たね蒔きジャーナル(小出先生のお話 死の灰は日本中にある)

4/4(水)
 永岡です、毎日放送ラジオの「たね蒔きジャーナル
今日は久々に小出先生の登場です。

   
原発のニュース
 
野田総理再稼働を焦る
関電大飯の再稼働、野田総理は暫定基準(1,2日で決めろ)を作らせる模様で、再稼働に焦っています。
保安院は深刻な事故を防ぐ30項目を作り規制庁に引き継ぐはずなのに、野田氏は暫定基準を急いでいるのです。
滋賀の嘉田知事、焦らないで!と言っています。国会の事故調が6月にまとめる結果を待たないのはおかしいと言っています。が、藤村氏、滋賀、京都の同意は要らないとか言い出しています(理解と同意はこの政府では違うのです)。
 閣僚の会議、仙谷会長(原発輸出に関わる)も同席です。

春の嵐原発、あちこちで事故 
福島の原発で、低気圧により、窒素封入装置が故障し、窒素は水素爆発防止のためで、危険な4%に30時間かかり、今回は1.2時間であり大丈夫と言っています。
 東通原発で、冷却ポンプが40分停止しています。プールの水温には変化なしです。
 女川でも同じようなトラブルです。
 福島の窒素装置、停止から1時間気づいていないのです。作業員が見回り、記録を取っているのに、この始末です。
 藤村氏、福島に隣接地域を、無人地帯にするとのことです。汚染水のある地域、核燃料取出しに場所が要るとのことなのです。政府は3つの区域に再編するのですが、放射線が低くても帰れないところがあるのです。
   小出先生のお話
 
2012年4月4日(水)、小出裕章氏が、毎日放送たね蒔きジャーナル」に出演。4月2日に日本全土を通り抜けた春の風によって、各地の原発でトラブルがあったことについて言及しています。
=====(文字おこし、ここから)
水野「福島第一原発の1号機から3号機で今日、格納容器に窒素を入れている、この動きが一時止まったという話です。
で、窒素は水素爆発を防ぐために入れている、ものですから、水素爆発の危険性ってまだあるってことですか
小出「高くはありませんけれども。可能性としてはあると思います
水野「はあ……。そのことを分かっているからこそ東電は、窒素を入れ続けているということですね。でも逆にいうとそんな水素爆発の危険性がゼロになっていないにも関わらず…例えば川内村などに、人が帰っていくことを進めていくっていう政策もありますよね。」
小出「もともと間違えているのですね。今の日本の国のやっていることは。」
水野「そうですよねえ…」
小出「はい。あの猛烈な汚染地帯…で、そこに人々を帰してしまえば、日本の法律が今まで決めてきた1年間に1ミリシーベルトという被曝の限度が守れなくなってしまう。それを承知で国が帰れと言ってるわけで。国が法律を率先して破っているという形になっています。」
水野「はい。その動きが、まあ、今も続いているわけです」
 
 
水野「そして、全国的な春の嵐これが原発にも影響を与えて、おりました。で…だ…ニュースでお伝えしたとおりなんですけども。…今回は40分間、使用済燃料プールを冷却するポンプが、一時停止したと、いうことです。40分…というのがもしもっと長引いてたらどうなるんですか?」
小出「その使用済み燃料プールの底に燃え尽きた使用済燃料というのがあるわけです。 燃え尽きたということは、つまり、たくさん死の灰が溜まっているという、ことなわけですから、発熱をずうっと続けているわけで、仮に冷やすことができなければ、プールの水が沸騰して水がなくなっていって、燃料が溶けてしまうということにつながっていくわけですね」」
水野「はい」
小出「・・・私は今すぐにわかりませんが、そのプールの底に沈んでいる使用済燃料の容量によりますし。そのプールの大きさにもよりますので、正確に私はわかりませんが。多分1時間2時間という範囲であれば大丈夫だと思います。」
水野「いや、でも、もっと何時間ていうこともありうるわけでしょ」
小出「そうですね。ありうるわけですね。だから怖いのですね、事故というのは」
水野「今回は東通原発、の1号機の話でしたですけれども。こうした使用済燃料プールで死の灰が眠っているのは全国各地にあるわけですね」
小出「そうです。全ての原子力発電所にあります」
水野「で、原発のリスクってよく地震津波、だけであるかのような、雰囲気があると思うんですが。今回は、風でしたんですね。元はといえば」
小出「そ…そうですねえ。いろいろなことがあるんですね、本当に。」
水野「ふうーん.昨夜は宮城県女川原発でも同じように冷却ポンプが一時停止、したと」
女川原発のポンプ停止は、電動機が故障したためで、直後に代替電動機が自動起動し、安全上問題はなかったとしている。4日午前9時半ごろ、非常用のディーゼル発電機や空調機を冷却する海水ポンプが自動停止した。低気圧による強風の影響も含め原因を調査中。故障した電動機は予備機に取り換える。 ...』
水野「ただ、こういうことって、もしかして3.11以前には、あったんですか、無かったから知らなかったんですか、どっちですか」
小出「私はあったんだろうと思いますが。」
水野「ええ」
小出「これまで電力会社というのは自分の都合の悪い物は、隠すという体質でやって来ました。一番私が驚いたのは、福島第一とか志賀(原発)とか、あちこちの原子力発電所で、臨界事故が起きた、ということがあったのにそれすら隠していたというようなこともありましたので」
『1978年11月2日 東京電力福島第一原子力発電所3号機事故。日本で最初の臨界事故とされる。戻り弁の操作ミスで制御棒5本が抜け、午前3時から、出勤してきた副長が気付きゆっくり修正し終わる10時半までの7時間半臨界が続いたとされる。沸騰水型の原子炉で、弁操作の誤りで炉内圧力が高まり、制御棒が抜けるという本質的な弱点の事故。この情報は発電所内でも共有されず、同発電所でもその後繰り返され、他の原発でも(合計少なくとも6件)繰り返される。1999年志賀原発事故も防げたかも知れず、本質的な弱点なので、世界中の原子炉で起こっている可能性がある。特に重要なのが、1991年5月31日の中部電力浜岡3号機の制御棒が同様に3本抜けた事故である。中部電力は1992年にマニュアルを改訂した。「国への報告はしなかったが、他電力へ報告した。」と主張した。事故発生から29年後の2007年3月22日に発覚、公表された。東京電力は「当時は報告義務がなかった」と主張している。 ...』
小出「まあ、すごい、組織なんだなあとその時も思いました。」
水野「ふうーん。え…そして、これ、大阪の情報なんですが。近藤さーん」
水野「東京にはこれ伝わってるかどうか知りませんけれどもね。大阪市の橋下市長 が、ある方針を明らかにしました。それはですね、原発の安全性等について、専門的に検証する、まあ独自の有識者委員会を設置しようと・・・」
 
