報道するラジオ 2月1日 低線量放射線の健康への影響 小出先生vs日本原子力研究機構・小林康彦氏

報道するラジオ 2月1日 低線量放射線の健康への影響 小出先生vs日本原子力研究機構・小林康彦氏

今日は、「もしもあなたの街が放射能汚染されたなら・・
低線量放射線の影響についての、全く違う見解を持つ科学者の討論会を水野晶子さんが取材されました。
 
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放射線量が高いとされる千葉県柏市福島原発から200kmですが、ホットスポット地域です。
東京から電車で40分、人の多いベッドタウンであり、放射線量は柏市役所、0.461マイクロ/時間、大阪では0.01~0.02、つまり桁が違うのです。

 大飯から200kmは岡山の倉敷、四国は高松、淡路は入り、東は長野県の飯田市、京都、滋賀、名古屋も入るのです。大阪は100km、府内全部入るので、このラジオを聞く人はみんな入るのです。
 原発被害の講演会、原子力利用の推進、反対の両方が出る、珍しい会を市民団体が企画、健康被害についてどう考えるか?

 柏市の状況について
 
推進の側の日本原子力研究機構の小林康彦氏
放射線生物学の人で、放射線利用をしてきた人です。) 
これから気をつけるのはどこが何ベクレルより、どれくらいのシーベルトを基準にするべき。公共施設は低く、問題なし。マイクロスポットも時間が短いから問題なし。
子供の寝室の掃除などで有効。小さな子供も問題なし。100ミリシーベルトが基準で、これ以上だと甲状腺がんに問題ありだが、分からないところは大丈夫かどうか、科学的に言えない。それは政策的に考える。」と言うのです。
 
一方、小出先生は・・・
 
1平方メートル4万ベクレル、みんな逃げて欲しい。日本国政府が責任を持って逃がして欲しい。これで年間1ミリシーベルト、法律を越えて被爆する。
局所的に汚染するところも、ある場所はきれいにしてもまた汚れる、子供から被爆をさせないようにしてほしい。放射能はゼロでないと危険。」としています。
 お二人の論戦、疫学が出てきて、集団を見て統計を取るもの、その限界についての見解があり、専門家同士の論議をお伝えいたします。

 小林氏、「小出先生の資料に間違いがあり、専門的に気になる。ICRPの基準、緩慢な被爆の影響について、用心深い1/2を取るのが国際的な合意。」
 
小出先生、「DBREFは、低線量の被爆をしたら、高線量の被爆よりどれだけ少ないかをあらわす係数、ICRPは2であるが、それは慎重な仮定ではなく、アメリカは1.5と見て、原爆被爆者のデータより、低線量のほうが危険。DBREFで低線量を値切るのはおかしい。」
 
小林氏「1シーベルトあたりのリスクは原爆の特殊な集団であり、コントロールの取り方で、過剰リスクは低くなる。」
小出先生「疫学は統計学に基づき、母集団による難しい学問、取り方で違う」
小林氏「特定の見方はしない。メカニズムで解明すべき。」
小出先生「疫学だけでは証明できない範囲があり、しかし少なくても危険があるとするのが科学。」
 
 平野さん「リスクに対してどういうスタンスを取るのか?低線量のリスクをどう取るか?」
 
小出先生はリスクを取るべき、それを小林氏は否定。
それなら、住んでいる人間はどうか?であり、これについて観客はこの2年苦しんで勉強してきたのです。

 柏市でどうすべきか。
小出先生
子供を中心に逃げるのがいいが、逃げるのは苦難を伴う(家庭も仕事もある)、子供たちも生きている。子供は被爆から守りたい。学校の校庭、地域の公園などの土は剥いで除染して欲しい、しかしそれで放射能はなくならず、それでもやって欲しい(元に戻る、それでも続けないといけない)。
内部被爆を避けるために、子供の食べるものに、行政も一緒になり注意して欲しい。」と言われました。
小林氏
放射能のリスクを考えると、現実には他にもリスクがあり、目の前の放射能の小さなリスクにとらわれるのはどうか、専門家はそのための助言が必要。
もし、自分が住んでいたら、内部被爆のリスクより食中毒が問題、通学路の車の交通事故のリスクが大きい、汚されてけしからんが、完全に元に戻せないなら、自分と子供にとってベストな方法を探すべき。」と言うのです。 
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上田さん、別の話をリスクについて持ってきていると指摘され、会場より、リスクについて、食中毒や車はどこでもあるという質問も出ました。
 
こういうように、一つの現象を全く違う方に捉える二人を招いた、千葉県柏市におられる柳沢典子さんのお話がありました。柳沢さん、お電話での出演です。

 柏市で3・11以後最も数値の高いのは、3月12日の午後であり、計測地で1.6マイクロ/時間を見た人がいるのです。放射線管理区域は、0.6マイクロであり、そこに限られた時間+飲み食いダメ、持ち出せないものであり、ホットスポット柏市、福島でも柏市より低いところがある(福島の2/3は柏市より低い)、柏のまわりの皆さん、柳沢さん計測器をたまたま持って、警報が鳴る、いつもの10倍であり、1年間に何度か鳴るものの、ずっと鳴っている。
 
