たねまきジャーナル 3/7 小出先生VS原発推進派澤田氏

永岡です。毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル
小出裕章先生、今回はスタジオで、原発推進側の東工大、澤田哲生さんとのお話がありました。
ちょっと長いですが、お付き合いください。

 小出先生、初のスタジオ出演であり、いつもデータのあるところにいたい(戦場にいたい)と言われていました。(データは貴重!) 
これからの原発政策について・・
小出先生、「40年間一刻も早く止めるべきと言い続け、それが出来ないまま事故を起こした。即刻原子力を全廃して欲しい」と言われました。

 澤田さん「続けていくべき。福島は今回の震災と津波でやられたが、女川や東海は停止しており、その意味を考えてほしい。原発は日本のエネルギーだ」と言われました。

 リスナーより、「原発推進の人は表に出ない。澤田さんは相当な信念」と言われて、
近藤さん、「小出先生も学生時代原発を勉強しようとした。ところが原発の実態を知って考えが変わった。それが、これだけの事故が起きても変わらない人…推進派がいる。その理由を聞きたい」と言うことです。

 リスナーより澤田さんに、「福島を2度と起こさない自信はあるのか?」
澤田「それは言い切れない。しかし仮にあのような過酷事故が起こっても、今回のような放射能を出さない方策はある(今回より少なく)、工学的な機械を付けることは出来る」と言うことです。
 また、原発に変わりこの国を支えるエネルギーについて
小出先生
短期的には火力しかない。石炭・石油・天然ガスは地球が蓄えた資源であり、ウランも長い年月をかけて作った。それを人間が使い切ろうとしている。数百年後は再生可能エネルギーを利用するしかない。それにかじを切るべきと言われました。

 
原発のニュース、福井県の大飯3,4号機のストレステストの結果について、安全委員会、保安院の結果に厳しい意見が出て、事故の時に作業員が行く場所なし、津波が遡る想定なしとなり、傍聴者もいたものの、保安院に落胆しています。

 野田総理原発対策は大事と言い、事故の進展に沿ってやっているといい、再稼働を急いでおり、地元の理解を得ているかを見て、最後は政治が判断すると言うのです。

 そして小出先生、澤田さんのお話
小出先生
「政治が判断するというのは呆れた話。何としても原子力をやると宣言しており、今まで保安院、安全委員会が確認しながらこの事故で、そういう人が一切責任を取らず、計算して…今までどおりでお墨付き…ということで、政治が決断するなら、「どうにもならない国」と言うことです。

 澤田さん
ストレステスト、7月6日に菅総理が条件として、1次、2次評価があり、中身をどう評価するか未定。
1次評価は再稼働の判断材料であり、2次は総合安全評価で、電力会社が答案を考えて出して、事故後で応急的な処置(電源車など)をやり、従前より設計上に余裕が出来たものの、津波の駆け上がるのを考慮せず、処置の前と後を比較して、単純な評価であり、ストレステストが再稼働の条件として妥当とは分からない。それを理由に政治的に再稼働をするもので、科学的な客観性はないと言うことです。
2次評価は安全評価であって、安全評価OKと、科学的に信頼性があるかは違うと言うことなのです。
1次評価は政治的なものなのです。
どういう評価が要るかは不明で、判断するのが政治家と言うのであり、津波の議論もあり、地元の理解を得るのが大変とのことでした。

 そして今日のテーマ、『日本の原発どうする?東西の専門家が本音で生トーク』というふうに題させていただきました。今日はお二人のお客様お越しでございます。
 京都大学原子炉実験所助教小出裕章さん、そして東京工業大学原子炉工学研究所助教、澤田哲生さんです。

この1年大変であり、政府・東電の言う冷温停止「状態」について
「本当に冷やされているか?ー」について
澤田さんのお話
「ポイントは二つ。壊れた燃料がどこかにあり、圧力容器の底か、それを突きぬけているか(格納容器)、実際不明であり、見ないと分からず、計算結果は単純な評価であり、それが冷やされているか、温度計のデータを見ると冷えている。注水、循環冷却系で冷やしており、そこを回る水の温度を見たら、格納容器の底に部分的に熱いところがあるかも知れないが、極端にはなっていない。圧力計もあり、十分に冷やされていたら蒸気は出ず、圧力容器の中のものが蒸気に乗って外に出ることが少なくなり、これを見ると、冷温停止「状態」が何を言うかは不明だが、安定的に冷えている」と言うことです。

 小出先生のお話、「大切なのは放射能が環境に出て被曝すること。
融けた炉心がどこにあるかが一番大切で、これが土台であり、冷温停止は圧力容器が健全で水を入れられて100度以下の状態、しかし圧力容器は抜けており、落ちた先は格納容器、最後の防壁であり、これが破壊されている可能性があり、格納容器の中にあるかが大変であり、確かめられない。測定器もない。分からないのが原子力には問題で、分からないのに安定とは正しくないと言うことです。
炉心が格納容器を潰している可能性があるなら対策(地下ダム、遮水壁)がいると言うことです。

