政府見解との相違(武田先生)
武田先生の4月2日の情報です。
テレビや、政府の信用できない発表に困惑されている皆様には、
武田先生の良心的な情報に、毎日目をを通されることをお勧めします。(ほぼ毎日、更新)
政府や御用学者さんの発表とは、見解が違います!
下記サイトです。(過去の情報も見ることができます)
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武田邦彦 (中部大学) http://takedanet.com/
プロフィール http://takedanet.com/2007/06/post_7d91.html
特設スタジオ http://takedanet.com/cat5621932/
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
福島原発で放射性物質が漏れたとき、一般人が1年間に被曝しても大丈夫な量は、
(法律と私) 1ミリシーベルト
(解説者) 100ミリシーベルト ・・・(政府)「直ちに健康に影響はない」
・・と大きく違いました。
これでは普通の人が迷うので、「違いの原因」だけ解説をしておきます
.
まず、100ミリシーベルトを支持する専門家は、国立研究所系研究者、京都大学、長崎大学、東芝関係者などに多いようですが、その一人は、かつて長崎大学におられて、今、京都大学の渡邉正己教授です
わたくしは普通このようなことを論じるときに、個人名を挙げません。それは、内容を批判することがあっても、人間を批判したくないからです。
しかし今回の場合ははっきりと発言しておられますことと、
ここでは渡邊先生を批判するのではないので、先生のお名前を挙げさしていただきました。
先生が3月20日に発言されたことは次のようなことでした。
「100ミリシーベルトで健康に害を与えると仮定しても、発がん率はおよそ100人に1人。放射線の被曝がなくても100人のうち50人はガンになるので、あまり影響はないと予想されます。」
これは先生のお考えであり、わたくしの考えとは違います。
・・・・・・・・・・・
「人間はがんで死亡するのが、人口の約半分なので100人に50人はガンで死ぬ。
だから放射線に被曝して100人に1人だけガンが増えたからといって問題ではない」というのが先生の趣旨です。
これに対して、わたくしは次のような例を考えます。
1) 「どうせ人間は100人に100人が死ぬのだから、交通事故で死んでも問題はない。それに、交通事故の死者数はわずか10万人に5人だから、交通事故対策等はやらなくてよい」
2) 「飲酒運転をしても、交通事故死の10分の1にしか過ぎない。ましてその数は100万人に5人だ。だから飲酒運転を取り締まる必要はない」
*どうせ人間を100人に100人が死ぬのだから、交通事故で死んでも病気で死んで同じであると言え ば、それはそうかもしれません。
*渡邊先生はこのように考えておられると思います。
しかし、社会が交通事故を何とか無くそうとしているのは、人間が自然の中で死んでいくのは仕方がないが、幼い子供や青年が、また、仮にお年を召した人でも、やはり交通事故で亡くなるというのは悲惨なことだと日本社会は判断していると思います。
飲酒運転による交通事故死は、交通事故全体の10%に過ぎません。
飲酒運転で犠牲になる方は年間「たった」50人です。
確率的で言えば「100万人に5人」にしかすぎません。
100万人に5人しか被害を受けないものをメディアが騒ぐというのも問題かもしれません。
しかし、お酒を飲まなくても運転できるし、お酒を飲めば交通事故が多くなるのです。だからたとえ50人増えるにしても、日本社会は何とかそれを食い止めようとしてきたと私は思っています。
このような通常の社会的な災害に対して、
100ミリシーベルトの放射線を浴びると100人に1人がガンになるわけですから、
約1億人の日本人を考えれば、1000万人がガンになるということになります。
現在では福島市の約半分がかなり危険な状態にありますから
放射線を浴びている人たちの数は100万人程度です。
従って、福島県だけを考えても、1万人の人が放射線の被曝でガンになると
渡辺先生はおしゃっています。
福島県の100万人の人は、最終的にお亡くなりになる時の原因はガンが50万人
ということになります。
が、お年を召して自然にガンで死亡されるのと、福島原発から出た放射性物質を浴びてガンになって死ぬというのは大きく違うと私は思います。
