311以降、徹底的に脱原発に舵を切ったドイツと当事国・日本の違い
3・11以降、徹底的に脱原発に舵を切ったドイツと当事国・日本の違い
今回は、「日本で脱原発がなかなか進まない裏事情」について、厳しく追及しています。
極めて厳しく、辛辣でそして明快です。
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311以降、徹底的に脱原発に舵を切ったドイツと当事国・日本の違い
まぐまぐニュース! 2017年5月17日
中島聡氏 『週刊 Life is beautiful』
Windows95の設計に携わり、「右クリック」「ダブルクリック」などを開発した世界的エンジニアである中島聡さんのメルマガ『週刊 Life is beautiful』。今回は、「日本で脱原発がなかなか進まない裏事情」について、厳しく追及しています。ドイツやアメリカは「再生可能エネルギー」の活用で、脱原発の未来へと着実に歩みを進めていますが、「福島第一原発事故」の当事国である日本の脱原発がいつまで経っても進まない理由とは…?
福島第一での過酷事故を教訓に、脱原発に踏み切ったドイツですが、風力・太陽光などの再生可能エネルギーへのシフトが順調に進み、今や(問題の多い)火力と原発への依存度は、合計でわずか15%しかない状況にまでなったそうです(参照:Germany breaks renewables record with coal and nuclear power responsible for only 15% of country’s total energy)。
それにしても、過酷事故を起こした当事者である日本の状況は、とても情けないものになっています。
高速増殖炉の開発は順調とは程遠いし、放射性廃棄物の最終処分場の目処も全く経っていません。「核のリサイクル」は絵に描いた餅でしかなく(プルサーマルは単なる詭弁です)、このままでは、せっかく備蓄したプルトニウムを処分せざるを得なくなります。
あの事故の被害総額は、住民への(十分とは言えない)補償、今後何十年も(ひょっとすると100年以上も)続く廃炉費用を合わせると20兆円を超えることは明らかで、経産省が「事故リスクを含めた原発コスト」の試算に使った4兆円がいかにデタラメなものだったかが分かります。
それでもエネルギー政策の抜本的な見直しが出来ないのは、失敗を潔く認めることが出来ず、かつ、大量の関連団体(=天下り先)を作ってしまった霞が関にあり、(長年の交渉により、ようやく手に入れた)準核保有国の地位を失いたくない政治家にあるのです。
日本のエネルギー対策の中核を担ってきた人物と安倍総理の関係
そして、これほどの政策の失敗の責任を誰も取らないのが日本の異常なところです。
本来ならば破綻してしかるべき東電を救済したということは、税金と電気代を使って、株主や債権者たちの財産を守ったことになりますが、これは資本主義社会では、決してやってはならないことです。
もっとすごいのは、過去十数年間、霞が関で日本のエネルギー政策の中核を担ってきた今井尚哉氏が、その失敗の責任をとるどころか、今や安倍内閣の総理秘書官として、日本の政治そのものに最も大きな力を持つ「影の総理」の立場にあるという点です。
著者/中島聡(ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア)