『追跡・沖縄の枯れ葉剤』 米国防省のウソの壁突き崩す

お友達のブログ記事からの転載です。
 
枯れ葉剤問題について、掘り起こした本が出るようだ。
琉球新報が伝えた米兵による告発を、裏付ける内容になるのか注目。
琉球新報より転載】
『追跡・沖縄の枯れ葉剤』 米国防省のウソの壁突き崩す
2015年1月18日
『追跡・沖縄の枯れ葉剤』ジョン・ミッチェル著 阿部小涼訳 高文研・1800円
 ことしはベトナム終結から40年、沖縄戦が終わって70年の節目の年。米軍の枯れ葉剤問題で、米国防省が築いた「ウソの壁」が突き崩される可能性がある。
 この本の著者の地道な調査報道によって明らかにされた「沖縄の枯れ葉剤」問題についても、国防省が認めざるを得ない決定的な証拠が出てくる可能性がある。
 常識からすれば、著者の調査報道によって明らかになった公文書や元米兵たちの証言の数々は、十分な証拠といえるが、国防省は頑強に枯れ葉剤の備蓄・使用を否定している。被ばくした元米兵の表現を借りると「ウソの壁」を築いている。
 著者は、米軍が山原の除草にエージェント・オレンジを使ったという記事を手掛かりに2010年、東村高江を訪れて以来、本格的な調査報道に取り組んでいる。
 公的な医療費を打ち切られることを心配して、取材を断っていた元米兵たちも著者の誠実さと真実を追究していく姿勢に共感、協力するようになった。米国の公的な機関内部でも協力者が出てきた。
 著者の調査はベトナムベトナム戦争の支援拠点になったグアムなどにも広がる。枯れ葉剤究明のネットワークができあがった。米国の公的な機関の調査報告書や各国メディアの報道に著者の記事が数多く引用されている。
 枯れ葉剤の問題は、現在進行形である。沖縄では、ドラム缶が次々発掘されている。河村雅美さんや沖縄・生物多様性市民ネットワークの取り組みが続けられている。
 ウソの壁の背後には、枯れ葉剤の使用が非人間的な行為であることと、将来、膨大な賠償金を支払わなければならなくなるという、米国政府にとって不都合な真実が隠されているからだ。沖縄の私たちには、できれば知りたくない真実ではあるが、著者も指摘しているように、元軍従業員を含め県民対象の疫学調査が必要だ。
 翻訳も自然で読みやすい。(高嶺朝一・元新聞記者)
 
ジョン・ミッチェル 1974年ウェールズ生まれ、ジャーナリスト。98年に来日以降、平和運動、人権問題、基地汚染問題などを取材、「ジャパン・タイムス」などを中心に発表。
 あべ・こすず 琉球大学教授。

【転載終了】
最近でも、沖縄市のグラウンドから、枯れ葉剤の容器と見られるドラム缶が、多数発見されている。
枯れ葉剤に含まれるダイオキシン類は、変質しにくく、毒性が長く続く。
基地の兵士だけでなく、基地従業員、周辺の住民にも、被害が出ているおそれもある。
早急に調査し、実態解明が行われるべきだろう。
※参考記事
函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき
http://m.ameba.jp/m/blogArticle.do?unm=kannami-boy&articleId=11944785782&guid=ON
沖縄市のドラム缶汚染から 最強ダイオキシン検出 米軍がベトナム戦争で使用した枯葉剤の可能性
14/10/28
 
★こちらは2007年の記事
米軍、沖縄で枯れ葉剤散布 60年代、元兵士にがん
2007年7月8日 18:13(くまにちコム)
http://kumanichi.com/news/kyodo/index.cfm?id=20070708000203&cid=main

 【マニラ8日共同】米軍がベトナム戦争で使用した、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を1961-62年、沖縄の米軍北部訓練場(国頭村・東村)などで散布、作業に携わった元米兵が前立腺がんの後遺症を認定されていたことが8日までに米退役軍人省の公式文書で明らかになった。米領グアム島での枯れ葉剤使用の実態調査を進めているグアム議会議員らが入手した。

 米軍が沖縄に枯れ葉剤を貯蔵していたとの指摘はこれまでもあったが、貯蔵・使用が文書で認定されたのは初めて。文書は米軍が沖縄に枯れ葉剤を集積、ベトナムへの運搬基地としていたことをうかがわせており、現在も北部訓練場などの土壌にダイオキシンが残留している可能性もある。

