真の恐怖を知る人たちは、次の世代以降 (兵頭正俊ブログ)

真の恐怖を知る人たちは、次の世代以降

室温が午前6時の段階で31度。暑い。メルマガが今日明日と続く。メルマガを書き始めて、相当にタフな日曜・月曜が続いている。しかし、気合いを入れて書き始めることにする。
いかにも日本的な状況が続いている。敗戦間際の状況と同じだ。誰も戦争を終わらせようとはいわない。ずるずるといく。そして国民の死者ばかりが増えていった。
原発がそうだ。誰も責任をとらない。この国の1%自体が、国際原子力ロビーのいうがままに、ずるずるといく。そして99%の死と、放射線物質による遺伝子破壊が増えていく。
現在の戦争法案(安保法制)もそうである。この国難を前にして、野党は選挙協力ひとつできない。時間はたっぷりあったのに、まるで座して死を待つといった感じだ。
7月23日には、トロイの維新の松野頼久が、代表会見で「共産党と共闘することはありません」と言い放った。この政党の、自民党二軍としての正体が、こういったところによく露出している。
続いて共産党志位和夫が、7月30日の記者会見で、参院選での野党協力について「沖縄に限っていえば米軍新基地建設反対の大義があるが、全国的には国政の基本問題での一致やギブ・アンド・テークの条件が存在するとは考えない」と語った。つまり沖縄県選挙区以外では選挙協力しないということだ。
asuka が今日(8月3日)、こんなツイートをしていた。
「@komatsunotsuma 私達はなんの為に医療ボランティアを続けてきたのでしょうか?
それも他国なのに全てがムダだった事に気が付きました。おかしいなとずっと思っていたのですよ。日本人はバラバラだと一度お話をしましたが、いったいこの国はどうなるのでしょうか。
残念です
要はこの者たちは幸せなのだ。野党が選挙協力をしなければならない状況でも、けっして団結しない。できない。自民党の危機にあたっては、表の維新と裏の共産党とが、必ず野党の票を割って自民党を助ける。
いつまでこの失敗を続けるのだろうか。戦争が始まるというのに、この体たらくである。憲法九条が否定され、違憲の戦争法案(安保法制)がかかった。これが成立したら戦争が始まる。共産党にとって、これ以上の、なりふり構わずに立ち上がらねばならない、危機的状況はないのではないか。
今やらずに、いつ立ち上がるのか。いくら国会審議で大向こうをうならせても意味はない。肝心の選挙協力で政権をとる。もし成立した場合の戦争法(安保法制)を廃棄しなければ意味がないのだ。
確かに次の選挙で共産党は躍進するだろう。しかし、衆参とも選挙をやって、単独で共産党過半数をとるとはとても思えない。野党との選挙協力を通じて、連立政権の紐帯を固めるべきなのだ。
志位和夫は知っておくべきだ、今がもっとも闘えるときだと。先に行くほど共産党には困難な状況が到来する。組織温存を最重視すれば、右に寄せて行かざるを得ない。いずれ小さな民主党のような存在に変質するだろう。
もちろん、最大の罪があるのは民主党岡田克也である。よりもよって、この国難に選挙音痴が代表になったものだ。野党を束ねて、ドラスティックに局面を変える、といった迫力が何もない。ぼうっとしており、おそらく自分から何かを仕掛け、局面を切り拓くといった荒技は何もしないだろう。ずるずると選挙に突入する。選挙協力をして、もっとも得するのは民主党なのだ。


