して、圧力が高く、ならないという、そういう設計だった、のです。アイスコンデンサーと私達が呼ぶ、非常に特殊な設計で。ん…大飯1号2号機は、作られました。」
千葉「はい。でもそれが、わかった時点で、例えば、それを補強するだとか・・・
もう少し、強めるだとかそういうことってのはされてないわけですか?
小出「あの…今更できない…と思いますし。もともと大飯1号機2号機も、米国のウエスティングハウスという、原子炉メーカーが作ったのですけれども…ウエスティングハウスもやはりこの設計はまずいということで、そのアイスコンデンサー式の格納容器はすぐに姿を消してしまったのです。
ですから大飯1号機2号機は世界的にも特殊な、格納容器の設計耐圧が低い原子炉、になっています」
千葉「はあ…。」
近藤「あ、あの、小出さんあの・・大飯3号、3号機と4号機ですね。
これまさにこれから再稼動という、う…段階なんですけども」
小出「はい」
近藤「これ見ますと、26位とかなり低いんですけれども」
小出「はい」
近藤「1号機2号機と、3号機4号機、これはまた違う設計なんですか?」
小出「え…今聞いていただいたように、1号機2号機はアイスコンデンサーという非常に特殊な格納容器になっていますし。3号機4号機はまた元に戻りまして、え…通常のPWR型の格納容器になっています。そしてさらに、格納容器の設計耐圧が、え…通常は2.5気圧ぐらいのものを、大飯3号機4号機は確か4気圧まで、…高めていたと思います」
※スタジオ「うーん」
千葉「じゃあ同じ原発の中にある、え…原子炉といっても1号機2号機と3号機4号機では、やっぱり大きく違っているものがあるということなんですねえ
小出「(苦笑)。まあその時代時代の設計を反映してしまいますので。おなじ大飯の原子炉といっても、全く違う原子炉なのです。」
近藤「その1号機2号機、この、補強といいますか、なんか、改めて工事するというそういうことは出来ないんですか」
小出「格納容器というのは大変巨大な建屋ですので。それをもし補強しようと思うと膨大なお金がかかってしまいますし。多分出来ないだろうと私は思います。」
千葉「うーーーん。わかりました、小出さん、どうもありがとうございました」
小出「はい」
近藤「ありがとうございました」
小出「ありがとうございました」
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