エッセー「戦争法案」     長沼 節夫(会員)

エッセー「戦争法案」     長沼 節夫(会員)

国会周辺に行ってぶったまげた!
筆者の貧困な想像力を、現実が遥かに超えた――。「戦争法案反対の意思を国会を取り巻く人の輪で示そう」という声を色んな集会で聞いていたので、「もしも私が行かなかったせいで包囲の輪が完成しなかったら後悔するぞ」と思ってこの日曜日、地下鉄「国会議事堂前」で降り、階段を上った。
「戦争させない。9条壊すな!総がかり行動実行委員会主催・国会包囲行動」だ。
ところがぶったまげた!既にどこもかしこもびっしりと人・人・人の波ではないか。

「安倍政権は、学者の意見が気に入れば専門家と持ち上げ、気に入らなければ素人が何を言うかと馬鹿にする」「安倍首相は悪いやつだが夫人はいい人と言う人がいるが、根拠はない」「1960年当時、幼い安倍が官邸内でアンポ・ハンタイごっこをするたびに、祖父の岸信介(首相)」からアンポ・サンセイと言いなさいとさとされたとか。この時以来、安倍はみじめな人生を歩み始めた」などと、スピーカーから次々名文句が聞こえるのだが一体、どこで発信しているのやら。

そう思って探し歩くうち、ほぼ国会を1周してしまった。「人の波の向こうにそびえる国会議事堂」というアングルから写真を撮ろうと思ったら、ムム!敵もやるわい。正門前の一角に巨大なクレーンをすえつけて、それをまた工事現場よろしく塀で囲ったりして、反対の人の波を分断している。どう見ても道路工事をやっているようには見えない。法案反対勢力への幼稚な嫌がらせ以外の何ものでもないわい。こうなったら次回6月24日夕刻の官邸・国会前総行動にもゼッタイ行くぞ!(2015.6.18)


安倍首相のホルムズ海峡機雷封鎖解除の夢

 11本の戦争法案を束ねて一挙に成立させたい乱暴者の安倍首相。中でも「十八番」の想定は外国に取り残された日本人を米艦が救出してくれる。救出邦人が乗ったその米艦を日本の自衛艦が護衛するのは当然というので、首相はPR会社に発注したという派手なイラストを用意して官邸記者団に披露した。もう1つは中東ホルムズ海峡が敵国に封鎖されたら日本には石油の8割が入らなくなる。そうなったら大変なので自衛隊が駆けつけて、機雷封鎖を解除しようというのだ。

 このうち米艦が邦人の救出と輸送に当たるという想定は、米側から「そんなことはあり得ない。軍艦に民間人を乗せることはない」と一蹴されてしまった
それでこの想定はイラストというよりマンガになった。

ではホルムズ海峡作戦はどうだと、首相は見得を切る。
これもまた荒唐無稽だ。ホルムズ海峡を封鎖する意地悪が出来るのはここでニラミを利かせるイランぐらいかしかしこの海峡封鎖で打撃を受けるのはやはり石油の大部分を中東に頼る中国のほうではないか
安倍さんは封鎖解除作戦を日中共同でなさろうとでもいうのか。これもまたマンガなのだ。
第一、経済封鎖を理由に戦争をやろうなどというのは、満州占領に対抗して先進国が石油やくず鉄を対日禁輸したのに怒って真珠湾を奇襲した昔の日本軍ぐらいのものだ。
安倍さん、ぼつぼつマンガ本を閉じなさい。そして戦争より平和の競争をやってはいかが。(2015.6.11)