続き (2)TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具

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TPPは貿易協定の衣を着た企業による世界支配の道具 Democracy Now!書き起こし 2012年8月26日 (日)

フアン・ゴンザレス:
次は今に至るまでほとんど秘密のまま進んでいるアメリカ合州国と8ヶ国太平洋諸国との間の論議の的となっている通商条約,環太平洋経済連携協定TPPです
エミー・グッドマン:
リークされたTPP草稿は、医薬品のコストを上げ、加盟国に拘束的な著作権施策を採用させかねないような規定を盛り込んでいるかを暴露しています
文書は何を表しているのか、そしてこの条約の正体は一体何かをお話ください。

ロリ・ウォラック:
表向きは通商条約ということですが、実際は大企業による世界統治の施行なのです。条約は、全ての加盟国が、全ての法律、規制、管理手順を、26章の極めて包括的な規定に合わせることを要求しています
その規定のうちたった2章だけが貿易に関連するものです
他の24章は、大企業に対して多くの新たな特権と権利を与え、政府規制を制限し、政府を束縛するのです。
公正貿易を求める全国連合に漏洩したTPP投資条項によれば、実際、外国人投資家に対し、TPP条約をたてに、全ての米国企業が守らなければならない同じ国内規制を守るための費用を巡り、米政府に対し民事訴訟をおこし、米財務省を略奪する権利を含め、新たな権利と特権を設けるというのです。実にとんでもないことです。

フアン・ゴンザレス:
ロリさん、こうした進行中の交渉の秘密的な性格に関しては、議会にすら非常に不満がありますね。 一体どうしてこういうことになったかお話頂けますか?

ロリ・ウォラック:
これは単にひどい通商条約などではありません。これは私たちの基本的なニーズと権利を破棄してしまいかねない、1パーセントの連中用のツールですこんなことが起きたのは、交渉が極秘で行われてきたからです
それで二年半、この漏洩文書が暴露されるまで、人々は一体何が起きているのかと疑わしく思ってきました。
TPPを巡る権限を持った委員会、上院通商委員会の委員長の、ロン・ワイデン上院議員は草案にアクセスすることを認められていません。彼は諜報特別委員会のメンバーで、機密情報にアクセスする権限があり、アメリカの核の秘密情報を見ることもできます。その彼ですら、通商条約という名前のもと、こっそり発効させようとしているこの大企業の権利章典を見ることができないのです実に見事なトロイの木馬戦略です。通りのいい看板をつけ、日光のもとでは生き延びられないような内容を、その条約に仕込むのです。

特許に関する条項の一部も入手ができました。
医薬品価格をつり上げる、製薬大手の特許権延長です。
そして、私たちのウェブサイト、tradewatch.orgに、その分析と、反対運動に参加する方法についての情報を載せてあります。
この条約は、ドラキュラのようなものですから、日光の中に引きずりだせば生きのびられません。
アメリカ、そして全参加国で、
"我々はこんなものはいらない。我々は世界的に施行可能な大企業の権利などいらない。我々にはもっと民主主義が必要だ。もっと説明責任が必要だ。"と主張する市民運動が起きています。

 
歴史的な観点で見てみましょう。
TPPは、8ヶ国で、もう3年も交渉しているのに、文章一つすら公表しようとしません。実際、交渉がおえた後草稿も四年間は非公開という特別協定に署名したことが、漏洩しました。秘密をさらに秘密で隠すのです。
 今、彼らが秘密裏にこそこそやっているのは、大衆や議会が知ったら、何とかして頓挫させてしまうことになるからでしょうか?
 この条約で理解すべき本当に重要なことは、TPPの狙いは、貿易ではなく、セメントのような作用です。TPP条約のセメントが一度固まってしまえば、全加盟国が条約変更に合意しない限り、規則を変えることが出来なくなるのです。
・・・・・・・中略・・・
ロリ・ウォラック:
この条約漏洩が非常に重要な理由は、これが最後の条約交渉になる恐れがあるからです。NAFTA以来、政府規制を押さえ込み、どん底への競争を煽る、貿易協定を姑息に利用する大企業に、多くの視聴者が巻き込まれてきました
こうした新条約は、益々大胆、大規模に、政府規制を緩和し、大企業に権限を拡大してきました。この条約は最後のものかも知れません。
いったん成立させてしまったら、広く参加国を募ろうと彼らは狙っているのですから。このTPP条約は、究極的には、企業の新権利と特権を保証する世界的協定になりかねません。決済制裁と貿易制裁がその強制手段です
占拠運動や世界中の運動が、さらなる権力と支配力を要求しているまさにその時に、TPPが強制力のある世界統治政権に発展する恐れがあると言っても誇張ではありません。
大企業側の反撃です。これは旧来の悪弊を更にひどくするものになります。また更に、条約交渉のゆくえによっては、これらの規定は、既存の国内法の改変を要求するだけではありません。進歩的な良い法規は廃止させられてしまいます。また将来、新たな法律さえ制定できなくなります。