さて、ため息の出る野党であるが、今日は原発の地獄について書く。
http://m-hyodo.com/wp-content/uploads/2015/08/Fukushima-6-e1438561098545.jpg
AKIRA福島県いわき市四倉海岸の濃霧。人がいる? 一体この国の国民の命を守ると云う義務はどこへいってしまったのだろう」)
東電が、福島第1原発3号機の、使用済み燃料プールに落下した大型のがれき(燃料を原子炉に出し入れする「燃料取扱機」)を、今日(8月2日)に、2台のクレーンを使って撤去する。作業中に、つまみ上げたがれきが落下すれば、燃料が損傷する危険もある。非常に危険な作業である。
今日(8月3日)にハッピーがこんなツイートをしていた。
「国や東電はじめ、大きなメディアは3号FHM撤去作業の無事完了に関して大きく公表、報道するんだろうけど、果たして同じように1Fで頑張ってる作業員が熱中症で死亡した事を大きく取り上げるのだろうか? 夏の1F作業は、どんなに対策しようが毎日熱中症になっても不思議じゃないくらい過酷なのに。
8月1日(土)に1F作業員が体調不良で病院に運ばれたけど、助からずに熱中症で死亡。翌日の3号FHM撤去は予定通りに作業し完了。今まで死亡事故が起きたあとの翌日の現場作業は、どんなに大きな作業でも全面中止が多かったんだけど、今回は予定通りに実施した。ご冥福をお祈り致します」
この「熱中症」も、ほんとうにそうなのかはわからない。全国の「熱中症」が例年の2倍というが、夏の被曝症状は、「熱中症」でごまかせるから便利なのだ。
また、原発関係のニュースでは、原発作業員の被ばく線量限度を現行の100ミリシーベルトから、250ミリシーベルトに引き上げる。人手不足というが、将来的にはオリンピックや除染関係にとられて、ますます人手不足に陥るだろう。
福島第1原発の危機は深刻化している。東京の大手(「記者クラブ」)メディアは、日本観光の外国人数が過去最高と囃している。しかし、福岡や関西の観光から、関東・東北を避けて北海道観光へと飛んでいるようだ。
福島第1原発への国内ののんきさと、外国の危険視とが、ますます際立ってきた。
ほんとうに東京オリンピックをやれるのだろうか。強引に突き進むことになろうが、外国の観光客は、もっとも少ない大会になりそうだ。
広瀬隆の『東京が壊滅する日 ― フクシマと日本の運命』に次のような記述があった。(ディスプレイ上の読みやすさを考慮して、兵頭の方で改行を増やしてある)


 
「 ―― 福島県内でも、フクシマ原発事故が発生した年の夏頃、ほとんど鳥の姿が見えなくなったと「野鳥の会」のメンバーが語っていた。こうした異常は、鳥の餌となる小さな虫が激減したことも原因と考えられるが、大混乱していた事故直後の鳥類に関して正確な統計資料はなかった。
しかしアメリカのサウスカロライナ大学の生物学者ティモシー・ムソー教授たちは、事故があった2011年の7月から福島県内の放射線量が高い浪江町飯舘村などで調査をはじめ、 2013年までに鳥類の数が減少していることを突き止め、現象の度合いがチェルノブイリ汚染地帯の2倍になっていることを明らかにした。
また琉球大学の調査によれば、沖縄県と比較した場合に、福島県地域でチョウチョ(ヤマトシジミ)に明らかな異常が認められ、放射能の影響が第一世代から第二世代にもおよんでいることが確かめられている。
また日本獣医生命科学大学の調査では、福島県内の野生のニホンザルは、セシウムによる体内放射能が異常に高く、内部被曝しているニホンザルほど、赤血球・白血球の数が少なく、免疫力が半減している個体が発見されており、小ザルにまで影響がおよんでいた。
さらに東京農工大学などの調査では、原発から40 キロメートルの二本松市のカエルの体内放射能は、最高1 キログラムあたり6700ベクレルを超えるものが発見された。
特筆すべきことだが、鳥類やウサギなどを調べてきた福島県猟友会によれば、地中の野菜や小さな生物を食べるイノシシは「食物連鎖(生物濃縮サイクル)の上位」にあるので体内放射能が突出して高く、それが歳月と共に増え続けて、事故から2年後の2013年には1キログラムあたり6万ベクレルという驚異的な数字を記録した。
こうした自然界の長さは、何十年にもわたって続けて初めて結論が出るので、真の恐怖を知る人たちは、次の世代以降である


福島の動植物の変異については、すでに『ネイチャー』などに幾つも論文が発表されている。隠そうとしても意味のないことだ。しかし、日本政府は、IAEA国際原子力機関)やICRP(国際放射線防護委員会)を頼って、福島県民を人体実験のモルモットとして差し出す一方、国民に対しては徹底した隠蔽で対応している。
福島では異変が深化している。「2013年までに鳥類の数が減少して」おり、「現象の度合いがチェルノブイリ汚染地帯の2倍になっている」。
食物連鎖(生物濃縮サイクル)の上位」にあるイノシシの、体内放射能が突出して高く、「事故から2年後の2013年には1 キログラムあたり6万ベクレルという驚異的な数字を記録した」。しかし、人間はそのイノシシを食べ、福島の農作物を食べ、太平洋の海産物を食べる。
放射能による福島のジェノサイドは何百年にもわたって続く。それで真の恐怖を知る人たちは、次の世代以降ということになる