 同訓練場は96年の日米両政府合意で面積7800ヘクタールのうち約4000ヘクタールの返還が決まっており、今月3日には一部返還に向けた工事が始まったばかり。周辺一帯は「沖縄の水がめ」ともいわれる地域で、汚染除去問題などを契機に県民の反米感情が高まれば、米軍基地返還や移設をめぐる協議の行方にも影響を与えそうだ。


北部訓練場で枯れ葉剤 国と米軍に事実究明要求
7月9日16時4分配信 琉球新報
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070709-00000000-ryu-oki

 米軍が1961―62年に米軍北部訓練場などで猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していたことが明らかになった。地元住民や環境保護団体からは散布に対する反発とともに「どの場所でどのくらい使用したのか、事実関係をはっきりすべきだ」と、県による立ち入り調査の実施や、情報公開を求める声が上がった。
 伊集盛久東村長は「事実だとしたら大変なこと。村民の健康が心配だ」と驚きを隠さない。出勤途中のラジオ放送で初めて知ったという。伊集村長は「枯れ葉剤の散布が事実だとすればゆゆしき問題だ。県民の水がめであるダムを抱える村として看過できない」と述べ、「まず事実関係をはっきりさせてもらいたい。その上で、村民を対象とした健康診断の実施を国に求めたい」と語った。
 北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、移設予定地の同村高江の仲嶺武夫区長も「とんでもないことだ」と絶句した。仲嶺区長は「このままでは住民は不安な気持ちで日々を過ごすしかない。まず保管、使用した場所の特定をしてほしい」と事実の究明を米軍に求めた。
 沖縄環境ネットワークの真喜志好一世話人は「米軍基地の中でどのような環境汚染があるのか、県は立ち入り調査を求めるべきだ。県民の命を守る立場から、日米地位協定を変えていくべきだ」と話した。
 世界自然保護基金(WWF)ジャパン自然保護室の花輪伸一主任は「ベトナムで大量に使われた枯れ葉剤と同じものだと思われる。ベトナムではいまだに森林が回復していなかったり、高濃度の汚染がある。沖縄でも見た目にはないが、土の中に残留している可能性が高い。米軍の責任であり、日本と協力してどんな悪影響を及ぼしているのか調べないといけない」と強調した。
 沖縄平和運動センターの崎山嗣幸議長は「周辺は『沖縄の水がめ』であり、どんな形で影響して
いるのか分からない。現地
の自然も含め、影響がどうでたのか検証、点検する必要がある」と語り「東村高江のヘリパッド移設問題なども併せ、抗議していきたい」と話した。


コメント:
安倍総理はこの問題もスルーするのだろう。広島・長崎への原爆投下を正当化した米国議員の発言さえ問題なしとするのだから、沖縄の枯れ葉剤程度で米国批判を展開するはずもないと思われる。

しかしながら、それによって、枯れ葉剤散布を知らずに暮らしてきた人々の健康は、無視されることになるだろう。また、残留枯れ葉剤の除去は、日本の費用負担で行われるだろう。北朝鮮拉致被害者への対応と比べると雲泥の差となるものと思われる。

ここまでは将来予測にすぎないが、以下は現実の話。

政府は、水俣病未認定患者を救おうともしない。水俣病公式発見から50年を超えたというのに、放置したままである。同胞に対する政府の対応のオモテとウラを見るにつけ、拉致被害者救出は選挙用のパフォーマンスにすぎないことが強く感じられる。拉致問題への対応故に安倍総理を支持するということが何を意味するのか、単に国民は騙されているだけではないのか、よく考えるべきだろう。
枯れ葉剤:外務省「調査しない」 米側の疑義理由に/沖縄

猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤が本島北部で使われたとする元米軍人の証言が報道された問題で、外務省沖縄事務所は24日、「米側が一連の記事の信ぴょう性を疑っている」との理由から、国としても追加調査はしない方針を初めて示した。
名護市議会の比嘉祐一議長らが真相究明や基地周辺の環境調査実施を求める意見書を提出した際、明言した。

対応した伊従誠副所長は「現段階で追加調査は予定していない。北谷町などが情報収集していると聞いている。新情報があれば検討する」と述べた。
伊従副所長は報道を受け米側に再確認した結果、米側は
(1)報道写真のように枯れ葉剤を他の薬剤と一緒に貯蔵することはない
(2)枯れ葉剤なら容器に印があるはず-など疑義があると回答したという。

仲村善幸市議は「新事実が出るのを待つのではなく外務省は積極的に調査すべきだ」と訴えた。
琉球新報)2011年11月25日