日本の集団的自衛権は「アメリカが使う」のだ

日本の集団的自衛権は「アメリカが使う」のだ

先日、飲みにいったBARで洋画をちょっとだけ見る機会があったんですけど

そのなかに、印象的なシーンがありました


その場面は、両親が離婚して母が養育している小学校ぐらいの姉と弟のもとに久しぶりに父が尋ねてきて、

二人を連れ出して遊んだ後にファストフードのお店で食事をしているシーンだったんですが、

そのときに親子の間でこんな会話があったんです

店内のTVで、イラク戦争のときに、ブラックウォーターというアメリカの民間軍会社の人間の遺体が

ファルージャというところで吊されているニュース映像が流れ、それを見ながら父が子どもたちに

「こうなることはわかっていた」…と言うたんです

そしたら、上の女の子がすかさず、

「学校の先生は国を守るために戦いだって言ってたよ」…と答えたところ、父はまた

「9.11とイラクは何の関係もない」…と応え、続いて

「今度の大統領選挙は誰に入れる?」…と二人の子どもたちに訊いたんです

そしたら、下の男の子が

「(ぼくたち、まだ)選挙権ないもん…」と答えると、お父さんが

「入れるとしたら…だ」と、たたみかけて答えを促したら、下の男の子が

「ケリー…」と、お父さんの期待に応えるような答えをしたところ、お父さんは

「ブッシュ以外は誰でも(OK)…だ!」と答えた
(…と書きつつ、お酒を飲みながら鑑賞してたので、発言の前後が間違ってるかも知れません…)


イラク戦争は、アメリカが「イラクフセイン政権は国連決議違反の大量破壊兵器を持ってる」…と

言いがかりをつけてはじめた国際法違反の侵略戦争だったから、

イラクの人々は侵略してきたアメリカ軍を憎んで当然…だったわけですが

それは「軍人でない戦争屋」たるアメリカの民間軍事会社の人々に対しても一緒で

ファルージャの地で、かような出来事があったのは当然の帰結…だと

この映画のなかで父は子どもたちに語ります


ぼく、この「ヒーローなんか出てこない市井の人々を描いた映画」で

こういう場面が出てきたことに驚いて、「へぇ~、アメリカはこんな映画もつくるんや…」と

一瞬、肯定的に受け止めたんですけど、家に帰ってから振り返ってみると

この場面では「アメリカ側の被害だけ」が流れてて、それはそれでなんだか物足りない気もしました


そこで、今回のエントリーでは、ひとさまのエントリーの助けを借りつつ、

アメリカ軍がイラクでどんなことをしたのか…ということを、山本太郎さんの国会質問を紹介しようと思います

(以下は、「総理、米軍が戦争犯罪を行った場合、我が国の最高責任者として米軍の行動を止め
 自衛隊を撤退させるのか?」(『ウィンザー通信』)からの転載です)


山本太郎議員が、「過去の米軍の過ちを認められない者が、どうやって戦争犯罪、常習国である米国の行動を、この先ジャッジできるんですか?」と、安倍総理に厳しく問いただしている途中に、NHKの中継が突如打ち切りになったと聞きました。 ~

国会質疑で踏ん張ってくれている議員さんたちの声が、もっともっと社会全体に広がるよう、
マスコミが伝えないのならわたしたちの声で、手で、言葉にして伝えていきたいと思います。

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山本議員:
~民間人の殺害、軍事施設以外への攻撃、捕虜への拷問などの禁止、これは完全な国際法違反です。
それらを禁止したものがジュネーブ諸条約、国際人道法などであり、日本はこれらの条約を批准しています。~
総理、我が国はジュネーブ諸条約、国際人道法など、国際法に違反する他国への支援、協力は行わないということを、総理のお言葉で確認していただけますか。

安倍総理
自衛隊が活動するにあたってですね、国際法を遵守し、国際法上、違法な行為に対する支援を行わないことはですね、当然なことであります。ある国が、ジュネーブ諸条約を初めとする国際人道法に違反する行為を行っている場合、そのような行為に対して、我が国が支援や協力を行うことはございません。

山本議員:
総理、米軍が、ジュネーブ諸条約を初めとする国際人道法違反を行った場合は、たとえ米軍でも、米軍であっても、支援・協力はしないということでよろしいでしょうか。

