恥ずかしい国と司法「脱原発のテント撤去と敷地使用料命じる??」何これ?(NHK:2月26日)

典型的スラップ訴訟なのに…

日本には「スラップ訴訟」を禁ずる法がないので、

スラップ訴訟であっても裁判所はそれを既存法で裁かざるを得ず、

よってスラップ訴訟を仕掛けられた者が敗訴するであろうことは十分に予測できましたけど

それにしてもこの判決内容(特に土地使用料の部分)は酷すぎると思います…

脱原発のテント撤去と敷地使用料命じる(NHK:2月26日)

脱原発を主張する市民団体が活動拠点として、東京・霞が関経済産業省の敷地に設置したテントについて、東京地方裁判所は「官庁を訪れる人の敷地利用を妨げている」として、市民団体に対しテントの撤去に加え、現時点で2800万円余りを敷地使用料として支払うよう命じました。

このテントは、東京電力福島第一原発の事故の半年後に市民団体が経済産業省の敷地の一角に設置したもので、メンバーなどが24時間常駐して脱原発を求める活動を続けています。
これに対し、国は「国有地を不法に占拠している」と主張して、市民団体の代表にテントの撤去や敷地の使用料として設置から撤去までの間、1日につき2万円余りの支払いを求めていました。
26日の判決で、東京地方裁判所の村上正敏裁判長は「案内板が隠れるなど官庁を訪れる人の利用が妨げられているうえ、テントの一部が焦げる火災が発生するなど防災上の危険も生じている」と指摘し、テントを撤去を命じるとともに敷地の使用料についても国の請求をほぼ認めました。市民団体が支払いを求められる使用料は現時点で2890万円になるということです。

判決について、市民団体の渕上太郎代表は支援者の集まった集会で、「テントを設置してから3年半近くになるが、日本の脱原発運動の一つの象徴になっていたと思う。判決の内容は予測されたものだが誠に残念だ」と話していました。一方、経済産業省は「国の主張が認められたと受け止めている。速やかにテントを撤去して土地を明け渡すことを期待したい」というコメントを出しました。

「スラップ訴訟」とは、
「大企業や政府などの優越者が、公の場での発言や政府・自治体などの対応を求めて行動を起こした権力を持たない比較弱者や個人・市民・被害者に対して、恫喝・発言封じなどの威圧的、恫喝的あるいは報復的な目的で起こす訴訟」で

「被告となった反対勢力は、法廷準備費用・時間的拘束等の負担を強いられるため、訴えられた本人だけでなく、訴えられることの怖さから、他の市民・被害者やメディアの言論や行動までもが委縮し、さらには被害者の泣き寝入りも誘発され、証人の確保さえ難しくなり、仮に原告が敗訴しても、主目的となるいやがらせは達成されることになる」

「そのため、表現の自由を揺るがす行為として欧米を中心に問題化しており、スラップを禁じる法律を制定した自治体もある」
(ウィキ:「スラップ」より)」
…というもので、国が市民団体に対して土地明渡しのみならず、

土地使用料の請求まで求めた今回の訴訟は

典型的な「スラップ訴訟」(=「反原発市民運動を封じるために起こした訴訟)であると思います


市民団体が設置した経産省前のテントは、経産省の敷地内ではあるものの

それによって経産省の業務に支障をきたすという「実害」もありません

(あるとすれば、それは反原発運動が「目障りだ」と感じる官僚たちの「不快さ」でしょうか…)

しかし、この国の主権者が国の政策に対して何らかの意思表示をするのは

政治活動の自由(思想良心の自由)に属する最も基本的権利であるところ

その権利と、自分たちの政策に反対される官僚たちの「不快さ」とは

もともと比較の対象にさえならないものです


また、経産省の敷地は「国有地」で、国民の資産であるところ

そこで「営利活動」をして収入を上げているならともかく

そこで有権者がテントを設置して政治的意思表示をする行為に

国が「土地使用料」を請求する…というのは、まったく恫喝以外の何物でもありません


したがって、今回の判決が国が主張する「土地使用料」まで「満額回答」したことは

裁判所がスラップ訴訟を提起した側(=国)の意図を

そのまま認めてあげた…としか言えないと思います


ぼくは、この国にいまだスラップ訴訟を禁ずる法がないことを恥ずかしく感じるし

このような判決を下す司法もまた、恥ずかしくてたまりません