「落ち葉」・・『二人はいつも』(アーノルド・ローベル)より

落ち葉の季節になると、アーノルド・ローベルの絵本
『ふたりはいつも』を思い出します。
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ごぞんじ、がまくんとかえるくんが登場する絵本です。
この中に収録されている「落ち葉」は、心がほかほか温かくなる
子供たちも私も大好きなお話。

かえるくん、がまくんの二人はいつも仲良し。お互い大事な友達です。
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落ち葉の季節・・地面に降り積もった落ち葉を見て、
二人はそれぞれに「庭の落ち葉をかき集めてあげよう。」と思いたちます。
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かえるくんとがまくんは、それぞれの家の庭に行って、相手がいないのを確かめると一心に働き、落ち葉を片づけ、山にして帰りました。

きれいになった庭を見て驚くだろうなぁ・・喜ぶだろうなぁ・・
という気持ちで一生懸命働いているところが素敵です。
しかし・・・
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それぞれが帰った後、風のいたずらでせっかくの落ち葉の山は散り散りになり、もとの庭に戻ってしまいました。
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でも、これは結果が大事なのではなく、相手を思う心の優しさが尊いのだと教えてくれているような気がします。
二人の気持ちと行動は神様だけが知っていらっしゃるのでしょう。
それぞれが落ち葉かきに行ったことを知らないふたりは、落ち葉だらけの自分の庭を見て、おちばかきに行って良かったなぁ・・と思うのです。
うちの庭は明日きれいにすればいい・・自分のことは後回しでも、
友は、庭がきれいになっていて驚いているだろうなぁ・・と、
友の喜ぶ顔を想像すると、それだけで二人は幸せな気持ちになって眠りについたのでした。
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相手が喜んでくれるだろうな・・と言う思いで何かをする時って、結構幸せですね。

「落ち葉」は、相手の喜びや幸せを願う気持ちの優しさと、
それがそのまま自分の喜び幸せになることを教えてくれます。

ふたりのやさしさで、幸せな気分になれる絵本です。


絵本は子供たちだけのものでなく、大人にとっても素敵な読み物。
『人生に必要なことは全て絵本に教わった』
これは末盛千恵子さんの本のタイトルですが、
私も子供たちの絵本から、たくさんのプレゼントをもらいました。

下記に絵本の文章を収録しておきます。
< 落ち葉 >10月木の葉はみんな散ってしまい 地面に積もりました。「ぼく、がまくんちへ行こうっと。 庭の芝生の落ち葉をかき集めてあげよう。 がまくん、驚くだろうなぁ」  と、かえるくんが言いました。かえるくんは 物置から くまでを取り出しました。
がまくんは 窓から顔だけ出しました。「どこもかも、落ち葉だらけだよ。」とがまくんは言って もの入れからくまでを取り出しました。「ぼく、かえるくんちへ行こう。 落ち葉をかき集めてやるんだ。  かえるくん とてもよろこぶだろうなぁ。」
かえるくんは 森をかけて行ったのでがまくんと会いませんでした。がまくんは 深い草原をかけて行ったのでかえるくんと会いませんでした。かえるくんは がまくんの家に着きました。窓からのぞきこみました。「よぉし、がまくん、いないぞ。 誰が落ち葉かきしたか、絶対にわからないよ。」 と言いました。
がまくんは かえるくんのうちに着きました。窓からのぞきこみました。「よぉし、かえるくん、いないぞ。 誰が落ち葉かきしたか、絶対に当てられないよ。」 と言いました。かえるくんは 一心に働きました。落ち葉をかき集めて 山にしました。じき、がまくんの芝生は きれいになりました。かえるくんは 熊手を拾い上げて うちに帰りました。
がまくんも、えんやこら 働きました。落ち葉をかき集めて 山にしました。じき、かえるくんの前にわには、一枚の落ち葉もなくなりました。がまくんは 熊手を持って うちへ帰りました。
風です。地面を吹きまくりました。かえるくんの作った葉っぱの山は 風に舞いちりぢりになってしまいました。がまくんの作った葉っぱの山は 風に舞いちりぢりになってしまいました。
うちに帰ったかえるくんは 言いました。「ぼくんちの芝生、はっぱだらけだなぁ。 あしたは ぼくんちの落ち葉かきをするよ。 それにしても がまくん、びっくりしているだろうなぁ。」
うちに帰ったがまくんは 言いました。「ぼくんちの葉っぱの散らかった庭、 あしたはなんとかして すっかりきれいにするよ。 それにしても きっとかえるくん、びっくりしているだろうなぁ。」
その晩、明かりを消してそれぞれがおふとんに入ったときかえるくんも がまくんも しあわせでした。                  < おわり >