残業代ゼロ法案は,「人間の働く時間には限界がある」という事実から目を背けています。

「おおむね妥当」の中身はこんなの…

役所の「審議会」って、どんな組織やねん?…と、呆れてしまう素朴な記事…

「残業代ゼロ」法案要綱、労政審が答申 (朝日:2015年3月2日)

長時間働いても残業代などが払われない新しい働き方をつくる労働基準法改正案の要綱について、厚生労働省労働政策審議会は2日、「おおむね妥当」として、塩崎恭久厚労相に答申した。8年前に同様の制度を断念した安倍政権は、来年4月の実施に向けて今国会で改正案の成立を目指す。~

そうでっか、厚労省の「労働政策審議会」では、

「なんぼ長時間働いても、残業代はあげないよ制度」(残業なんて概念はなくすよ制度)を

「おおむね妥当」って言うねんな


ほな、ホンマに労働基準法改正案の要綱が妥当なのかどうか、

その内容をわかりやすくマンガで解説してくれてるページがあったので、それを紹介してみるで…

(以下、「ブラック法案によろしく」『ブラック企業被害対策弁護団』よりの一部…というかほとんど全部転載です…)

・残業代が無くなれば,無駄な残業が減る?

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残業代が無くなれば,今の違法状態が適法になるだけです。

・対象は一部の高給取りだけ?

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「小さく産んで,大きく育てる」。国民の抵抗を受けやすい法律を作る際に使われる常套手段です。

・国会通さず対象拡大?

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残業代ゼロ法案では,適用対象者の拡大を,主任大臣の定める省令によって行うことが想定されているようです。
省令は法律ではありませんので,国会を通す必要がありません。

・本音はどこ?

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かつて日本経団連は,年収400万円以上のホワイトカラー労働者の残業代を無くすよう提言しました。

成果主義ってもうやってるでしょ?

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成果主義の実現は,現行法でも可能であり,多くの企業で導入されています。
ただし,それは長時間労働の原因の一つになっており,安易に肯定できるものではありません。

・みんな成果主義になるの?

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残業代ゼロ法案が成立しても,成果主義が義務付けられるわけではありません。
今までどおり固定給が維持されれば,単に残業代がカットされるだけです。


・成果を出さないと帰れない?

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成果主義かつ残業代ゼロの会社を想像してみましょう。
「成果も出してないくせに帰るな」と言われそうですね。

・「早く帰れ」と言われなくなる

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法令を遵守しつつ,人件費を抑えるには,残業代を抑制する必要があります。
ところが,残業代が無くなってしまえば,もはやそんなことを言う必要は無くなります。

・働く時間には限界がある

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労働者を保護する最初の法律は,1802年にイギリスで生まれました。
このとき,「人間の働く時間には限界がある」ということが認識されました。

残業代ゼロ法案は,「成果」をことさらに強調し,「人間の働く時間には限界がある」という事実から目を背けています。
人類の歴史に逆行する法案です。

・命の問題です

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残業代は,長時間労働を抑制するほとんど唯一のブレーキです。
しかし,現状でさえこのブレーキは不十分な働きとなっており,悲惨な過労死や過労自死が相次いでいるのです。

この上ブレーキを無くしてしまったらどうなるか,その結果は見えています。

う~ん、時代をいきなり1802年以前に戻してしまうようなこんなムチャクチャな内容を

「おおむね妥当」って、そら「まったく妥当でない」で…





厚生労働省労働政策審議会が「おおむね妥当」とした労働基準法改正案の要綱のなかには

「残業代ゼロ制度(なんぼ長時間働いても残業にはなれへん制度)」の他にも

残業代を合法的にカットできる制度(=裁量労働制)の適用職種の拡大という、

これまた酷い企みが挟んでありまして、それはこんな内容です↓
・残業代をカットできる制度の対象業務を拡大?

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残業代を合法的にカットできる制度として,企画業務型裁量労働制というものがあります。これは予め決められた時間働いたと「みなす」制度です。例えば,予め決められた時間が8時間であれば,実際何時間働いたとしても,8時間働いたとしかみなされません(※この制度でも休日,深夜の割増賃金は発生します) 。

現行法上,その対象業務は,「事業の運営に関する事項についての企画,立案,調査及び分析の業務」であることがまず必要とされています。政府はこの部分に新たな類型を追加しようとしているのです。

これは残業代ゼロ法案に匹敵する重大な問題です。

日本で長時間労働が常態化している原因は、「サービス残業が横行してるから」

(=残業代を払わないでも通ってしまう恥ずかしい違法慣習?があるから)なんですが、

「残業代ゼロ制度」や「裁量労働制の拡大」は、それを合法化するものです


「残業代の割り増し支給」は、「長時間労働を抑制するほとんど唯一のブレーキ」なのに

政府は財界の要望をほぼ丸飲みして、このブレーキをなくそうとしてるんです

しかし、ブレーキがなくなって、スピード出し放題(長時間労働させ放題)になれば

事故(=過労死・過労自殺・過労による疾病など)が増える…のは当たり前の話で

こんな無茶苦茶な法改悪は、絶対に通したらアカンと思います


…っていうか、この世の大多数は「雇われ人」(=雇用者≒労働者)なんやから

自分たちが損する制度を推し進めようとしてる党を支持すんのは

ええ加減にやめたらどないですかね…?