【パリ発】「デモは国家的暴力で封じ込め」 アベ政権が段取り(田中龍作ジャーナル)
【パリ発】「デモは国家的暴力で封じ込め」 アベ政権が段取り
「難民、移民を制限するな」。いわゆる左派系の市民1千人が22日、パリの大通りでデモをかけた。
集会が始まって30分ほどすると参加者は、大きな塊(かたまり)となって、デモに出発しようとした。
たちまち国家警察(パリ警視庁ではない)の機動隊が、広場の出口を塞いだ。
だが若者は機動隊の脇をすり抜けて大通りに出た。機動隊は重装備のため若者の足には追いつけない。
こうして機動隊の隊列は崩された。年配の参加者は露払いの終わった大通りを粛々と歩いた。
デモ隊は2~3キロ先の共和国広場までたどり着いた。だがここから先には行けなかった。
国家警察がオペラ座やビジネス街にまでデモ隊を進ませなかったのだ。機動隊は輸送車を置き、道をほぼ完ぺきに塞いだ。デモ隊は封じ込められた。
高まる緊張は、戦争に反対する市民を弾圧する口実を与える。
南シナ海の緊張に乗じて「こじつけの非常事態」を宣言し、デモ集会を禁止する。それでも異議を唱える市民は、国家の暴力をフルに使って封じ込める ―
安倍官邸はフランス政府の対応を参考にしながら段取りをしているだろう。
【パリ発】「対IS有志連合」日本も引きずり込まれる
英国のキャメロン首相が23日来仏し、オランド大統領と会談、ISへの空爆に向け軍事協力することを表明した。
キャメロン首相は12月後半にもISへの爆撃を可能にできるよう議会の承認を取り付けたい、としている。
米国のオバマ大統領はフランスがテロ攻撃に遭ったその日(13日)に声明を出した。「これはフランスだけへのテロ攻撃ではない。世界の全人類への攻撃である」と。
これで英・仏・米による有志連合ができたことになる。
英と仏はそれほど親密ではない。英はブレア元首相以降、仏はサルコジ大統領以降、米国に従順な国家となっている。
有志連合の音頭をとったのは米国であることは疑いようがない。
日本も安保法制が施行されれば、同盟国が攻撃を受けた場合、同盟国と共同で軍事行動することになる。
本記事2段落目の『給油』に脊髄反射された方も少なくないのではないだろうか。新安保法制では、爆撃に向けて発進準備中の同盟国の戦闘機にも給油できるのだ。
戦線が拡大し泥沼化すれば、日本も引き入れられる可能性は高い。アベ首相はむしろ積極的に参加したがりそうだ。
「有志連合」は、いかにもアベちゃんが酔いそうな言葉だからだ。
今回のテロ事件で89人もの死者を出したバタクラン劇場前で花を手向けていた市民に聞いた。3~4時間前、キャメロン首相とオランド大統領がここで献花している。
南仏生まれパリ育ちの女性(60代)は「(ISの)報復がありますから怖いですね。叩かれたら叩き返すでは何も解決しない」と顔をしかめた。
国民の不安をよそに政治家は、戦争に向けて前のめりになっていく。
~終わり~
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読者の皆様。フランスでいま起きていることは、近く日本で起きることです。アベ首相がやたらと「テロ対策」を口走るのは、その伏線です。日本を暗国の独裁国家にしないためにも、フランスの現状を押さえておく必要がある
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読者の皆様。フランスでいま起きていることは、近く日本で起きることです。アベ首相がやたらと「テロ対策」を口走るのは、その伏線です。日本を暗国の独裁国家にしないためにも、フランスの現状を押さえておく必要がある