戦争立法の全貌を解明する 「海外で戦争する国」にしないために」 (五十嵐仁氏)
戦争立法の全貌を解明する[論攻] (五十嵐仁氏)
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戦争立法の全貌を解明する [論攷]
五十嵐仁の転成仁語 2015年5月8日
〔以下の講演記録は、『東京革新懇ニュース』第402号、2015年5月5日号、に掲載されたものです。〕
「海外で戦争する国」にしないために
戦争立法に関する与党大枠合意が行われたもとで、東京革新懇は4月6日に、五十嵐仁元法政大教授を講師に緊急学習会を開催しました。要旨を紹介します。
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安倍首相の野望は、新「富国強兵」政策によって覇権大国を復活させ歴史に名を残すことだ。「海外で戦争する国」に向けて、解釈改憲・立法による実質改憲・明文改憲のうちの第2段階が始まった。「大きくてギラリと光る国」をめざしている。
Ⅰ.「戦争立法」の内容と問題点
1、「戦争立法」の構成と内容
略
2、「戦争立法」の問題点
(2)歯止めとしての①国際法上の正当性、②国会の関与、③自衛隊員の安全確保は誤魔化しだ。「国連決議等」「原則国会の事前承認」などの抜け穴がある。戦争目的の海外派兵、現に戦闘中の現場への派遣、強制的な臨検、武器の供与以外は全て可能だ。
(3)新3要件は、政府の裁量によって事実上無制限に拡大する危険性がある。
3、直接は関係ないと考えている人が多い。「海外で戦争する国」になった場合、いかなる不利益が生ずるか訴えることが大切だ。
②戦争準備と海外派遣のために国費が無駄使いされる。
③日本人が狙われる危険性やテロの脅威が増大する。
Ⅱ.改憲戦略提起の背景と現段階
8月に予定されている「70年談話」は、植民地支配と侵略の反省を入れれば極右勢力が反発し、他方で中国・韓国だけでなく米政府も「反省」を示すか注視している。
「戦争立法」のヤマ場と「70年談話」の時期が重なるかもしれず、国会審議にも影響を与える可能性がある。
Ⅲ.「戦争する国」にしないために―どのように反撃するか
1、民意は安倍「暴走」の全てに反対している―共同通信(3月調査)
・「日本周辺」を外すこと 賛成29.7%、 反対61.9%
賛成21.8%、 反対69.6%
・海外派遣で必ず事前の国会承認 必要だ77.9%、 必要ではない16.6%
・70年談話で「植民地支配と侵略」への「反省とおわび」
盛り込むべき54.6%、 盛り込むべきではない30.5%
2、安倍「暴走」が見えやすくなり、国民の不安が高まっている。極右路線への反発と懸念が、良心的保守との協力可能性を広げている。
3、「戦争立法」ノーの大波を作り出す
複雑で分かり難い「戦争立法」に対抗するため、何が問題なのか分かりやすく伝えるための学習が重要だ。他人事ではなく我が事であることを自覚してもらうことも大切。多様な課題での共同は統一戦線になる。そのために、力を合わせ、足並みをそろえる、過去を問わないことなどが重要だ。
事実を知り、教訓を学び、情報を発信し、できる範囲で行動しよう。若者と女性のエネルギーを最大限に発揮し、高齢者の知恵と経験を生かそう。
拙著『対決 安倍政権―暴走阻止のために』(学習の友社、定価1300円+税)刊行中。