ドイツのTV局ZDF「原発から60キロ離れた伊達市のシイタケからは、1キロあたり7000ベクレルの汚染。もはや食べ物ではなくて放射性廃棄物」

世界の真実はどこにあるのか

早々に脱原発を決定したドイツは実に正しい判断をしていると思う。
ドイツ人は頑固で論理的であるというイメージがあるが、正にそのとおりだと思う。

イタリア国民投票脱原発を決定した。

かつての日独伊三国同盟国で脱原発を決定していないのは日本だけとなり、すっかり取り残されている。
原発事故を起こした当時国がこの状態では世界から呆れられるのも仕方ないのかも知れない。

少し脇道にそれてしまうが、日独伊三国同盟はなんとも面白いトリオだと思う。
真面目でお人良しの日本人、頑固で堅物なドイツ人、陽気でイケイケなイタリア人。
微妙なバランスを保つには、もってこいの3人のような気がしてならない。

さて本題に入ろう。
ドイツのTV局ZDFは、8月26日「フロンタール21」シリーズで福島第一原発事故による放射能汚染の実態について放送した。

日本国内の報道ではなく、また原発推進を是としている西側諸国でもないドイツから日本はどのように見えているかを知っておくことは、正しい現状認識を大いに助けてくれる。

ドイツは何故、脱原発を決めたのか?
多くの議論の末の決定であったが、最終的には一つの理念によってその決定は成された。
『未来に対する責任を考えた場合、放射能の問題は現在の経済性で判断してはならない』

この決定に大いなる賛辞を贈りたい。
誠にもってドイツ人は、明快な論理と正しい倫理を持っていると感心する。



ドイツZDF-Frontal21 福島原発事故、その後(日本語字幕)

ドイツのTV局ZDF「フロンタール21」シリーズが 8/26 放送した番組 Die Folgen von Fukushima。

福島第一原発から80キロ離れた本宮の農家大沢さんは、自分の栽培する野菜の検査を市民放射能測定所に依頼した。
県の食品衛生検査所では受け付けても--らえなかったからだ。
結果大量のセシウムが発見される。
「これはもはや食べ物ではなく放射性廃棄物です」。
なぜ行政はこうした検査を受け付けないのか、ドイツの記者が原-発-担当大臣を問い詰める。
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この美しい風景が悪夢の舞台です。

日本屈指の豊かな農地福島県
都会の人の観光地としても人気だ。
原発事故でその広域が汚染されてしまったのだ。

大沢さん(61歳)は本宮の農家。
原発からは80キロ離れている。
畑で採れたジャガイモ・ナス・ネギを隣町の市民放射能測定所に持ち込んだ。

原発事故以来、自分で栽培した野菜は食べていない。
放射能汚染を恐れたからだ。
「政府の発表はもはや信用できんない。
 最初から事態を小さく見せようとばかりしている。
 「直ちに健康に害がない」の繰り返し。
 正確な数値も出さない、まともな測定もしない。
 汚染問題の中にみんなを放置した。


事故後、大沢さんはすぐに作物の検査を行政に依頼したが、
「畑は20・30キロ圏から遠く離れている、検査の必要はない。」
と断られた。

市民放射能測定所の意見は正反対である。
「汚染のない作物はない。特にセシウム137がひどいからだ。
 こんな汚染数値の場所は本当は絶対避難するべきです。

大沢さんのジャガイモも例外ではなかった。
原発から60キロ離れた伊達市のシイタケからは、1キロあたり7000ベクレルの汚染が測定された。
基準値は500ベクレルだ。

もはや食べ物ではなくて放射性廃棄物です。


汚染調査は本来、県の食品衛生検査所の管轄だがほとんどパンク状態である。
コンセプトもない、人手も計測器の数も追いつかない。
「一般の方の検査はお断りせざるをえません。我々が選んだサンプルを検査し判断を
 しておりますが、それだけで手一杯の状態です。
 市民の検査も引き受けたら、役所の仕事に手が回りません。」


我慢強い日本人もだんだん食品の汚染問題に気付き始めている。
野菜緑茶に続いて牛肉。

原発を所有する東電の反応は?
今までと同様、ノーコメント、管轄外の一点張りだ。
「私たちの仕事は原発の中です。
 測定は国と地方行政の管轄で私たちはお手伝いするだけ。
 ですからコメントできません。」

大沢さんの農作物検査結果について我々が質問すると、原発担当大臣(細野豪志)はうろたえるばかりだった。
危機管理担当の役人達は長々と書類をチェックしたあげく、大臣はついに不備を認めた。
「万全の監視体制のつもりでしたが、牛肉問題で検査の強化の必要が認められました。
 今後汚染食品が出回ることを防止しなければなりません。」


一方、グリーンピースは独自の調査結果を発表。
魚も汚染されていた。
魚は相変わらず高濃度のセシウムに汚染されています。
 原発から55キロ離れたところまで調査した魚の半分が、基準の500ベクレル/キロを
 大きく上回っていました。
 汚染が広範囲であることを物語っています。」


日本人の主食、米も同じ運命のようだ。
大沢さんの田んぼの土は二度、検査所に提出された。
最初の検査は合格したが、二度目の結果は公表されない。
「今年も作付け出来るか知りたかったので、自費で独立の研究所に検査をしてもらった。
 5万3000ベクレル/キロのセシウム137が検出された。
 基準値の7倍だ。
 米作りはあきらめた。」


福島市のほとんどの住民はこうした汚染数値を知らされていない。
おりしも夏祭り、売られている物は何でも食べる。
空中線量が下がって以来、人々は日常生活に戻った。
子供の被曝許容量が20ミリシーベルト/時に引き上げられたことへの怒りも忘れ去られたようだ。

英国クリヅトファー・バズビーのような専門家は、まさにそのことに警鐘を鳴らす。
「日本政府の無責任ぶりは犯罪的だと思う。
 子供に平気で高い被曝をさせている。
 都合がいいというだけで短期間にこれほど基準を変えてしまうとは。
 この判断は間違いなく多くの子供を死に至らせるだろう。
 文明国のやることとは思えない。」


だが、ここはまさに原子力ムラの国なのだ。

権力を握る電力会社、政治家、官僚が原発のあらゆるスキャンダルを隠蔽し、大したことがないように見せてきた。

何兆円ものビジネスを守るために今回も同じ手段を使おうとしている。


大沢さんはまさに文字通りそれを「身」をもって体験した。
「自分の体がどれくらい放射能被曝しているか検査したかった。
 だが福島大学には拒否された。
 「市民の検査はしない」と。
 友人は隣の県の病院に問い合わせた。
 ところが福島県知事から福島県民の診察を受け入れないよう指示されているそうだ。」

そのような指示の出された事実はないと当局は言う。
しかし大沢さんは農家を捨てなければならない。
自宅で毎時90マイクロシーベルトを測定したのだ。
9日間でドイツ原発作業員の年間許容量に達する数値だ。
原発から80キロも離れた場所なのに。



「これは人間の想像力を超える惨事です。
 制御不能の状態であることは当初から明らかだった。
 どうしたらいいのか誰にもわからないし簡単な答えもない。
 これは人類史上最悪の惨事だと思う。」


福島の至る所に人々はひまわりを植えた。
土の中の放射能を吸収すると言われている。




日本国内のテレビをいくら見ても、新聞をいくら読んでも真実は伝わってこない。
野田首相にはしっかりとした事故対策と、子供への被曝を低減させる施策を実行してもらいたい。