しかしニュースも何も言わず、みんな本気にせず、様子見であったのです
自分のこととして捉えられず、市の環境局に行ったが、「誰も何も言っていない。」と、取り合ってもらえなかった。大丈夫と言われて、「国は何も言っていない。マスクをしろとの指示もない。役所は何も出来ない。煽るほうが大きい。」と言われたのです。

 その後、日がたち、測定器を持つ人が増え、ツイッターで情報が流れて、
若い人は気にしはじめ、マスク、水の汚染も報じられたが、多くの人が気づくのは大量の放射能が飛んだ後なのです
 
柏市は、放射線を自然の範囲内と6月までいい続け、しかしそこまでヨウ素が飛んでいたことが、千葉市の分析センター、1年後に分かり、6月に市が測定を開始、被爆してしまった後で動き始めたのですしかし、高いとは言わない。
 
柏市の数値、去年の2月は1マイクロ以上のところがたくさんあり、雨水のたまるところは高い。草地も高い、木にあたり雨水の落ちるのは高い(3月21日に雨が降った、その時のヨウ素被爆)、土に放射能がついて、測定器の警報機はそれから鳴りっぱなしであったのです。測定器のなる中で暮らす気持ち、どうしても気になる人、小さい子のいる人は、速やかに避難した人、引っ越した人もあり、仕事、ローンのある若い人は、お父さんが残り、お母さんが子供を連れて、家族バラバラなのです。

ボランティアで除染をして、市に協同を呼びかけて、市と一緒に動こうとなり、ボランティアが自治会も一緒になり、その効果、自治会の公園、マンションの公園を除染して、下がるが、それで被爆する。柏は特別で、0.4→0.1以下になり、しかしまた上がるところもあり、効果も疑問、除染による被爆も悩みながらの作業で、それで講演会をしたわけです。

 皆さん、本当のところを知りたいとなり、原子力反対の講演会は多いものの、推進側も出る講演会も珍しい。大丈夫と思う人はそちらのみ、被爆している子供たちのことは放置され、住民同士で意見の対立は、相手を見て話をして、この人には言っても大丈夫、この人に言ったら友人関係が悪くなるとなり、子供をどうするかがタブーになるのです。見えないのが罪であり、高いのに子供が遊ぶのは、まずい・と言うと、
まずい状況になる。
そのために両方の意見が並ぶ講演会を開くのは困難で、講師を派遣する原子力文化財団に打診しても、市民が主体であるところに出向くのは難しく、料金、カンパはダメ、国の文科省の委託を受けているので、講師は派遣できない。
推進の人の話を聞くには、イエスマンに一方的に話すしかできない制度で、それでも柳沢さんあきらめずに、引き下がれず、原子力文化振興財団=原発は安全
と、アピールしている財団で、しかし「事故の起きた今こそ仕事をしてくれ。」と言ったら、やっと講師を紹介してくれて、小林氏が来たわけです。

 お二人の議論で、柳沢さん「まず科学について、何と思われるか?」
 
小林氏「科学には二つの役割があり、安全に豊かにする、わけのわからない不安を減らして、知らないものが分かったとの喜びで、世の中をどっちにするべきか、一番多くの人を納得させるものを科学で決める。」
 
小出先生「科学は自然、世界がどういう姿かの真実を知りたくして、知れば知るほど分からないものも出てくる。科学は大切だが、科学は万能ではない。分からないものがあるのが本質、全てが分かると思い、自分たちの判断が正しいと思うのは間違い。」と言われました。
 
平野さん「最後の小出先生のお話に会場の拍手が物語っている。行政の担当者はここに来ていたのか?」
柳沢さん「いくつかの担当の人が来ていた。」
平野さん「市役所、学校の関係者でも不安な人は多い。その人も含めて、市の対応を糾す動きにならないか?」
柳沢さん「担当部署により違い、風評被害になる。認めてしまうと市にとって困ると当初はしていたが、今は市と協同で除染、安全な食料を届けるとなり、2011年の10月くらいから、住民主導で行政を巻き込んで行った。」
 これから、子供たちを守るために、土壌調査を自分たちでやり、埼玉、千葉、茨城の、汚染のあるところで、放射能から子供を守るネットが出来て、子供被災者支援法も出来て、福島以外も対象になり、それをどこまで広げられるかなのです
県に関係なく放射能は来て、何が起きるか分からないが、子供たちに予防的にやって欲しいと、市に、県に交渉をしているのです

 しかし、全国的に問題を忘れようとするムードで、しかし200km離れてもこの始末、原発は遠くに作ったのに放射能が飛んできたのです。
柳沢さんのお話は以上です。

 リスナーの声
放射線被爆は専門家で認識が違うことを知り、オープンな議論が欲しい。
千葉に放射能が飛んでいることを驚いた。大飯がやられたら東大阪もアウト。
 
平野さん
小林氏は疫学と言い、データがないと言うが、国連はチェルノブイリでデータがあり、国の避難基準も問われている。と言われました。
 
今日は、小出先生のお話も含む、千葉のお話でした。