 4号機について
小出先生、事故の時に停止しており、使用済み燃料プールに1500歩ほどあり、1331体が放射能の塊(原子炉には548体しか入らない)、原子炉の中の2.5倍の燃料があり、3月15日に爆発して、プールの上でも爆発+プールの階も爆発、プールが健全か不安で、東電も耐震補強を行い、工事は被曝下で困難、もし大きな余震が来てプールが壊れたら、燃料を冷やせず、大量の放射能が出る可能性があり、余震が来ないでくれと願っているのです。

 澤田さん、4号機について、事故後早い時期に言われていたが、プールは空になっておらず、次の大きな地震が来る可能性があり(スマトラでも2年後に来ている)、しかし4号機は事故後に比べたら作業員が当時よりアクセスしやすく、対応しやすいと言うことです

 リスナーより、
作業員は、過酷な労働を強いられている。それでも原発を推進する根拠は何かについて

澤田さん、現場の作業(9~10次下請け)、直接どういう人が作業しているか聞いているが、被曝管理が甘く(確認できない)、水素爆発時に高濃度の放射能が付いた瓦礫が散乱し、それを無人の機械で片づけて、今の作業の被曝は、以前より軽減している。しかしガンマー線が出るので管理が大変で、1~3号機もやられており、これを何とかしないといけないが、ロボットも使えず、1年経ち…つなぎであり、1~3号の炉心回収を本格化しないといけないのです


 小出先生、これから要る作業員は、チェルノブイリで1基収束に60~80万人の軍人、労働者が要った、日本でそれだけ集められるのか。
福島だと3つは爆発、4号機も危険で、事故継続中であり、どうやって収束するか、人類の経験したことのないもので、何万人いるか、万の単位では足りないか、分からないのです。

 澤田さん、チェルノブイリと福島の違いがあり、チェルノブイリは格納容器なし、爆発、黒鉛火災があり、燃料がいきなりむき出しで、これを止めるために事故後1週間に何十万投入されている、福島はチェルノブイリと違うと言うことです。出た量は、ベクレルは一桁下がる(議論あり)、環境に出た面積、深刻度は、チェルノブイリは200~300kmに渡り、チェルノブイリは初期に数十万投入した。福島も炉心の回収は大変で、人を使うと被曝する、どうしたら出来るか、これからのチャレンジで、冷温停止状態なら、時間的な余裕があり、冷却ループがあり、1~3号機から出る放射能は減っているので、次の策を練れるのです

 近藤さん
今まで国策で議論なしでやって事故があり、政治決断と言うなら、総選挙をやれと言われました。
原発に国民の意思を問うべきなのです。国民投票もあり、これは法律が要るので、選挙なしで再稼働は「行き過ぎ」と言われました。

 リスナーより澤田さんに質問で
どうして推進すべきか、地震大国で危険である。電力不足から要るのか?
澤田
地震は今回の津波をかぶったのは女川、東海とあり、地震でプラントがどうなったか、一体の原発を検証して、重要なところが壊れたかどうかであり、調べたら壊れない原発を作れる。
この20年、地震の知見が大きくなり、断層も見つかり、数年前に耐震性の見直しをして、断層のデータと参照して妥当か考えるべき。将来的には、新しい原発免震構造も出来る

近藤さん、なぜ浜岡を止めたかについて
あれは止める必要はなかったと言うことで、菅総理は絶対に耐えられないと言っており、岩盤の問題であると言うことです
福島は福島だから起きたのかという質問について
…科学と工学の問題
水野さん、安全か?
日本の17か所に原発があり、立地は違い、工学的には、条件を設定したら設計できる。地震津波の条件が、新しい断層に耐えられるかは別なのであり、耐震補強で間に合うかは問題。浜岡では1,2号機は耐えられず廃炉にされたのです。

 小出先生、安全な原発は出来ない。
浜岡1,2号機は東海地震を予想せずに作り、東海地震に対して補強したらお金がかかりすぎてアウト、しかしみんな同じであり、時が流れたらまずいところが出来て、人間のやることには、覚悟が要る。原子力には覚悟は出来ないと言うことでした。

 澤田さんに質問が殺到。核のゴミ問題もあり、地震についてはどうか?
地震が心配なら地震計の感度を上げたら制御棒が速く入る。」
なぜそこまでして?については、
「日本はこういう状況だが、韓国は原発を増やす、中国も100基作る、それに積極的に日本も関与すべき」と言うことでした。

 小出先生は正反対「韓国、中国も原発をなくす。そのために日本がなくすべき」なのです。

  なお、今出ているビッグイシューの3月1日発売号
ナンバー186に、原子力資料情報室の伴先生による2月11日の脱原発行動報告+2号機の謎、福島の除染の小記事があり、さらに、雨宮処凛さんが被災地をルポした詳細な報告が載っています。
http://www.bigissue.jp/latest/index.html

 興味ある方は、街頭で売っていますのでどうぞ。