まして「時期の問題」を考えると、放射線による疾病の調査のほとんどは20年間ぐらい
現在の赤ちゃんは、仮に1ミリシーベルトの放射線をあびると、20歳ぐらいまでにガンになる ということになります。
わたくしは、渡辺先生と考えが違うのはこのように思うからです。
・・・・・・・・・
もう一つの違いは、飲酒運転というのは「してはいけないことをする」という問題でもあります。
今回の原発事故は、原子力に関係してきたわたくしにとって見れば、
原子力が「してははいけないことをしてしまった」と申し訳なく思っています。
原子力の関係者は「今まで原発から放射線が漏れることはない」と言ってきたわけですから
今はせめて付近住民の方に安全な情報を早く伝えることと思います。
「してはいけないことによって出た放射線でガンになる」ということは、
わたくしには「してはいけない飲酒運転をした犠牲者」と同じと考えるからです
また、わたくしは、「100人に1人」という数はかなり高いように思います。
親の気持ちなれば、1000人に1人でも危ないと思い、1万人に1人ぐらいになれば、
何とか防いであげることができると思うのではないでしょうか。
*渡邊先生と同じ長崎大学の先生は、「100ミリシーベルトで、100人に0.5人しかがんにならない ので大したことがない」というふうに発言されていました。
わたくしは交通事故が「1万人に0.5人」ということを考えれば、これも100倍の危険ですから、 非常に大きな値ではないかと思います。
ちなみに、福島県全体のことを考えると、すでに汚染が開始されてから1ヶ月になろうと
していますが、空間の放射線量が1時間あたり2マイクロシーベルトぐらいのところは、
1ヶ月経ったところで、空間放射線から1.5ミリ、内部被曝が1.5ミリ、水から1.5ミリ、
食品から 1.5ミリで合計6ミリシーベルトぐらいになっています
それに、自然放射線0.12ミリ、胃のレントゲン0.6を足して約7ミリシーベルトが
1ヶ月後に放射線がゼロになったとしての被曝量です。
被曝によるガンの発生が受ける放射線の量によるとしますと、
100万人あたり7万人のガンがでることになります(渡邊先生の予想を比例計算)。
*このように整理していくと、渡辺先生とわたくしとは、放射線を浴びることによってどのくらい ガンになるかという「科学的事実」については見解はほぼ同じです。
違いは「危険」と感じる程度が違います
おそらく、渡辺先生は100人が50人とか100人がガンになるような場合が「危険領域」
とご判断されていると思いますが、
私は100人中1人でもガンになるというのは「大変なことだ」と考えています。
この判断は、読者の人がご自分のお考えに合わせて判断するべきものと思います。
政府やメディアは「1万人に1人ぐらいで騒ぐのは風評だ」と言っていますが、
騒がない方が風評のように思います。
・・・・・・・・・
さて、このことで二つ考えるべきことがあります。
一つは、一見して科学者の間で、科学的事実は一致していても、
「人生、健康、思想、政治的立場」で差がある場合があります。
このようなときに専門家はお互いに非難することなく「どこに考えの差があるのか」ということをはっきり言ったほうが聞いている方はよくわかると思います。
もう一つは政治の問題です。
かつては、日本に資本主義を支持する人と社会主義を支持するグループがあって、国会では与党 と野党を形成していました。
こんどのような時には、資本主義を支持する与党の人はどちらかというと原発推進の立場から 「このくらいの放射線なら大丈夫だ」という発言をし、
それに対して、社会主義で野党の人は庶民を守ると言う見地から「危険だ、政府は隠している」 と追及して、それがあるバランスになっていたように思います。
またメディアの中でも政府に批判的なメディアがあり、国民が放射線を浴びるのは良くないとい うことを基本に、紙面を作り、それが政府を動かしたりしました。
しかし最近ではメディアも含めてオール与党のようになったので、今回の件でも政府の発表等 を鋭く追及する力が弱かったようにも思います。
特にわたくしは、発電所周辺の海で基準値の3355倍の放射性ヨウ素が見つかった時に、保安院は「直ちに健康に影響はない」と記者会見で言っていました。
政府は明らかに不適切なことでも言うこともあります。
もし、わたくしがそこにたら、
1) それならば何万倍になれば危険になるのですか?
2) 健康に影響がないということは原発の近くの海で子供を海水浴させてもいいのですか?
