「後藤さん殺害」:「取材する雄姿広めよう」ネットで共有

「後藤さん殺害」:「取材する雄姿広めよう」ネットで共有

毎日新聞 2015年02月01日 20時27分(最終更新 02月01日 20時41分)
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後藤さんが活躍する写真の共有を呼びかける英ジャーナリストのツイッターの書き込み
 「共有するなら後藤さんの功績を」−−。フリージャーナリストの後藤健二さん(47)が殺害されたとみられる動画が公開されたことを受け、ツイッターなどのソーシャルメディアでは動画の拡散を自制し、代わりに紛争地で取材する後藤さんの姿を共有しようという動きが世界中に広がった。残忍な映像を配信した「イスラム国」(IS)側の狙いに加担しないという草の根の意思表示だ。
 「あの映像を共有するな。彼らのゲームに加わるな。仕事をしている時のケンジの画像を共有しよう」
 後藤さんを殺害したとする映像が配信された日本時間の1日早朝。英国のジャーナリスト、ジェームズ・ロングマンさんがツイッターに英語で書き込んだ。笑顔の子供の横でビデオカメラを手にほほ笑む後藤さんの画像が添付されていた。書き込みを拡散するリツイートは同日夕までに1万回を超え、日本語にも翻訳されて広がりをみせている。
 後藤さんの中学時代の同級生でITジャーナリストの林信行さん(47)は直後にリツイートし、「彼の生前の素晴らしい活動を広めることにこそ価値がある」と日本語でいち早く書き込んだ。林さんは「ソーシャルメディアが情報戦の舞台となっており、拡散することはISの宣伝になると思った。人の命がISの宣伝に利用されてほしくないという思いに共感した」と話す。
 ネットを使った殺害映像の公開は、国際テロ組織の「アルカイダ」などが広めた手口で、国際社会に存在を誇示することが目的とみられている。ISが昨年8月に米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリーさんを殺害した映像を公開した際にも、米欧を中心に拡散の自制を求める動きがソーシャルメディアで広がった。【八田浩輔、石戸諭】