トランプの今後は・・?(兵頭正俊ブログより)


トランプの今後は・・?(兵頭正俊ブログより)抜粋

米国では大統領選挙の余震が続いている。日本のテレビは、国内のデモはほとんど無視するくせに、米国の反トランプデモは熱心に報道し続ける。1%の利権に仕えるヒラリーが敗北したので、トランプが憎いのである。
おそらくタヴィストック人間関係研究所の指示が、世界の巨大メディアに降りているのだろう。トランプバッシングも米日同時に始まったが、やめるのも同時だろう。
米大統領選に新党から出るか、それとも共和党から出るか。
トランプには、この問題に関して相当な葛藤があったと思われる。結論は既成の共和党を利用するというものだった。
トランプが共和党ではなく、新党を作って登場していたら、米国にもポピュリズムが登場した意味がわかりやすかったのである。しかし、トランプは既成のエリート政党を利用して、そのなかから登場した。
しかし、その政治思想は、あまりにも共和党の政治思想とは違っている。これからトランプを待ち受ける、もっとも深刻な問題はここにある。
保守政治と折り合いをつければ、投票してくれた米国の、NAFTAなどのグローバル大企業の犠牲者である貧困層を裏切ることになる。
トランプよ、お前もか、となるだろう。これは事情は民主党も同じである。敗北したのは、NAFTAなどのグローバル大企業の犠牲者を無視して救わなかったからである。ここにヒラリー敗因のひとつがオバマの無策にあることがわかる。したがって民主党もTPP賛成に回ることは、もうない。
しかし、トランプが米国の貧困層に寄り添えば、「300人委員会」(フリーメイソンイルミナティの核)という、世界最大の権力とぶつかる。
実は、共和党もまだトランプ現象の意味がわかっていない。共和党主流派は米国1%の一員であって、トランプが共和党から登場した意味をわかっていない。或る意味でトランプは、共和党の救世主だった。しかし、共和党主流派がトランプを理解し、感謝することはないだろう。
米国の貧困白人層・マイノリティは、結論を早く出してほしい。そうでなければ、言葉だけだったオバマの再現として、4年後にはトランプを見切るだろう。
これからトランプを取り巻く政治環境は以下のものになる。

1 トランプもまた、一度権力を握ると、かれを米大統領に押し立てた貧困層・マイノリティの要望に応えていかなければならない。もし、共和党主流派の1%政治に取り込まれると、4年後にはすぐに大統領から降ろされるだろう。
2 これからトランプは、ブッシュ家、クリントン家を中心に、「300人委員会」(米国の裏権力)の反撃に遭う。その究極は暗殺になるだろう。かれらはトランプ現象をオバマ現象と同じものとして失敗させようとするだろう。
3 しかし、貧困が根底にあるので、米国・欧州のポピュリズムは消えない。トランプを葬っても、あるいは体制に取り込んでも、米国には第二のトランプが現れる可能性が高い。
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トランプが、政権移行チームのトップにマイク・ペンス次期副大統領を任命した。また、大統領首席補佐官に共和党全国委員会のプリーバス委員長、バノンを、戦略立案の責任者に指名した。
トランプ陣営からは、ムニューチンを財務長官に推薦する声も挙がっている。かれは米ゴールドマン・サックス・グループの元パートナーである。まだ、最終的に決まっているのではないが、いよいよトランプは取り込まれ始めたのかもしれない。
トランプの娘イバンカ、息子のエリック、それにドナルドジュニアの実子3人に加え、イバンカの夫ジャレッド・クシュナーも入れた。
身内を入れたのは、それだけ警戒しているからかもしれないが。
閣僚は、自分の政策を実現してくれる人物を選ぶべきである。そして4年後の政権への評価はすべて自分が責任を負う、というのでなければならない。間違っても党内融和とか、バランス人事をとってはならないだろう。
最初の数か月あるいは1年が勝負と思うべきだ。最初がトランプのもっとも力のある時期で、あとになるほどワシントンに取り込まれていく。最初の数か月、あるいは一年でできなかった公約は、ほぼ実現できないだろう。
トランプは大統領になっても、権力はロックフェラーやジョージソロス、ヒラリーらが握っている。かれらは、4年間は我慢しても、8年間は待たないだろう。4年間で大統領をやめさせるには、公約を破らせることが一番だ。米国・官僚・自民党が、鳩山・菅・野田らに公約を破らせて政権交代を果たしたように。
『マスコミに載らない海外記事』(11月13日)にPaul Craig Roberts の「反トランプ抗議行動参加者はオリガーキーの手先」が載っている。

