軽井沢のヴォーリズと西村伊作(朝吹山荘とル・ヴァン美術館)


昨年の夏、ヴォーリズの愛した街、軽井沢に 憧れのヴォーリズ建築を訪ねました。
 清澄な空気と爽やかな風、 深緑の中に佇む「睡鳩荘」(朝吹常吉氏の別荘)...思っていた以上にすばらしい風景でした。
こんな自然の佇まいの湖畔にその別荘はあります。
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朝吹山荘「睡鳩荘」は・・
昭和6年、実業家朝吹常吉三越社長や帝国生命社長など歴任)が、旧軽井沢の二の手橋にヴォーリズの設計で建てた別荘で、長女のフランス文学者朝吹登美子が毎年夏を過ごしました。学生時代、朝吹登美子さんの翻訳でサガンボーヴォワールの小説を読んだことを思い出します。


平成20年(2008年)彼女から寄贈されて、ここ軽井沢タリアセン(リゾート施設)の塩原湖畔に移築復元、無料公開されるようになりました。前からここにあったかのように、風景に建物が溶け込んでいます。
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近くに行って見ました。下は湖に面したベランダです。
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中は・・
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光をいっぱい取り込む大きなガラス窓と暖炉はヴォーリズ建築の特徴。
階段や照明も美しいです。
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⭐︎軽井沢ル・ヴァン美術館⭐︎

ここは、ヴォーリズと同時代に活躍した西村伊作の美術館で、彼の作った文化学院の建物を軽井沢に移転させたものです。
「伊作」は、聖書のアブラハムの子「イサク」から。
西村伊作は、両親がクリスチャンですが、地震で早く両親を失い、医師である叔父に育てられました。社会を救済しようと活動もされていた立派な叔父さん(大石誠之助 Wikipedia 
でしたが、大逆事件連座させられ、殺されてしまいます。その後伊作自身も政治活動から、身を引き文化学院を中心に文化人との交流や教育など、文化的活動を深めました。絵のセンス、建築設計、陶芸など何でも器用にこなされた方です。写真は西村伊作

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ヴォーリズ西村伊作は、どちらも素人ながら、建築と教育に打ち込んだところだけでなく、考え方もよく似ています。


・家は、接客中心ではなく、子供中心に・・。
・平和主義者
・人に喜んでもらう仕事をせよ…
など

<美術館での心に残った伊作の言葉のメモ>

⭐︎美しく生きることは私たちの最上の願いである
⭐︎我々の心が喜ぶようにするには、日常品を美術品にすること
役立つもの、便利なものは美しい形をしている
⭐︎日常生活に芸術を
⭐︎若い時の読書、経験、思考など、得たもので考える。ゆえに、若い時はいろいろ知り、行動し、経験を積んでみるのがよい。
⭐︎良い知識を持ち、組み立てて正しい思想を持つ。

それが、徳として人を存在せしめる。
⭐︎人の良いところを発見する
・・・・
二人の活躍した大正時代をもっと知りたいです。
二人は同じ時代に生き、文化生活などの雑誌にも投稿したり、対談したりしています。建築設計もヴォーリズを断って、西村伊作に頼んだ教会もあって、二人はライバルだったかもしれません。
西村伊作設計の建物