内閣調査室トップが戦前の弾圧体制を礼賛
内調トップが戦前の弾圧体制を礼賛
内閣調査室(内調)は200人余の世帯で、トップの内閣情報官は内外の情報についての分析を定期的に首相に報告しています。この報告は従来は週1回、30分程度だったということですが、安倍首相になってからは頻繁に会うようになり、日に2回会うこともあるということです。
情報の種類は当然極めて多岐に渡り、首相への報告だけでなく独自の情報工作も勿論行っています。今度の都知事選で週刊文春が鳥越候補についての選挙妨害的な記事を出した時も、大元は内調がリークしたものと言われています。
その北村氏が、2014年3月に発行された『講座 警察法』に、「外事警察史素描」というタイトルの論文を載せていますが、それは侵略戦争を美化する「大東亜戦争」という戦前・戦中に用いられた表現を使い、戦前・戦中の防諜法規を適用した弾圧体制を礼賛しているということです。
よりによってそれを礼賛するというのは極めて異様な感覚です。そういう法規ができたなら役目がらそれに従うしかないというものとは明らかに異質なものです。
しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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秘密法強行主導の政府高官 戦中の弾圧体制 礼賛
しんぶん赤旗 2016年8月18日
秘密保護法の強行成立を主導した安倍政権の高官、北村滋内閣情報官(元警察庁警備局部長)が警察行政関係者向けに編集された講座本の論文で、戦前・戦中の防諜(ぼうちょう)法規を適用した弾圧体制を礼賛していたことが分かりました。また、侵略戦争を美化する「大東亜戦争」の表記も用いていました。(山本眞直)
外事警察とは、日本在住の外国人の取り締まりを任務に発足しましたが、論文によれば、日清戦争後、軍事上の秘密保護を目的にした軍機保護法や軍事施設などの撮影・模写などの情報収集を制限する要塞地帯法(いずれも1899年制定)にあわせて、「軍事機密に対する諜報活動を取り締まる」ことも任務とされました。さらに、1917年のロシア革命後、「海外からの共産主義思想の流入と共産主義運動に対する監視」に重点が置かれるようになり、機構拡充が図られたといいます。
北村氏は論文で、戦前・戦中に治安・警備対策を口実にした思想弾圧の元締めだった特別高等警察(特高警察)と外事警察が事実上一体化していたことを詳述。太平洋戦争を「大東亜戦争」と表記したうえ、その勃発後は「その(外事警察の)影響力は飛躍的に拡大した」とのべ、国民を血の弾圧で戦争に動員した暗黒体制を礼賛しています。
北村氏は、現在の外事警察の体制に関連して、「我が国の機密を保護するための防諜法規が未だ整備されないなど、決して十分とは言えない状態にある」などと不備を指摘し、「秘密保全法制」(秘密保護法のこと)の必要性を強調しています。