遺伝子組み換え作物の栽培が始まれば取り返しのつかないことに・・。

http://luna-organic.org/tpp/tpp-7-4.html(サルでも分かるTPPより転載)
遺伝子組換え作物の栽培が始まると
国内では遺伝子組換え作物の商業栽培はまだされていない。
農水省にはいろんな遺伝子組換え作物の栽培許可申請が出されていて、既にたくさん認可されている。でも試験的に栽培されているものはあっても、まだ商業栽培はされていない。
それは、栽培しても売れる見込みがないからだ。
国産の大豆は輸入大豆よりも値段が高くなる。それを油の原料にしちゃうんじゃ割が合わない。でも、遺伝子組換え大豆でつくられた豆腐や納豆や豆乳は、そう表示されるから誰も買わない。誰も買わないものをつくってもしょうがないから、誰も栽培しない。
つまり遺伝子組換え作物の栽培を食い止めているのも、やはり「表示」だと考えていい。
表示義務がなくなれば、みんな知らずに遺伝子組換え大豆の豆腐や納豆を食べるようになる。そうすれば遺伝子組換え大豆はもっと売れるようになり、国内での栽培はまたたく間に広がるだろう。
でも、遺伝子組換え作物の栽培は、いったん始めてしまうと、取り返しのつかないことになる
花粉は風にのって広がるものだからだ。
在来のナタネをつくっていても、隣の畑から遺伝子組換えナタネの花粉が飛んできたら、それを受粉して交雑してしまう可能性が高い。
在来の菜種を栽培している農家にとってはいい迷惑だ。
こんなとき、モンサント社はどうするか? 賠償する? 謝る? とんでもない。逆にその農家を訴えるんだ!
カナダのナタネ農家、シュマイザーさんの例を紹介しよう。
シュマイザーさんは広大な農場で何十年もナタネを栽培してきた。丈夫でたくさん収穫できる品種を自分で長年かけて育ててきたんだ。遺伝子組換えナタネなんて、栽培しようと思ったこともない。
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                      パーシー・シュマイザー氏
そんなある日突然、シュマイザーさんは手紙を受け取った。手紙には「あなたは我がモンサント社の遺伝子組換えナタネを無断で栽培している。特許使用料を払うように。もし払わなければ裁判所に訴えるぞ」と書かれていた。まるで脅迫状だね。
 
モンサント社は自分が開発した組換え遺伝子を「知的財産」だとして「特許権」を主張している。でも、生命を構成する遺伝子というものに特許権を主張するなんて、自然に対する冒涜じゃないかい? が、その話はひとまず置いておこう。
シュマイザーさんは自分の畑に遺伝子組換えナタネのタネなんか撒いてない。よその畑から飛んできた花粉で交雑が起こったということだ。
しかしなんでモンサント社にはそのことがわかったのか? それはモンサント社の私設警察モンサント・ポリスが勝手にシュマイザーさんの畑に入って、ナタネを盗み出して分析したからだ。泥棒しておいて、人を訴えるんだから、まさに盗っ人猛々しいとはこのことだ。
シュマイザーさんはその手紙を読んで頭に来た。誰が特許使用料なんか払うものか。断固闘うぞ! と裁判に打って出たんだ。でも、裁判の行方はえてして弁護士費用をどれだけ用意できるかで決まってしまうもの。巨大多国籍企業に一介の農家は勝ち目がなかった。シュマイザーさんは裁判に負けてしまったんだ。「モンサント社の品種が一定程度畑にあれば、特許権侵害に当たる」「シュマイザー氏の畑の収穫物も、種子も、すべてモンサント社のものである」という判決が下った……。
でも、それでもシュマイザーさんはめげなかった。新たに別の裁判を起こして、逆にモンサント社を訴えた。「わたしの土地はわたしの財産だ。わたしがこの土地の税金も払ってるんだ。そこにおまえらの財産を放置するとは何事だ。おまえらの責任で片付けろ」とね。もっともだよね! さすがシュマイザーさん。そして、最終的には裁判で和解に持ち込めた。
とはいえ、シュマイザーさんほど頭が切れ、裁判にかける費用も時間もあり、ヤクザ並みの脅しやありとあらゆる嫌がらせに負けない根性もある、というスーパーマンのような農家は少ない。
モンサント社アメリカやカナダで何百件もの農家を特許権の侵害で訴え、たくさんの農家がそのせいで破産しているよ
 

食料による世界支配

一方、インドでは大勢の農家が自殺している。モンサント社の遺伝子組換えワタのせいだ。
遺伝子組換えワタのタネは在来のワタのタネの何倍もする。農民は高価なタネを買うために、借金をせざるを得ない。収穫できたワタを売ってやっと借金を返すという生活だ。ところが「楽に高い収穫量が得られる」という触れ込みに反して、思い通りの収穫が得られなかったり、とんでもない不作になることすらある。そして借金が返せず、自殺する農民が急増しているんだ。
なぜ農民は高価な遺伝子組換えワタのタネをわざわざ買うのか。それはモンサント社が地元の種苗会社を買収してしまったために、在来のワタのタネが手に入らなくなってしまったからだ。そうやってモンサント社は否応なく農家を囲い込んでいく。
シュマイザーさんは裁判ではモンサント社の鼻をあかしてやったけれども、結局ナタネの栽培はあきらめてしまった。在来のナタネを栽培しようとしても、どうしてもモンサント社の遺伝子と交雑してしまうからだ。
不屈の闘志を持つシュマイザーさんでさえ、認めざるを得なかった。在来のナタネはカナダからもう永久に失われてしまった、とね。
              http://luna-organic.org/tpp/image-tpp/monkey-7-4-farmer.jpg
遺伝子組換え表示がなくなれば、遺伝子組換え作物の栽培はすぐに広まるだろう。そしてわたしたちは非遺伝子組換えの食品を選ぶ自由が奪われ、農家は自分のつくりたい品種を選んで栽培する自由を奪われる。
「食料主権」が、わたしたちの手から奪われてしまうんだ。
モンサント社の究極の狙いは、タネを握って、食料を支配すること。それによって世界を支配することだ。電気がなくても人間はすぐに死ぬわけじゃないけれど、食料がなければ生きていけないからね。
もしキミが、こんなふうにエゴと搾取で成り立つ資本主義社会にうんざりし、きっぱりと決別して、山の中で自給自足の生活に入ったとしよう。畑を耕して、自然の中で心豊かに生活していたとしよう。でもある日そこにモンサント社がやって来て「あなたは我が社の著作権を侵害しています。特許使用料を払ってもらわないと」……
   http://luna-organic.org/tpp/image-tpp/monkey-gorilla-7-4.jpg
そんな悪夢のようなの未来はイヤだと思ったら、今TPPに反対するしかない    
遺伝子組換えと原発は似ている。
いったん原発事故が起こると飛散した放射性物質は回収しようがない。
遺伝子組換え作物の花粉も、飛び散ってしまってからでは遅いんだ。