という質問をしたと思います。
これを考えても、政府発表に対しての記者の方の追及の力が弱いように思います。
わたくしはそれこそがメディアや学者の役割と考えています。
(平成23年4月2日 午前9時 執筆)
テレビや、政府の信用できない発表に困惑されている皆様には、
武田先生の良心的な情報に、毎日目をを通されることをお勧めします。(ほぼ毎日、更新)
政府や御用学者さんの発表とは、見解が違います!
下記サイトです。(過去の情報も見ることができます)
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武田邦彦 (中部大学) http://takedanet.com/
プロフィール http://takedanet.com/2007/06/post_7d91.html
特設スタジオ http://takedanet.com/cat5621932/
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福島原発で放射性物質が漏れたとき、一般人が1年間に被曝しても大丈夫な量は、
(法律と私) 1ミリシーベルト
(解説者) 100ミリシーベルト ・・・(政府)「直ちに健康に影響はない」
・・と大きく違いました。
これでは普通の人が迷うので、「違いの原因」だけ解説をしておきます
.
まず、100ミリシーベルトを支持する専門家は、国立研究所系研究者、京都大学、長崎大学、東芝関係者などに多いようですが、その一人は、かつて長崎大学におられて、今、京都大学の渡邉正己教授です
わたくしは普通このようなことを論じるときに、個人名を挙げません。それは、内容を批判することがあっても、人間を批判したくないからです。
しかし今回の場合ははっきりと発言しておられますことと、
ここでは渡邊先生を批判するのではないので、先生のお名前を挙げさしていただきました。
先生が3月20日に発言されたことは次のようなことでした。
「100ミリシーベルトで健康に害を与えると仮定しても、発がん率はおよそ100人に1人。放射線の被曝がなくても100人のうち50人はガンになるので、あまり影響はないと予想されます。」
これは先生のお考えであり、わたくしの考えとは違います。
・・・・・・・・・・・
「人間はがんで死亡するのが、人口の約半分なので100人に50人はガンで死ぬ。
だから放射線に被曝して100人に1人だけガンが増えたからといって問題ではない」というのが先生の趣旨です。
これに対して、わたくしは次のような例を考えます。
1) 「どうせ人間は100人に100人が死ぬのだから、交通事故で死んでも問題はない。それに、交通事故の死者数はわずか10万人に5人だから、交通事故対策等はやらなくてよい」
2) 「飲酒運転をしても、交通事故死の10分の1にしか過ぎない。ましてその数は100万人に5人だ。だから飲酒運転を取り締まる必要はない」
*どうせ人間を100人に100人が死ぬのだから、交通事故で死んでも病気で死んで同じであると言え ば、それはそうかもしれません。
*渡邊先生はこのように考えておられると思います。
しかし、社会が交通事故を何とか無くそうとしているのは、人間が自然の中で死んでいくのは仕方がないが、幼い子供や青年が、また、仮にお年を召した人でも、やはり交通事故で亡くなるというのは悲惨なことだと日本社会は判断していると思います。
飲酒運転による交通事故死は、交通事故全体の10%に過ぎません。
飲酒運転で犠牲になる方は年間「たった」50人です。
確率的で言えば「100万人に5人」にしかすぎません。
100万人に5人しか被害を受けないものをメディアが騒ぐというのも問題かもしれません。
しかし、お酒を飲まなくても運転できるし、お酒を飲めば交通事故が多くなるのです。だからたとえ50人増えるにしても、日本社会は何とかそれを食い止めようとしてきたと私は思っています。
このような通常の社会的な災害に対して、
100ミリシーベルトの放射線を浴びると100人に1人がガンになるわけですから、
約1億人の日本人を考えれば、1000万人がガンになるということになります。
現在では福島市の約半分がかなり危険な状態にありますから
放射線を浴びている人たちの数は100万人程度です。
従って、福島県だけを考えても、1万人の人が放射線の被曝でガンになると
渡辺先生はおしゃっています。
福島県の100万人の人は、最終的にお亡くなりになる時の原因はガンが50万人
ということになります。
が、お年を召して自然にガンで死亡されるのと、福島原発から出た放射性物質を浴びてガンになって死ぬというのは大きく違うと私は思います。
