法治国家なら効力を有しない「戦争法案」

法治国家なら効力有しない「戦争法案」--------- 憲法9条尊重擁護義務を負う安倍政権と憲法遵守宣誓する自衛隊

国民の6割が反対している「戦争法案」が本日(7月16日)午後の衆院本会議で自公によって強行採決され参院におくられました。【※直近の各世論調査で「戦争法案」に6割が反対→共同通信(6月20、21日調査)「反対」58.7%。毎日新聞(7月4、5日調査)で「反対」は58%。朝日新聞(7月11、12日調査)「反対」56%。日本経済新聞テレビ東京(6月26~28日調査)今国会で成立させることに「反対だ」57%】
国民の6割が反対している法案というだけでも廃案にすべきですが、この「戦争法案」はそもそも憲法違反であることは、青井未帆学習院大学教授の指摘を紹介しているとおりです。【※「政府の説明がどうあれ憲法9条違反の軍事行動・武力行使に道ひらく「戦争法案」(青井未帆学習院大学教授)
そもそも憲法違反である「戦争法案」は、「その効力を有しない」ので、日本が民主主義国家、法治国家であるならば、自公によって「戦争法案」が今国会で強行成立させられようとも「無効」です。そのことは、憲法に次のように明記されています。
第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
出典:日本国憲法
加えて、安倍政権の「国務大臣」も、自公の「国会議員」も、そもそも憲法違反の「戦争法案」を提出したり成立させたりすることも本来はできません。上記の98条にあわせて、憲法99条に次のように明記されているからです。
第九十九条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
出典:日本国憲法
それから、国家公務員である自衛隊員も今回の「戦争法案」が成立したとしても、同じことが言えます。上記の憲法98条、99条にもとづいて、自衛隊員にも「憲法を尊重し擁護する義務を負う」ので、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は本来はできません。「国の最高法規」である憲法9条自衛隊員も「尊重し擁護する義務を負う」のですから。
第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
出典:日本国憲法
このことは、重ねて「自衛隊法」にも次のように明記された上に、自衛隊員は、日本国憲法を遵守することを明記した「宣誓書」に署名押印して服務の宣誓を行わなければ自衛隊員にはなれませんので(ほかの国家公務員も同じです)本来なら「戦争法案」が成立したとしても武力行使はできないのです。

第四節 服務の宣誓

(一般の服務の宣誓)

第三十九条 隊員(自衛官候補生、学生、生徒、予備自衛官等及び非常勤の隊員(法第四十四条の五第一項 に規定する短時間勤務の官職を占める隊員を除く。第四十六条において同じ。)を除く。以下この条において同じ。)となつた者は、次の宣誓文を記載した宣誓書に署名押印して服務の宣誓を行わなければならない。自衛官候補生、学生、生徒、予備自衛官等又は非常勤の隊員が隊員となつたとき(法第七十条第三項又は第七十五条の四第三項の規定により予備自衛官又は即応予備自衛官自衛官になつたときを除く。)も同様とする。

宣誓

私は、我が国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身を鍛え、技能を磨き、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行に当たり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
それでも安倍政権が今国会で「戦争法案」を強行成立させるとするなら、青井未帆学習大学教授が指摘しているように、「人の支配ではなく法の支配を」という近代国家・法治国家の大前提が崩れて、特定の政権の考え方を一番上に据えてしまい、統治そのものが不安定になり、政府が自分で自分の首を絞めるような事態に陥ってしまいます。
いま私たちは、「法の支配ではなく人の支配」という反近代国家=時の権力者が恣意的に国家を運営していくという「人治国家」へと陥ってしまうかどうかの瀬戸際にあるのだと思います。