詐欺容疑と逮捕の無理筋

詐欺容疑と逮捕の無理筋

森友学園の前理事長夫妻が逮捕されましたね

日本では、「悪いことをした人は逮捕する」という「珍常識」が今でも幅をきかせてるようですが

ぼくがこのたびの逮捕ニュースを聞いて最初に思ったことは

「なんで逮捕する必要があんねん…」ということでした


この点、なぜに日本で「悪いことをした人は逮捕する」という「珍常識」がまかり取っているのか…と言えば

それは「悪いことをしたと疑われる人を取調べするために身柄拘束する必要がある」…と

思い込んでる人が少なくないからですが、(→ぼくも若いときはそない思ってたのだ…)

「取調べ目的」の身柄拘束は認められてません

(=取調べを目的とした逮捕はできない…ということです)


ほな、いったい、どんな理由あるいは必要性で被疑者の身柄を拘束することができるのか…と言えば

それは、「(被疑者の)逃亡防止」と「証拠隠滅の防止」のため…(→これが「逮捕の必要性」とよばれるものです)

でありまして、この二つの必要性が満たされなければ、

逮捕の理由(=被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由)があっても、

身柄拘束という強制捜査はできない…ということになってるんです (ホンマでっせ、これ…)


ほな、今回逮捕された森友学園の前理事長夫妻に逮捕の必要性があるのか…と言えば

まず、あの二人が逃亡する可能性は、誰が見たってない

そして、今までの家宅捜索で持って行ける資料はほぼ全部押収してる…ので、

あの二人が、これから証拠を隠滅するということも考えにくい(…というか、物理的に不可能)…から

逮捕の必要性がみたされてるとは到底思えないのであります


ただ、今回の事件は夫妻の「共犯事件としての立件が予定されていて、

夫妻が「口裏合わせ」をする…という意味で広義の「証拠の隠滅」を図る可能性がある(から逮捕した)…と

検察が主張することもできるかな…とは思うけど、この点に関しては

東京地検特捜部で現在は弁護士の郷原信郎氏が

検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか』←クリック
のなかで
それなら、先週木曜日(7月27日)に初めて任意聴取した段階で逮捕すればよかったはずだ。その時点で「罪証隠滅のおそれ」がないと判断して帰宅させたのに、なぜ、その4日後に「逮捕」ということになるのか。
…と書いてはるので、やっぱり納得できない…と思うところです


ちなみに、今回の夫妻の逮捕容疑は、大阪地検が告発を受理した「補助金適正化法違反」容疑ではなく、「補助金の詐取」という詐欺容疑である…というのが、これまた、ヘンテコリンな話になってまして

それがなぜにヘンテコリンな話であるのか…は、上記リンク先に書いてあるので読んでくださいませ…




「森友事件」の核心は「国有地が不当に安く売却されたこと」であり

今回の夫妻の逮捕容疑は「周辺事案」に過ぎません


NHKがすでに報道しているように、土地の売却価格について財務局側から森友側に打診があった…ということは

既に、大阪地検特捜部の(関係者への任意)捜査でも明らかになっているし

フジ系列のニュースでも、近畿財務局と森友学園側の価格交渉の音声データが出てきてるので

財務省(近畿財務局)の背任行為と、そのような事実はないと国会で言い続けた現国税庁長官の「虚偽答弁」は、確定したも同然の話であり、

あの夫妻の逮捕立件だけで幕引きがなされる…なんてことになれば
検察庁もまた、広義の背任にあたろうかと思うところです


(検察が本来の職務を遂行しないのは、主権者に対する「背任」や!)




※その他、この件に関して知っておきたい情報があるので、紹介しておきます↓

「逮捕後公開」を条件に籠池氏が明かしたこと』(東洋経済オンライ