守田敏也さん講演録(7)

お待たせしました。
守田敏也さんの講演の後半部分です。
守田さんご自身の校正と加筆をいただき分割してお届けします
守田さんご自身のブログにも載せてくださっています。ぜひ、ご覧ください。↓
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ベラルーシの地理的位置関係】
続いて、ベラルーシ、ドイツ、トルコ訪問の旅の報告をさせていただきたいと思います。
今回の旅の前半は、ドイツで行われた「国際医師協議会」を中心としたイベントへの参加が目的でした。どういうものなのかというと、ドイツと日本とベラルーシの医師たちが集まり、チェルノブイリやフクシマにおいて放射線障害はどのように発生しているのか、またそれに対してどのような治療が有効なのかということをメインテーマとした協議会を行うという企画でした。
そのため、まずはドイツや日本の医師がベラルーシを訪問し、首都のミンスクチェルノブイリのすぐ北にあるゴメリという町に行ってきました。
みなさん、だいたいの位置関係はわかりますかね?
ヨーロッパの東側にロシアがありますね。その西側にポーランドや東欧の国々があります。さらに西にドイツがあります。ドイツの側から東に進んで、ロシアに向かう間にあるのがベラルーシです。そのベラルーシを南に下ると国境線を経てすぐのところにチェルノブイリ原発があり、ウクライナになります。この国の一番南はクリミア半島。今ロシアに占領されていて、ホットなところですよね。そして黒海があり、対岸にトルコがあります。
僕は今回、日本が輸出しようとしている原発の建設予定地とされているシノップという町に行ったのですが、そこはちょうど黒海を経て、クリミアの反対側に位置しています。
僕はベラルーシとトルコに行ってきたので、ウクライナ周辺を旅してきたとも言えます。僕が向こうにいる間に、ロシア軍がクリミア半島への介入をはじめ、ウクライナ軍と戦闘が始まるのではないかという緊張が続いていました。
トルコは黒海の南側にありますが、ずっと南に下ると今度は地中海が出てきます。西側にはエーゲ海、この付近がヨーロッパとアジアの境とされているわけです。
東側はシリアやイラク、イランなどとも面している。そのシリアではこのところ政府軍と反政府軍が戦闘を行っていますが、僕が帰ってきた翌日に、トルコ軍機がシリア軍機を撃ち落とすという事態が発生しました。トルコのF16が、シリア政府軍機を撃ち落としたわけです。トルコは反政府側を支援していて、シリア軍機が領空侵犯をしたので撃墜したと説明していますが、シリア政府側は、シリア領内に入り込んだトルコ軍機に落とされたと主張している。ともあれこの地域に軍事的緊張関係が入り乱れていることが分かります。
ベラルーシの街の姿から】
(会場におられる入江紀夫医師に)ちなみに、入江先生。ベラルーシにご一緒しましたが、この国の印象をどんなふうに考えておられますか?ベラルーシという国とは一体何だったのでしょうか。
[入江先生]
・・・向こうの病院が、ものすごく立派なのですけれども、どこか福島医大を想像するようなものすごいのが荒野の中にどーんと建っているわけですね。そこの医者たちは公務員だと思うのですけれど、非常に口が固かったのが印象的でした。
[守田さん]
今回の企画の中心を担った核戦争防止国際医師会議(IPPNW)ドイツ支部の方たちが一緒でした。
次に街の写真をお見せします。みなさんどう思いますか?とてもきれいなのですよ。とにかくやたらきれいなのですが、なんとも言えないのは、あまりにも統制されている感じがすることです。どこの町にでもあるような雑然としたものがぜんぜんない。美観が統一されている街でした。