『関電大飯原発3、4号機の再稼働について、府と市の「エネルギー戦略会議」が地元同意の範囲を100キロ圏内とするなど8条件を国や関電に求める方針を決めたことを受け、橋下市長が発言した。橋下市長は「(地元同意という)権利をもらうには責任を持たなきゃいけない。安全委員会のような組織を、『原子力ムラ』から金を受け取っていない人たちで作るのもいい」などと述べた。 ...』
・・と、おっしゃっってるんですね」
水野「言ったらまあ、安全委員会のような組織ですわ」
近藤「うん…」
水野「で、これを原子力村からお金を受け取っていない人たちで作るのもいいというふうに、橋下さんが発言してます。」
近藤「これは、原子力村からカネを受け取っていない人たちで作るから、良い組織だっていうわけでもないですからねえ。別に」
水野「まあ、でも最低限、原子力村からおカネを受け取っていない人でないと、信用を多く勝ち取れないっていうのは、今あるんじゃないですか。でもそんな人、どんだけ居はんのか知りませんけど、専門家で」
近藤「だから僕は…作る意味っていうのがもう一つよくわからないんですがねえ。
水野「ふっふっふ。どうなんでしょう。小出先生は、この方針を聞いてどんなふうにお感じになりますか」
小出「うん…一体何をどうしたいのか、私にはよくわかりません。特別何の権限もあるわけではないと思いますし。安全性を考えるといっても、絶対的な安全なんてのはないのですね、もともと。」
水野「はい」
小出「機械ですし。人間が動かしてるわけですから。え…どこまで、ガマンできるかという、そういうかなり社会的な判断を求められてしまいますので。それが政治に絡め取られていくということになると、気持ち悪いなあと私は思います」
水野「はあ…」
近藤「先生、つまりそのカネをもらってない人たちなんだからキレイな委員会なんだから。その人たちが決めたことだから、OKなんだっていう論理も、成立しやすいですよねえ」
出「そうですねえ。そうなると余計怖いですね。」
水野「ううーーーん。今までは原発を抱えている自治体、福井県新潟県などがこうした委員会を持っていたんだそうです。」
小出「はい」
水野「今までその、立地している自治体以外では、こうしたことってなかったわけですね。」
小出「そうですね」
水野「で、つまりその今、地元って、どこまでなのかっていうのが、1つの大きな議論になってますよね」
小出「はい」
水野「だから、ま、大阪も1つの地元として声をあげる、べきなのか。それにだったら責任を持たなきゃいけないっていうのが多分橋下さんのお考えだと思うんですよ。」
小出「はい」
水野「しかしながら、原子力ムラからカネを受け取ってない、人って、私なんかはもう、すぐ、小出先生やんかって」
小出「(笑)」
水野「小出先生ぐらいしかうかばへんやんか、なんて私なんかは思いましたけども。例えばこんなところからですね、声をかけられたら、橋下さんから大阪のげ…安全委員会のような組織、小出先生入ってくださいなんて言われたら、小出先生はなんてお答えになりますか?」
小出「……うん…難しいですねえ。(ため息)。う……うん……私はもともとその行政…組織がつくる委員会というものには、加わらないということにしてきた、のです。」
水野「はい」
小出「え…結局あの…行政のアリバイづくりに、あり…アリバイ作りに使われてしまうということになりますので。」
水野「はい」
水野「じゃあこの地元っていう論議でいいますとね。今、京都府滋賀県っていう話出てきてますが。今、大阪も地元だっておっしゃいました」
小出「はい」
水野「小出先生の地元という定義でいいますと、どこまでになるんでしょう。」
小出「ええ、もう日本中どこでも地元だと私は思います」
水野「うん」
出「えー、福島原発の事故が起きたときには、もう福島県、栃木県、群馬県宮城県茨城県、千葉県、東京都、埼玉県という、まあそういう広がりで、え…放射線の管理区域にしなければいけない汚染が生じているわけですから。もう、ど…まぁ、それで日本の54基の原子力発電所がある。そうなればもう、どこ、で、事故が起きるかもしれないわけですし。そうなれば安心なところはどこにもないということだと思います」
水野「はい。どうもありがとうございました」
小出「はい。ありがとうございました