最初から「できない」ことに決めてる検察と、それに乗っかるメディア…ってか

最初から「できない」ことに決めてる検察と、それに乗っかるメディア…ってか

背任罪って、その他の故意犯と比較して、それほど認定が困難とは思わんのだけど

TVや新聞などのメディアは、ずっと前からこういう解説記事ばっかり書いとるな…↓

森友学園 国有地売却、捜査難航 背任罪立件は困難か(毎日新聞:2017年8月21日)

 大阪地検特捜部は補助金詐欺事件と並行し、国側が国有地を不当に安く森友学園に売却したとする背任容疑でも捜査しており、「8億円の値引きが適正だったか否か」が焦点だ。ただ、背任罪の成立には交渉に当たった近畿財務局の職員らが「私利私欲」に基づいて判断したことを証明する必要がある。

 大阪府豊中市の国有地は昨年6月、鑑定評価額より8億円以上安い1億3400万円で売却された。小学校建設を進めていた学園が、地中から大量のごみが見つかったとして値引きを要求。財務局と大阪航空局がごみの量などを算定し、値引き額を決めた。

 背任罪の適用には、職員が自己や学園の利益を図り、国に損害を与える意図があったとの立証が必要。典型的なのは金銭授受などで両者が癒着するケースだが、今回その事実は見つかっていない。

 特捜部が注目するのは、籠池容疑者らが地中ごみや土壌汚染について繰り返し抗議し、「開校に支障が出る」として損害賠償をちらつかせていた点だ。職員らが訴訟リスクも踏まえて早期売却が国の利益になると考えたとすれば、値引きに私利私欲があったと認定するのは困難になる。ある検察関係者は、「国民の関心事なのは分かっているが、冷静に判断しないといけない」と話す。

こういう解説記事…というか、「勝手に結論記事」は、日本のメディアでよく見かけるけど

その意図はもちろん、「読者に(勝手な)先入観を与えて、できないことを仕方がないと思わせること」にあるわけで

じゃ、なんでメディアがそんな意図を持つのか…といえば、それは検察の意向を忖度しとるんだろうし

内閣の意向も忖度してるから…なんでしょう


ちなみに、背任罪は「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り(=図利目的)又は

本人に損害を加える目的(=加害目的)で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加える」ことで

成立するところ、これを「森友事件」にあてはめてみると

財務省の職員」(=他人のためにその事務を処理する者)が

森友学園に便宜を図るため」(=図利目的)に、あるいは、「国に損害を与える目的」(加害目的)で

国有財産を不当に安く売却(=「その任務に背く行為を」し

国に財産上の損害を与えた(=「本人に財産上の損害を加える」)…というあてはめになるので

これほど典型的でストレートな背任罪の成立はない…と、ボクなら考えるんだけど

法律の専門家たる検察官は「背任罪が成立しない理由」を一生懸命探してはるようで

なんと、森友学園がほのめかしていたとされる、

「ゴミ埋設による開校の遅れを理由とした損害賠償請求」を避けるために国有財産を安く売却した…のだから

図利目的も加害目的も認定できない…なんてコトを言うてますねん


しかしながら、もともと、国有地の取得を希望していたけど、そのお金が用意できなかった森友学園に対して

国有地の貸与(=定期借地権の設定)をしてあげる…ということからして破格の「特別扱い」であり、

その後、10年間の定期借地権設定期間内での買い取りを認めてあげた…というのも、

これまた極めて例外的で本来ならあり得ない「特別扱い」であったところ、

「ゴミ埋設による開校の遅れを理由とした損害賠償請求」を避けるため…なんていう理由が

「不当に安く」国有地を売却する正当な理由になるのか?…と言えば

そんなワケないやんけ…

(そやかて、財務省は国がゴミ処理費用として事前に支出した額とほぼ同額で国有地を売っとるんやから
 これは「不当に安い」なんてレベルやのうて、「実質タダ」で売った…というか、あげた…という話であるところ
 いくら損害賠償請求のリスクを回避するため…とはいえ、
 高価な国有財産を「実質タダ」で処分する権限が財務省にあるわけないやんけ!)


ついでに言うとくと、例えば、殺人罪では「こんなことをすれば確実に死ぬ」という確信がなくても

「こんなことをすれば死ぬかも知れないな」という認識(=未必の故意)で故意認定ができるところ

背任罪の「図利または加害の目的」だって、

「確定的認識がなくても未必的認識があれば目的ありとしてよい」とされているので

(いくら訴訟リスクを避けるため…という口実があるにせよ)「こんなに安く国有財産を売却したら

国に財産上の損害が生じるだろうな…」という(当然持つべき)認識があるなら

「加害目的」が認定できるので、背任罪における故意認定(目的認定)も困難ではない…


なので、ボクはなんでメディアがこういう解説記事を書いてるのかが、ホンマに不思議でならんのやけど

こういう(デタラメな)法律構成は、「法の専門家」ではないとなかなか書けないはず…なので

これは(刑法に詳しい)記者が書いた…というよりも、

検察の解説をそのまま記事にしただけ…であろうと思います

(残念ながら、この流れでいくと、財務省職員の「背任罪」容疑の起訴は見送りのようですな…)


う~ん、民には厳しく、官の犯罪にはめっぽう甘い、この国の麗しき伝統はいまだ健在なり…