真実をわかりやすく伝えよう。(大阪で人気の「もじもじ先生」と話してみた(後編)。 (チダイズムさんのブログより)

2013-02-19 23:59:59
今年に入って、さまざまな医師、大学教授、政治家に直接話を聞き、原発放射能問題を
ほんの少しアカデミックにお届けするブログに生まれ変わりつつある、『チダイズム』。

今回、登場してくださったスペシャルゲストは!

阪南大学経済学部准教授、下地真樹先生。
大阪市の瓦礫問題、不当逮捕問題といった話を聞きに行ったのですが、
かなりいろいろな話をたくさん聞いてしまったので、
今日は「上級者編」ということで、ほんの少しだけ
アカデミックで、マニアックな話をしていきます。

経済学の観点から見ると、大阪市の瓦礫焼却は、「全体的には不利益になる」
と考えられるそうで、プラスに持って行くためには、健康被害が出ても、
何も責任を取らないことが絶対条件だそうです。

これは原発の再稼働についても、同じことです。

例えば、原発を再稼働すれば、一時的な利益が得られますが、必ず核廃棄物が生まれますよね。
現在、この核廃棄物をどうするかという問題は、棚上げしてしまっているので、
収支計算の中に入っていません。
だから、一見すると利益が出てプラスになっているっぽいけど、この棚上げした
部分を含めて計算すると、全体的には赤字になる。

要するに、原発の再稼働で100億円の利益があったとしても、
棚上げした核燃料サイクル1000億円使わなければならないのだとしたら、
全体的には900億円の赤字。
100億円の利益でホクホクした気分になってはいけないということ。

命に値段をつけることは難しいですけれども、1000億円より貴重だとするならば、命を失う政策や経営は、1000億円の利益が出たとしても
全体的には不利益になるので、これは避けるべき。
これが「経済学」から見た、大原則なのです。

これくらいなら素人でも理解ができそうなものだ。

しかし、この世は目先の利益だけを優先する!
だから、命が奪われることになっても、あるいは、将来的にメチャクチャお金がかかることになっても、「全体的な不利益」から目を逸らして生きている!

子供の健康、子供の命の値段は、いくらなのか。
ずいぶん安く数えられているのではないかという気がしてなりません。

さらに、下地先生は、「世の中の問題というのは、複数のものが複雑に重なり合っている」という話をしていました。

例えば、「瓦礫問題」従軍慰安婦問題」。
この2つは、誰が見てもまったく別の問題であると思うことでしょう。
一緒にして考えると、ややこしい話になってしまうので、切り離して考えるべきだと。

しかし、「TPP問題」、「普天間基地問題」、あるいは、年金問題のような問題にしたって、「瓦礫問題」と、まったく重なり合っていないのかと言った時には、ほんの少しだけど、微妙に重なっている部分があるのだと言うのです。

試しに、「瓦礫問題」従軍慰安婦問題」話をしてみることにしましょう。
この2つの問題は、まず「人権」がベースになっている問題です。

瓦礫焼却で生存権が脅かされるのも人権だし、従軍慰安婦の存在を認めるか認めないかの話は歴史認識でもありますが、基本的に人権問題。

そして、「瓦礫」という言葉を出しただけで、
「絆のために燃やすのが日本人だ」という人がいるように、
従軍慰安婦という言葉を出すと、
とんでもなく過敏に反応する人たちもいますよね。
 
今回は、皆さんに従軍慰安婦問題について考えていただきたいわけではないので、その先の議論については、またの機会にさせてもらいますが、
広いビジョンで見た時には、うっすらと重なっている部分があるということをご理解いただきたいのです。

そして、この問題をもっと狭いビジョンで見ると、
「デモと日の丸の関係性」という部分もあります。

以前、僕が秋葉原に行った時に、自民党に向かい、国旗を振っている人を見て、どことなく違和感を覚えた話は、1日に22万5000アクセスになり、大変反響が大きかったのですが、実は、脱原発瓦礫問題を訴えるデモも、「日の丸を掲げるから
参加しない!」という人たちもいるそうなのです。

要するに、「まったく別のものだ」と思っていても、あらゆる社会問題は、根っこの部分でつながっているものであり、シングルイシュー(1つの問題)と
切り離して考えることは、実に難しいのである!

ということは、どういうことなのかと言いますと、
「1つの社会問題について真剣に考えると、次から次に、いろんな知らなかった問題にぶち当たってしまう。だから、複数の問題を同時に理解しつつ、自分の中で、優先順位をつけていくやり方が望ましい!」

他の問題について考えている人がいたとしても、それを拒否するのではなく、理解できる部分は理解をしたうえで、共通する問題や課題について考えるようにした方が、うまく行きやすいということ。

人間の活動できる時間は、等しく1日24時間。
だから、すべての社会問題について時間を費やすことはできませんが、まずは理解することが大切!
その上で、自分の行動を決めるべきだということ。

かなり上級者向けの話なので、「そこまではいろいろ考えたくない!」という人たちは、まず自分の興味のある分野について考えることです。

僕たちに言えること。

これから起こる「真実」だけでなく、今まで起こってきた「真実」をもっと
わかりやすく伝える作業も必要だ!

政府や東京電力が、我々にどんなことをしたのか。
今まで起こったことを、わかりやすくまとめることがもっともっと必要だというのです。

僕は、国家的なコントである計画停電について、
ものすごく興味があるので、もっともっと深く調べて皆さんにお伝えしたいと思っていますが、このような過去の茶番の数々をまとめる役割をする人が必要。

この国が何をしたのか、記録を残していく人たちが必要である。

僕のやるべき仕事は、どんどん増える一方ですが、「その分野は、俺に任せろ!」という人がいたら、どんどん仕事を分けていきたいと願います。