的外れの安倍批判<本澤二郎の「日本の風景」(2011)

的外れの安倍批判<本澤二郎の「日本の風景」(2011)

<その馬を射よ>
 ネットの掲示板をみると、確かに安倍批判がすごい。当然のことである。戦争放棄日本国憲法下で、戦争法を強行しようとしているのだから。国粋主義の祖父・岸信介の遺言を強行しているのだ。しかし、批判の多くは的をはずしている。「将を射んと欲すれば、その馬を射よ」である。安倍支援の岩盤を破壊しないことには、ネットでいくら激しい言葉を並べても、一般人の耳に届かない。安倍の馬が何か、がわからないと、むなしく空を切るだけである。おわかりだろうか。


創価学会の自民支援>
 
なぜ安倍は安心して憲法違反ができるのか。なぜナチスを手本にして悪法の数々を強行、独裁者として振舞えるか。それは選挙を心配しなくていいからである。こんな政権は戦後初めてのことである。
 理由は、素人には分からないだろうが、プロはわかる。創価学会という選挙のための宗教団体が、安倍・自民党を強力に応援しているからである
 考えもしなかった選挙の大変動である。憲法違反の原動力が学会なのである。これは池田大作氏の健康と関係がある。公明党の大暴走は、同氏の健康と深く結びついている。「太田の暴走」に学会が振り回されてしまっている。太田に操られる公明党が、いつまで続くのであろうか。
 これが安倍の行方を左右する。
 春秋の筆法をもってすれば、創価学会が戦争法強行の主役ということになる。学会婦人部の覚醒を求める筆者の思いは、切実なものがある。池田氏の無念も理解できる。最近、同氏の子息が北京を訪問した。信濃町の変革に期待したい。

小選挙区制の致命的欠陥>
 2頭目の馬は、民意が反映しない小選挙区制にある。わずかな投票率小選挙区制で安倍・自民党は、国民の10%台の支持で、3分の2の議席を確保している。こんな民主主義政治があっていいわけがない。
 このカラクリに国民は覚醒すべきだ。自民党のたった一人のリベラル派の村上誠一郎が、昔からこれの非を叫んでいるが、正に正論である。
 この悪しき選挙制度創価学会が結びついて、3分の2のファシスト政府与党が誕生している。まともな野党・言論人は、ここを強く批判して、民意の反映する選挙制度に改革する責任がある。

<三井・三菱ら財閥の極右化>

 3頭目の馬は、財閥である。財閥の裏金が日本政治を動かしている原動力である。別にマルクスを引き合いに出す必要などない。筆者は資本論を読んだことなどない。読みこなす才能もない。
 しかし、それでも今はわかる。自民党政治政治記者として20年、政治評論家として30年見聞してきたことが、ぼんくら頭脳を開眼させてくれた。
 この真実を数十年来、海外で教えてきたが、日本研究者は理解しない。戦後、日本に「財閥は存在しない」と思っている学者が大半である。日本を分析できる外国人はいない、といってもいいほどである。
 
 財閥とは「重要な政策に影響力を行使できる巨大企業群」をさす。
 戦後解体された財閥は、朝鮮戦争で復活した。三井住友や三菱などの財閥は、戦前の数千倍の規模と資金力を誇る。安倍内閣は、その実、財閥の傀儡政権なのだ。
 右手で武器弾薬、左手でオリーブの枝で、政府を操っている。日本の3権は財閥の手にある。日本の民主主義は、まやかしに過ぎない。財閥にメスを入れないと、この国は再び戦争を起すだろう。断言しておこうか。

<支持率が下がらないのは新聞テレビの支援>
 財閥は何でもできる。新聞テレビを電通を操ってコントロールしている。新聞テレビが政府批判を止めた原因は、この財閥の指令によるものである。
 国民の頭脳は、新聞テレビの報道内容に左右される。これが世論を形成する。政府批判があってこそ、民主主義が健全に開花する。日本にこれが無くなってしまった。
 戦争法を強行すれば、即内閣は退陣であるが、新聞テレビが死んでしまった日本では、内閣の支持率が下がらない。存続している不思議は、新聞テレビのお陰である。
 恐ろしい戦前へと突き進んでいる日本である。

<自民3分の2は学会のお陰>
 繰り返すが、安倍独裁は創価学会のお陰である。安倍は戦争神社の信仰に凝り固まっている。カルト首相は、世界でも知れ渡っている。これに抵抗できない国際社会も腐りきっている。
 彼は韓国で誕生した統一教会の信者でもある。ひょっとして創価学会の信者にもなったかもしれない。学会の存在なくして、いまの安倍内閣は存在しない。
 ぼんくら野党にも責任があるのだが。

 余談だが、威勢のよいころの小沢一郎を取材したことがある。彼は実力者の金丸信の寵愛を受けて実力幹事長になれた。秘訣は金丸夫人を射たからである。

 安倍を支える3頭の馬を射よ!

2016年6月10日記(日本記者クラブ会員・政治評論家・武漢大学客員教授