安倍総理
先程申し上げましたようにですね、自衛隊が活動するにあたっては、国際法を遵守し、国際人道法に違反する行為に対する支援を行わないことは当然のことでありまして、これは支援対象国のいかんにより変わることはありません。


山本議員:
イラクの戦場にも足を運ばれました、フリージャーナリスト、志葉玲さんの資料では、
2006年3月15日、イラク中部のイシャキ村で起きた、一家惨殺事件の例があげられています。
ウィキリークスによって流出した米軍の内部文書、現地報道などによると、
手錠をかけられ、無抵抗な状態で家にいた11人を、米軍は銃殺。
この事件、地元テレビでも報道され、その映像はBBC、CNNなど、欧米メディアも伝えましたが、
日本のメディアは、これらの映像を全く使わなかったそうです。

この事件について、米軍はメディアに対し、『イラクアルカイダ・ネットワークの支援者を捕まえるために、民家を攻撃したんだ。敵から銃撃を受け、兵士達は応戦した』
そのように主張しました。~でもですね、米軍が踏み込んだのは、そして殺害に及んだのは、地元小学校の教師であった当時28歳、ファイズ・ハラットさんの家でした。
米兵に殺された中には生後5ヶ月、3歳、5歳のファイズさんの子供達、そして3歳の甥っ子、5歳の姪っ子も無慈悲にも殺害されました。

被害者の中には、家を訪ねてきていた若い男女もいました。
この2人は婚約者同士、次の週に結婚する予定だったそうです。
地元の警察の報告によれば、子供や女性達も手首を縛られ、目隠しをされた状態で殺害されていた。
また米兵達は、ファイズさんらを殺害後、家を爆破した上、家畜までも殺していったそうです。
総理、これ戦争犯罪ですよね?国際法違反ですよね?
いかがですか?

安倍総理
今、山本議員からご紹介した事案について、私は承知をしておりませんので、今ここで論議をすることは差し控えたいと思います。


山本議員:
先程お伝えしたエピソード、イラクでは、特別珍しいお話ではないそうです。
イラク全土、罪のない子供や身内、友人を、米軍に虐殺された人々が大勢いらっしゃいます。
米軍は、イラク戦争、アフガン戦争、テロとの戦いという名の下に、国際人道法に違反する、数多くの戦争犯罪行為を行う戦争犯罪常習国です。~

米軍による、民間人が暮らす地域への空爆、市民への殺害など、度重なる非人道的行為に、イラクの人々は疑問を持ちます。~
モスクに対する攻撃、子供達の学校を占拠し、その正面に戦車を置いて米兵が駐留したことに、憤りを感じたファルージャ
ファルージャのお父さんお母さん達は、学校の占拠はやめてくれと、デモを行います。
そのデモ隊に対し、治安の安定化と称し、米軍は沈静化に動きます。

米兵の威嚇発砲にデモ参加者が驚き、民家の中に逃げ込み、その後、数人の米兵が追いかけて、家の中でデモ参加者を射殺。
民主的な行動で訴えを起こす人々に対して、乱暴狼藉のかぎりをつくす米軍への反発で、日に日にデモの規模、膨れあがっていきます。
すると米軍は、直接、(デモ)参加者を銃で撃つようになっていったそうです。

米軍は、占拠した学校の屋上に、土嚢を積み上げ、住民を狙撃する拠点を造ったそうです。
そうして2004年4月に続き、米軍は大規模な作戦を展開、ファルージャ総攻撃、ご存じですよね皆さん。
報道陣は、街からシャットアウトされます。
米軍は、街を完全に包囲します。

人々が街から出れないようにし、食料や医薬品も外から供給できない、兵糧攻めの状態をつくりました。
完全に遮断された状況にしびれを切らせた40名を超えるイラク人、医療関係者が、医薬品を持ってバクダットから駆けつけ、ファルージャ総合病院を目指しましたけども、17名の医療関係者は米軍に射殺されました

2004年11月、完全包囲されたファルージャの街に、激しい空爆、砲撃が始まります。
ファルージャ総合病院は、米軍に占拠されました。
市内にあった2つの診療所は、米軍が空爆しました。
米軍の空爆によって火事が起きた場所、そこで消火活動をしていた地元の消防士、警官までも、米兵は攻撃しました。
夜間、外出禁止という理由からです。

