神湊さんのツイートと北九州震災瓦礫訴訟
2012年7月27日(金)、斎藤利幸弁護士と、総勢142名の一般市民からなる原告団は、「全く必要性がなくなっているにも関わらず、北九州市は、宮城県石巻市の震災がれきを受け入れ、搬出・搬入・焼却を強行しようとしている」として、損害賠償請求という形をとって、北九州市と宮城県を相手取り福岡地方裁判所小倉支部へ提訴した。
また、その直後、北九州弁護士会館にて斎藤弁護士と原告側の代表6名による記者会見が行われた。
【詳しくは、以下の動画をご覧ください。】
東日本大震災で発生した、震災がれきの広域処理をめぐる訴訟は、これが全国初となる。
訴状によると、北九州市は5月、宮城県から運ばれた木くずなどの震災がれき約80トンを市の施設で試験焼却した。放射性物質を含む災害廃棄物の広域処理は法的根拠がない上、文部科学相の許可を得ずに焼却し、放射線障害防止法に違反すると主張している。
斎藤弁護士は、今回の裁判は、行政の違法性を問う裁判となる為、損害賠償請求という形を取らざるを得なかった。しかし、この裁判の本当の目的は賠償金を勝ち取ることではなく、北橋北九州市長と村井宮城県知事を事実上の被告とし、広域処理の違法性を問いただし、北九州市への震災がれき受け入れ中止と世論喚起を図る為と説明した。
北九州市の北橋健治市長は、試験焼却後の今年6月、市主催の住民説明会などで住民の猛烈な反対意見が相次いだにも関わらず、震災がれきの本格受け入れを表明した。また、北九州市議会も受け入れに反対する市民の意見を完全に無視し、7月18日・19日の臨時会で、今年8月~来年3月の受け入れ予定分2万5800トンの処理費8億5000万円を計上した補正予算案を全会一致で可決している。
しかし、宮城県石巻ブロックの震災がれきは、既に鹿島JVが約1924億円で全量委託処理する契約を昨年9月の段階で結んでいる。もし、北九州市に震災がれきを持ってくるとなれば、既に民間企業と契約済みかつ進行中の公共事業の契約を宮城県が一方的に変更し、震災がれきの所有権を、宮城県(官庁)→鹿島JV(民間)→北九州市(官庁)という、極めて異例な形で移すしかない。
これは行政がおこなう公共事業として、明らかに不適切な2重契約である。
したがって、いくら北九州市議会が全会一致で可決したとは言え、このまま北九州市側が全国の自治体の中でも孤立したまま、東北で処理するよりも明らかに高コストとなる広域処理を強行できるかどうかは、極めて困難な状況と言える。
【今回の訴状を全文掲載します。】
原告ら訴訟代理人 弁護士 斎藤利幸
【参考資料】
原告団:訴状提出と記者会見のお知らせ
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