桜の思い出(千鳥ヶ淵公園から)
私は東京育ちなのだが、この桜の名所は訪れたことがなかった。
こんなかわいい桜の種類が・・^^
公園自体は小さいのだが、ここから皇居を眺めるところの桜が美しい。
菜の花と桜、それにお堀の深い色が調和していた。
私も桜の季節が巡って来るたびに、入学式、お花見、子どもたちや親しい友人たちとの思い出が蘇る。
でも、桜の花に父を思い浮かべることはあまりなかった。
ところが、この日は妹から亡き父の話を聞かされて、この桜の写真を見ると
父を思い出す。
話というのは・・私が高校1年生の春休み、池袋のタカセというパン屋さんで初めてアルバイトをした時のこと。
父は不器用な私が心配で、こっそり様子を見に来たそうだ。
私は奥で仕事をしていたので、父には気づかす、父も私の仕事ぶりを見ることはできなかった。
そして「娘をよろしく・・」と言って、
行く度に菓子パンを大量に買って帰ったという。
・・・そんなこと知らなかった
・・・・はずかしいなぁ・・・
妹「でしょう??」
「そんなことを知ったら、きっと恥ずかしくて行けなくなるよ」と妹たちに言われて父は慌てて家族に口止めをしたのだそうだ。
家族全員暗黙の了解のもとで
私はお嫁に行く時も、父が危篤の時もずっと知らされないままでいたのだった。
「おかげで美味しいパンをしょっちゅう食べられたの」と言われて、またびっくり。
そんなにしょっちゅう来てくれたの??
高校1年の娘のバイト先にしょっちゅう足を運んでいた父・・
でも、知らなくてよかった。
そのころ知ったら、親の心がわからない娘は、
「そんな恥ずかしいこと止めて!」と父を責めていただろう。
娘にしたら…ありがた迷惑な話ではあるが、
娘を思う父親の気持ちは素直に嬉しかった。
父は仕事で忙しい人だった。
でも、こうして、知らないところでも子供をいつも心配してくれていたんだなぁ・・と思うと、胸がいっぱいになる。
できれば、亡くなる前に知りたかったと思う。
もしもこの時に帰れるなら…
多忙な時間を3日に上げず来てくれたらしい父に
「ありがとう」と伝えたであろうし、
アルバイトのささやかなお金で、何か父にプレゼントを贈ることもできただろう。
しかし・・・
よくよく考えてみると、
甘党の父は菓子パンも好きな人だった。
娘をよろしく…と言いつつ、
好きな菓子パンを買うのも楽しみだったにちがいない^^
ゆえに、この話は、
娘と菓子パンへの愛ということにしておこう・・。