現在、条約参加国にはオーストラリア、ブルネイニュージーランドシンガポール、チリ、ペルーとベトナム、そしてアメリカ、更にマレーシアが加わりました。またTPP条約は、NAFTA式の海外移転を推進するあらゆる企業の特権を含んでいます。
より徹底的であらゆる種類の新たな大企業特権が含まれており、
医薬品価格をつり上げるための、医薬品や種子の独占権を延長する権利、
後発医薬品開発や医薬品共同購入を阻止する権利さえあります。
例えば、オバマ政権が医療制度改革法案に盛り込んだ医薬品についても、彼らは他国で使う権利を奪おうと密談しています。
 
また金融規制も緩和させられます。加盟国は危険な金融商品やサービスを禁止することが許されないのです。アメリカ政府が、金融制度改革でも規制を強化しようとしている時にです。
 
またTPPは我々が地方財政についてまで干渉します。
全米中の、搾取労働撤廃運動や、生活賃金を求める運動や、グリーン購入運動をしている人々にとって、TPPは、地域産業優先を禁じます。納めた税金を自分の州へと再循環させる"バイ・ニューヨーク"州優先も、"国産品愛好" も許されず、製品が含むべきリサイクル成分等の環境への配慮やら、搾取労働でなく作られた制服といった人権への配慮も許されません。こうした類の条件もう訴えられかねません。
 
TPPは大企業に途方もない権力を与えます。ここまで過激になれたのは秘密だったからです。他国の国民もこんなものを望んではいません。主としてアメリカが、最も過激な条項を推進しているのです。だから、どなたでもその分析がtradewatch.orgで読める、TPPの文章を公表し、実際一体何が起きているか、皆さんに知って頂くことが非常に重要なのです。

ギット・ハヴァーサル:
この国や他のいかなる国の国民が正しいと考える意見とも無関係に、我々が企業利益を最大化する為の偉大な方法となる様、TPP条約がまとまりつつあります。

ロリ・ウォラック:
オバマ大統領にとって、二つのシナリオがあり得ると思います。
一つは、彼がこうしたTPP担当者達がしていることを掌握していなかったというものです。実際見過ごされてきたのですそれで議会や大衆に警告することになりますから、最終的にTPP文章が明らかになることはきわめて重要です
基本的に彼は通商代表部の監督が甘かったのです。彼らの多くが、クリントン政権時代に、アメリカをNAFTAに加盟させたのと同じ連中が通商交渉チームに復活したのです。
もう一つのあり得る説明は、お金の問題で、つまり、これは1パーセントが愛する条約だということです。
これはいわば1パーセント連中の夢なのです。
周辺でも、政府でも、あらゆる資金とロビー活動をつぎ込んで戦い続け、欲しいものを入手しようとしているのです。これで未来永劫、彼らの力を固定できることになります。

記事原文

Breaking ’08 Pledge, Leaked Trade Doc Shows Obama Wants to Help Corporations Avoid Regulations

おまけ

橋下氏「日本のためになる」…TPP協力要請に 2013年2月27日12時34分 読売
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20130227-OYT1T00567.htm?from=tw

日本維新の会の橋下共同代表と松井幹事長は27日午前、安倍首相から環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加や日本銀行総裁人事への協力を電話で要請されたことを明らかにした。

電話は首相が24日に米国から帰国した直後にあり、橋下氏はTPPについて、「交渉参加になれば日本のためになる」との考えを示した、という。両氏が大阪府庁で記者団に答えた。

橋下氏は日銀総裁人事への対応について、「まず民間人から選択していくのが維新の会の考えだ」と述べ、財務省出身の黒田東彦(はるひこ)アジア開発銀行(ADB)総裁の起用に慎重な考えを伝えたことも明らかにした。


<転載終了>