「進歩派を装い、大統領選挙の結果を受け入れるのを拒んで進歩派の名を汚している反トランプ抗議行動参加者は一体何者だろう? 彼らは連中が非難している“下層白人”のように見え、それよりひどい行動をしている。
私は連中の正体を知っていると思っている。連中は、キエフで、クーデターの準備をするべく、民主的に選ばれたウクライナ政府に抗議するよう、アメリカ政府とドイツのマーシャル・ファンドが学生たちに金を払っていたのと同じ形で、トランプ大統領を非合法的なものにするため、オリガーキー(1%の富裕層が自己の利益のために行う寡頭政治 注 : 兵頭)に金をもらっているお雇い暴漢連中だ。
進歩派集団を名乗ってはいるが、他の進歩派集団と同様、オリガーキーのフロント組織かも知れない団体、change.orgは、アメリ選挙人団の選挙人に、ヒラリーに投票して、選挙を無効にするよう指示する請願を回して、あらゆる進歩派の評判を破壊している。
(中略)
CNNは“国中で、多くのアメリカ人にとって、ドナルド・トランプの勝利はとうてい受け入れられない結果だ。何万人もが、少なくともアメリカの25都市で、一夜にして街頭を埋めた。”と奉じている。これこそまさに、オリガーキーが、売女マスコミに期待していて、実際に得た報道なのだ。
25都市での同時抗議行動が自発的な出来事などとは誰も思わないよう私は願っている。一体どうやって、25の独自の抗議行動が、選挙後の同じ夜に、同じスローガン、同じプラカードを持って実行できたのだろう? 抗議行動の目的は一体何であり、それによって、一体誰の利益になるのだろう? ローマ人は常にこう問うていた。
“誰が利益を得るのか?”
答えはただ一つ。それはオリガーキーであり、オリガーキーだけが利益を得るのだ」(「反トランプ抗議行動参加者はオリガーキーの手先」)

トランプがいい改革をできるか。それとも米国裏権力の猛反撃に遭って、妥協の操り人形になるか。すべてはこれからだ。

ただ、トランプは大統領になることによって、すでに3つの大きな成果を上げている。
1 ヒラリーを大統領にしなかったこと
2 第三次世界大戦を遠ざけたこと
3 TPPを空中分解させたこと、あるいは少なくとも11月8日の大統領選挙から12月16日までの議会のレームダックセッションで、オバマがTPP参加を強行する可能性を潰したこと
以上の3点だ。
つまり、トランプは、当選が、即時的に巨大な功績を生むという、不思議な立ち位置を占めている。
ヒラリーを進歩的なマイノリティの味方と見るのは、大きな間違いだ。彼女は、「米国軍産複合体イスラエル・米議会・国際金融資本(米金融ユダヤ)・メディア」のエージェントであり、その中央の歯車だ。
ヒラリーは、これまで絵に描いたようなダブルスタンダードのエリート主義を貫いてきた。口ではISIS攻撃を声高に叫び、裏では戦争からの収益を見込んでISISを育てていた。サウジとカタールはすべてを知っていて、戦っているフリのヒラリーとISIS両者に資金を提供していた。この世界の政治の暗さを理解するのに、これ以上の教材はない。
ヒラリーの不正選挙は、ロシアを含む多くの事前の投票監視で、ほぼ不発に終わった。それで敗北したので、同じ「不正選挙」でトランプを批判しているのだ。

マイケル・ムーアは、総得票はヒラリーの方が多かった、それで大統領になれないのは民主主義ではない、という。この発言がひどく気に入ったと見えて、欧米日のメディアが繰り返し放映している。
しかし、マイケル・ムーアはひどい勘違いをしている。これは不正選挙でも何でもない。米国の大統領選は、勝者総取り方式で、最も得票数が多い候補がその州の選挙人を全員獲得する。たまたま選挙人の多い激戦区を、多くトランプが競り勝ったので、ルールに基づいて多くの選挙人をトランプが獲得したのにすぎない。

このシステムがいけないというのなら、ルールを変えて次回の米大統領選から実施することになる。現行のルールに基づいて勝利したトランプを批判するなど、理不尽もいいとこだ。このルールで、ヒラリーが勝つ可能性もあったのである。
ヒラリーは、不正選挙など一言もいっていない。自分がサンダースに対して散々やってきたことだからだ。そのヒラリーが黙っているいるところに、このデモの背景が存在する。
Paul Craig Roberts は、「連中は、キエフで、クーデターの準備をするべく、民主的に選ばれたウクライナ政府に抗議するよう、アメリカ政府とドイツのマーシャル・ファンドが学生たちに金を払っていたのと同じ形で、トランプ大統領を非合法的なものにするため、オリガーキーに金をもらっているお雇い暴漢連中だ」としている。これは正確な分析だ。
政権を倒す世界の大きなデモには、二種類ある。99%の真のデモと、1%が仕組んだ偽りのデモだ。後者には、CIAが絡んだ外国政権転覆の暴力デモがある。
米国の25都市で、一斉に同じスローガン、同じプラカードで始まる。それが誰の利益になるのか。もちろん米国1%の利益になる。
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