故郷に帰るSさんへ

 故郷へ帰るSさんへ
昨夜、Hさんから貴方のことを聞きました。会社を31日付けで退職されたのですね。

でも、実はリストラされたのだということ。とりあえず、ご両親のいる故郷に帰ること。
私たちの温泉の会の集まりにも、参加できなくなるということも・・

急なでき事に驚きましたが、貴方がリストラされたということが、
信じられなくて…胸が痛みます。

貴方が温泉研究会に入って来られたのは、一昨年暮れのことでした。
中高年の多いこの会に、いきなり若い貴方が「参加したい」と入って来て、会の雰囲気が華やぎ、若返ったように感じたのは私だけではありません。平均年齢も若くなりました…。

でも、皆が喜んだのは、決して貴方の年齢に対するものだけではありません。
貴方の明るく、活気に溢れた存在そのものが好もしかったのだと思います。

行動力ある貴方は、一人で、たくさんの温泉巡りをしました。
秋田の雪深い温泉を訪ねた時などは、お女将さんに気に入られて、かなり遅くまで色んなことを話し込んでしまったこと。その後、広島の家に帰ったら、秋田小町が十キロも届いていた…!…という話。いかにも好青年の貴方らしい…と、ほほえましく聞きました。

kさんのお店に集まった新年会には、自分が畑で作ったという白菜をお土産に持ってきてくれましたね。
若いうちから、農業にも関心が…?いや、自給自足は基本ですから…と照れる貴方。
若いのによく気がつき、心遣いも忘れない方でした。

温泉の会を気に入って下さったあなたは、友人も引っ張って来てくれました。
「こいつ、ホントにメチャいい奴なんです!」と友人を紹介する貴方も、
私たちにはメチャいい奴に映りましたよ。

…そんな貴方は、会社でも人財に値する方だと思っていました…。

でも、言いにくいことも、はっきり意見として進言する貴方に、
恐らく上司は、やりにくさを感じたのかもしれません。
貴方の発言を「風紀を乱す」と受け取られてしまったのは、
上司の方も、いささか狭量のようにも思えますが、ヒエラルキーのきつい会社では
貴方の進言は受け入れがたかったのでしょう。

上司に、自分の思ったことを、真っ直ぐに言える勇気は、回りに迎合していく生き方よりも、私には好ましく思えます。貴方のことですから、間違ったことを言ったわけでもないと思っています。

でも、世の中は正しいことが絶対に通るとは限らないし、思うようにはならない方がむしろ多いかもしれません。
若く、真っ直ぐな性格ゆえに、こんなことで挫折の経験を味わうなんて。・・私もとても辛く感じます。

でも、リストラされようとされまいと、貴方の価値は変わりません。
それだけは忘れないでくださいね。

若い貴方は、どうか自分にあった仕事をもう一度見つけて、再出発してほしいです。
失敗しても、躓いても、何度でも起きあがる・・・貴方はそんな強さも、持った人だと思っています。

送別会行けなくてごめんなさい。でも、陰ながら応援しています!頑張れSさん!