この頃のイラク、米軍の上層部から各兵士に命令される交戦規定、戦場のルールですよね。
交戦規定は、毎日のように、下着を着替えるように、振り向くたびに、次々と、この交戦規定が変わっていったと言います。

攻撃されていなくても、不審な人物と思ったら発砲してよし、
不安を感じたら発砲してよし、
目が合えば発砲してよし、
イスラム教徒の衣装のものは敵対していると見なして、撃ってよい。
路上に居る者は全て敵の戦闘員と見なせ、
息をしているものは全て撃て。


『冬の兵士 良心の告発』というDVDで証言する、ファルージャ攻撃に参加していた元海兵隊員は、
空爆、砲撃が続いていたある時期、ファルージャの住民に対し、
米軍は、14歳以上の男子を戦闘可能年齢とし、街から出ることを許さず、それ以外の子供や女性を、外に出そうとしたと言います。
男性の家族と別れるか、もしくは死を覚悟して一緒に残るか、究極の選択を米軍は迫りました。
14歳以上の男子、戦闘可能年齢として、避難をすることを米軍は許しません

米軍から確実に攻撃を受ける場所に、中学生、高校生くらいの息子をおいて、母親が避難できますか?

少年や男性だけを残して避難できなかった。
そんな人々がたくさんその場に留まり、実際に街から出たのは、わずかな老齢の女性たちだけでした。
2004年の最初のファルージャ攻撃では、700人以上が殺害され、
2回目の11月、ファルージャ総攻撃では、行方不明者は3000人に及び、
6000人もの住民が殺されたと言われます。
中には、白旗を握りしめたままで発見された、少年の遺体もあった
そうです。~

安倍総理、これ、米軍が行ったまぎれもない国際法違反、戦争犯罪ですよね。

安倍総理
ま、例えばですね、えー、山本議員がいろいろお話をされたわけでございますが、
えー、私は今、それがですね、えー、中身について検証する材料をもっていないわけでございますので、えー、コメントは差し控えたいと思います。


山本議員:
総理の師匠筋にあたりますかね、小泉元総理。
ファルージャ総攻撃に対して、2004年11月9日、首相官邸で、ファルージャ総攻撃に対して、成功させなきゃいけない、とコメントされています。
安倍総理、当時、幹事長代理でしたか。
当時、総理、反対しました?~

安倍総理
ただいまその、山本議員のですね、述べられたこと自体ですがね、
どの程度事実にもとづいているか、ということについて、私も、今承知をしていないわけでございますし、
当時はもちろん、そういう事実は承知をしていなかったわけでございます。



山本議員:
総理ね、1776年にアメリカって建国されて、239年近く経っているわけでしょ。
そのうちの93%戦争し続けたっていう話があるくらい、戦争続いている国なんですよ。
戦争で経済を回しているような国なんですよ。
その国に対して、一体化?で、いろんなものも運んであげるよって?
このファルージャに運んだかもしれない。
そのような、米兵もいたかもしれない。
武器弾薬も、ひょっとしたら届いていたかもしれない。
中身、チェックできないですもん。
当時、石破さん、そんなコメントしてなかったですか?当時。

イラク戦争の時に、今回のルール改正、戦争法案で、自衛隊で死者がでるだけでなく、
後方支援という名の一体化で、米軍とともに、加害者側になる可能性大なんですよ。
イラク戦争時、政権中枢にいたばかりではなく、総理までやってらっしゃるんですよね。
米軍の戦争犯罪である、非戦闘員の虐殺、民間人大虐殺。
化学兵器、そうですよ化学兵器、先ほども出ていました。
白燐弾も使った。~

ぼくが知らなかったいろんなことを、山本さんは国会の場で明らかにしてくれました

それらは…というか、そもそもイラク戦争全体が「国際法違反」だったわけですけど

それを安倍総理が認めることはありませんでした


アメリカが戦争において数々の国際法違反を犯してるのは、もう常識の範囲の話だと思います

そのような国が行う戦争(犯罪)のお手伝いをする…

それが「戦争法案の中身」でありまして、これは「日本の安全保障」とはまったく関係のない話です





自民党政権は一般論としては「国際法に違反する行為への支援は行わない」と答えていますが

では過去に、「アメリカ(軍)の国際法違反を認定したこと」があるのか…と言えば

それはないんです 

(以下、「米国の侵略戦争支持、反省も検証もなくていいのか」(しんぶん赤旗からの一部転載です)
~志位氏は、米国が世界各地で繰り返してきた武力行使に対する日本政府の態度を追及しました。

http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/m/mzponta/20150901/20150901173310.jpg

