あの鉄腕アトムが・・・・

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小学校の教室の風景です。

・・・・全半省略・・・・・

手塚治虫。」 *手塚治虫氏の顔写真を提示

説明
  手塚治氏の願い 「原子力平和利用の夢」は実現して、 今、わたしたちの暮らしを  ささえてくれています。

発問 それは何でしょうか。
指示 ノートに自分の予想を一つ書きなさい。 

「ロケット。」「ロボット。」と書いた子もいたが、ほとんどの子は「原子力」の言葉 から、「原子力発電所。」と書く。

説明
 
 原子力発電所です。
 ここ九州には原子力発電所が2基あります
 佐賀県玄海原子力発電所と鹿児島県の川内(せんだい)原子力発電所です。

九州電力の発電電力量H12版)
「表題」「何年」を読み上げ、出典は九州電力であることを告げる。
縦軸(億KWh)…「電気をつくっている量」と簡単に説明する。
横軸(各発電所の種類名)を左から順に確認する。 「原子力発電所、石炭を使った火力発電所LNGつまり液化天然ガスを使った発電所、…。」

指示 このグラフをみて、わかったこと・気づいたこと、思ったことをノートに3つ書きなさい。
3つ書いた人から順に、これは、というものを1つ選んで発表してもらいます。


原子力発電所がだんとつ1位で、すごい。」 
原子力発電所がこんなに電気をつくっているとはじめて知った。」
原子力発電所は、2位の石炭火力発電所の2倍以上も電気をつくっている。」 
「九州の電気は原子力発電所でたくさんつくられているんだ。」

説明 (フラッシュの画像に合わせて語る。)
 
 原子爆弾水素爆弾
 そして、手塚治虫氏の夢、「原子力の平和利用」。
 九州に2つある原子力発電所

指示 今日の授業の感想をノートに書きなさい。    

書き上げた子から、順に発表させる。

手塚治虫さんは未来の平和のことまで考えているすばらしい人だと思った。
  そして、その夢もかなってよかった。
○手塚治さんの夢がかなってよかったと思った。
  それに、今のわたしたちを支えているんだな。」
原子力が今、平和利用でとても役立っていて、よかった・・以下省略

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これはTOSSという教育機関での、原発推進を理解させるための授業の一部です。

 教育界でも「原子力教育」なるものが推進されています。(電事連後援)


正直ショックでした。鉄腕アトム原発推進に使われていたなんて ・・。

アトムは、私の子ども時代に好きだった漫画。

アトムは原子という意味だけど、手塚治虫さんは「原発で、平和利用ができてよかった」と、本当に思っていたのだろうか??

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以前、手塚治虫さんのエッセイで、こんな話を読んだことがある。(多少記憶違いはあるかもしれないけれど・・)

戦争中、焼け焦げて死んだ馬や犬の死体に、手塚治さんは怒りを覚える。

動物たちが死んだのは、人間の戦争に巻き込まれたからだ。

人間がすべて中心であると考える人間性原理のような考え方は間違っている・・。

地球には、人間だけではなく、虫も動物も植物も共に住んでいる。
だから、われわれは地球の運命共同体であり、地球上の生き物は宇宙船地球号の乗組員なのだ。

彼らと共存していくためにも、美しい地球を守るためにも人間は叡智を集めなければならない。
ガラスのような地球を守っていくのは人間のつとめだ・・と、そんな話だった。


それが、なぜ、手塚さんの「鉄腕アトム」が原発に利用されたのだろう?

調べてみると、鉄腕アトムが生まれたのは、1952年、私はまだ生まれていなかった。
知らなかったが原発が出来はじめた頃でもあり、新しいエネルギーへの期待が彼の心の内をよぎったかもしれない。アトムは科学の子であり、原子力パワーで動いているようだった。

しかし、アトムは、危険な原発を抱えてとびまわっていたわけでなく、
 
有害核廃棄物も出さなかった。(笑)

原子力で動くロボットとは単に漫画の設定だけである。

逆に、後年、彼がエッセイにも書いているように、手塚氏は、地球を汚染する人間に警告を出している。

人間中心の無節操な開発や、戦争・核実験・このままでは地球が滅亡へと向かってしまう・・と。

虫や生き物が大好きで、自分の名前にも虫の漢字をつけた手塚治虫氏は、虫の目になって、
と地球上で共に生きている小さい生物の住みやすい環境を守ることが、人間、ひいては地球を守る事につながるのだと力説している。

教師が、これを勝手に曲げて、「原発原子力の平和利用で手塚治氏の夢である」などと
生徒に教えてもらっては困る。

今、フクシマの空っぽになった村でも、取り残された牛や犬、ペットの事を思うと胸が傷む。

人間のエゴが起こした事故の犠牲になった動物、鳥、汚染水を流された海の生き物達・・

この光景を、手塚さんが見たら、きっと怒り、そして嘆くことだろう。

原発は、断じて手塚治虫さんの夢ではない。