まして「時期の問題」を考えると、放射線による疾病の調査のほとんどは20年間ぐらい
現在の赤ちゃんは、仮に1ミリシーベルトの放射線をあびると、20歳ぐらいまでにガンになる ということになります。
わたくしは、渡辺先生と考えが違うのはこのように思うからです。
・・・・・・・・・
もう一つの違いは、飲酒運転というのは「してはいけないことをする」という問題でもあります。
今回の原発事故は、原子力に関係してきたわたくしにとって見れば、
原子力が「してははいけないことをしてしまった」と申し訳なく思っています。
原子力の関係者は「今まで原発から放射線が漏れることはない」と言ってきたわけですから
今はせめて付近住民の方に安全な情報を早く伝えることと思います。
「してはいけないことによって出た放射線でガンになる」ということは、
わたくしには「してはいけない飲酒運転をした犠牲者」と同じと考えるからです
また、わたくしは、「100人に1人」という数はかなり高いように思います。
親の気持ちなれば、1000人に1人でも危ないと思い、1万人に1人ぐらいになれば、
何とか防いであげることができると思うのではないでしょうか。
*渡邊先生と同じ長崎大学の先生は、「100ミリシーベルトで、100人に0.5人しかがんにならない ので大したことがない」というふうに発言されていました。
わたくしは交通事故が「1万人に0.5人」ということを考えれば、これも100倍の危険ですから、 非常に大きな値ではないかと思います。
ちなみに、福島県全体のことを考えると、すでに汚染が開始されてから1ヶ月になろうと
していますが、空間の放射線量が1時間あたり2マイクロシーベルトぐらいのところは、
1ヶ月経ったところで、空間放射線から1.5ミリ、内部被曝が1.5ミリ、水から1.5ミリ、
食品から 1.5ミリで合計6ミリシーベルトぐらいになっています
それに、自然放射線0.12ミリ、胃のレントゲン0.6を足して約7ミリシーベルトが
1ヶ月後に放射線がゼロになったとしての被曝量です。
被曝によるガンの発生が受ける放射線の量によるとしますと、
100万人あたり7万人のガンがでることになります(渡邊先生の予想を比例計算)。
*このように整理していくと、渡辺先生とわたくしとは、放射線を浴びることによってどのくらい ガンになるかという「科学的事実」については見解はほぼ同じです。
違いは「危険」と感じる程度が違います
おそらく、渡辺先生は100人が50人とか100人がガンになるような場合が「危険領域」
とご判断されていると思いますが、
私は100人中1人でもガンになるというのは「大変なことだ」と考えています。
この判断は、読者の人がご自分のお考えに合わせて判断するべきものと思います。
政府やメディアは「1万人に1人ぐらいで騒ぐのは風評だ」と言っていますが、
騒がない方が風評のように思います。
・・・・・・・・・
さて、このことで二つ考えるべきことがあります。
一つは、一見して科学者の間で、科学的事実は一致していても、
「人生、健康、思想、政治的立場」で差がある場合があります。
このようなときに専門家はお互いに非難することなく「どこに考えの差があるのか」ということをはっきり言ったほうが聞いている方はよくわかると思います。
もう一つは政治の問題です。
かつては、日本に資本主義を支持する人と社会主義を支持するグループがあって、国会では与党 と野党を形成していました。
こんどのような時には、資本主義を支持する与党の人はどちらかというと原発推進の立場から 「このくらいの放射線なら大丈夫だ」という発言をし、
それに対して、社会主義で野党の人は庶民を守ると言う見地から「危険だ、政府は隠している」 と追及して、それがあるバランスになっていたように思います。
またメディアの中でも政府に批判的なメディアがあり、国民が放射線を浴びるのは良くないとい うことを基本に、紙面を作り、それが政府を動かしたりしました。
しかし最近ではメディアも含めてオール与党のようになったので、今回の件でも政府の発表等 を鋭く追及する力が弱かったようにも思います。
特にわたくしは、発電所周辺の海で基準値の3355倍の放射性ヨウ素が見つかった時に、保安院は「直ちに健康に影響はない」と記者会見で言っていました。
政府は明らかに不適切なことでも言うこともあります。
もし、わたくしがそこにたら、
1) それならば何万倍になれば危険になるのですか?
2) 健康に影響がないということは原発の近くの海で子供を海水浴させてもいいのですか?
という質問をしたと思います。
これを考えても、政府発表に対しての記者の方の追及の力が弱いように思います。
わたくしはそれこそがメディアや学者の役割と考えています。
(平成23年4月2日 午前9時 執筆)