 第2次世界大戦後、米国は多くの先制攻撃戦争を実行し、グレナダ侵略(1983年)、リビア爆撃(86年)、パナマ侵略(89年)に対しては国連総会で非難決議が採択されました(画像左上)。

 岸田外相は、いずれの決議でも日本政府が棄権・反対に回ったものの、グレナダパナマについては「遺憾の意を表明した」などと弁明しました。

 志位氏は、グレナダパナマ侵略に関する政府見解(別項)を突きつけ、いずれも最後の結論が米国への「理解」となっていることを指摘。「日本政府は戦後ただの一度も、米国の戦争を国際法違反と批判したことはない。すべて賛成・支持・理解だ。こんな異常な米国への無条件追随の国は他にない」と批判しました。

 安倍首相は「『理解』はしているが、『支持』はしていない」と答えるのが精いっぱいでした。志位氏は「こんな政府がどうして『自主的判断』ができるか。言われるままに集団的自衛権を発動することになるのは明瞭だ」と強調しました。


ベトナム戦争 イラク戦争検証

外相 「(米国に)説明求めた事実ない」
志位 ねつ造わかっても説明求めず反省なし

 さらに志位氏は、米国が起こしたベトナム戦争イラク戦争に対する日本政府の根本姿勢を追及。両戦争の規模と世界的影響の大きさにふれ、「二つの戦争を日本政府がどう検証・総括したか。これは、安倍政権が半世紀にわたる政府の憲法解釈を大転換し、戦後初めて集団的自衛権行使の道に踏み込もうとするもとで、避けて通れない大問題だ」と述べました。

 ベトナム戦争本格化の決定機となった「トンキン湾事件」(64年)について、米国防総省秘密報告(ペンタゴン・ペーパーズ)や当時の米国防長官の回顧録などから、当時の米政府の発表が捏造(ねつぞう)だったことが明らかになっています。

 志位氏は、当時の日本政府が「米国が合法的に認められた範囲をまさか逸脱はあるまいという信頼」(64年、椎名外相答弁)から支持したことを示し、捏造判明後に米国に説明を求めたかと質問しました。岸田外相は「説明を求めた等の事実関係は、現時点で確認されていない」と答弁。志位氏は「公式の外交ルートで説明を求めていないということだ」と指摘しました。

 イラク戦争の直接契機となった大量破壊兵器保有情報についても米国の捏造であり、当時のブッシュ米大統領やブレア英首相らが情報の誤りを認めています。

 志位氏は、首相官邸イラク派兵を取り仕切っていた柳沢協二・元内閣官房副長官補が著書で「アメリカに(捏造の)説明を求めなかった」と証言していることを示し、「事実か」と迫りました。

 外相はここでも「現状そういったやりとりは確認できていない」と説明を求めていないことを認めました


 志位氏は「米国の戦争は正義と信じて疑わない。捏造とわかっても説明を求めず、反省もしない。これが日本政府の基本姿勢だ」と批判。「戦後最悪の安倍政権による、戦後最悪の戦争法案の廃案を強く求める」と強調しました。

自民党を含む)ウヨくんたちは、左翼を批判する際に「現実を知らない」という決めセリフをよく使いますが

このような「現実」を踏まえると、

・日本がアメリカの戦争犯罪を認定することはできない
    ↓だから当然
・日本がアメリカの戦争犯罪に異議を唱えることもできない
    ↓とすると、
・「国際法違反の行為を支援することはない」と言ったところで、そのような「自主決定権」は日本にはない
    ↓だから
・日本はアメリカの戦争犯罪に加担することになる

…という展開を辿るのは必至です


また、過去のアメリカ追従…というか盲従ぶりを「現実的に」考察すれば

集団的自衛権という「形式上は日本側の権利(…と言っても憲法上許されないけどね)」を行使するか否かは

アメリカが決める」ことになるのもこれまた確実な話で

戦争法案は日米安保と並んで日本の主権放棄を決定づけるものとなるでしょう