戦争法案関連…例外が普通になる国

戦争法案関連…例外が普通になる国

日本の社会…というか、政治に特徴的なことの一つとして

「例外が普通になる」というものがありまして、それはどういうことかと言いますと

ホントは例外を基本にしたいんだけど、それを正直に言うと反対が多くなるから

一応「例外規定」ということにして油断させつつ、

法や仕組みができた後にその例外をどんどん広げていって、

いつのまにか、「例外を普通にする」…という(政治的)詐欺のことですわ


例えば、核発電所(→原子力発電所のことね)の新規制基準を設けた際に、

原発の稼働期間は「原則40年」としつつ「原発の運転期間を20年間延長」できるという規定を

「例外として」設けたわけですが、その際に、当時の民主党政権は市民に対して

「延長は極めて例外的なものに限定される」と説明してたんです

(言うときますけど「極めて例外的」という日本語は「そんな例外なんてほとんどないよ」という意味ですよ)


ところが、自民党政権になってから「安全性が確認されれば、運転延長していくのが基本的な考え方だ」…と

「極めて例外的」だったものがいつのまにか「基本的考え方」に変わってしまって、

出力の大きい核発電所の20年の稼働延長は電力会社にとって「基本路線」になってます

(これが日本政府得意の「例外を普通にする詐欺」で、こういうカラクリは
 あの「特定秘密保護法」にもしっかり入ってます)


そして…

現在、国会で審議中の違憲法案である戦争法案においても「例外詐欺」はやっぱりあって

安倍ちんは、何かと言えば「例外」という言葉を使って説明してるんですが

今回の「例外詐欺」では、「例外」を認めさせる詐欺テクニックとして

安倍ちんが「一般(的)に」という言葉とセットでしゃべってまして、それはこんな具合です…

「一般に海外派兵は認められないというのは基本であります、基本。
 この基本の中において、これは『一般に』でありますから、
 例外的に(中東の)ホルムズ(海峡の機雷除去)の例を挙げさせていただいておりますが、
 それ以外は、なかなか今念頭にはない」

この発言はもう、ごまかしのオンパレードで、何からツッコんでええのかわからんぐらいですけど

憲法9条のもとで海外派兵が許されないのは「一般的に許されない」のではなくて

「絶対ダメ」なわけですので、そもそも「例外」が存在する余地なんかないんです

(∵「海外派兵」というのは「武力行使のために海外に軍隊を出す」ということですので
  武力行使を目的としない「海外派遣」とは明確に異なり、そこに「例外」は存在しません)


それなのに安倍は「基本」を勝手に「一般」と置き換えて、「一般」があるなら「例外」があるじゃないの…という

それこそ「一般的な話」に還元して、存在し得ない例外(=海外派兵)が

さも存在するかのような話をしてますけど、ホルムズ海峡の機雷掃海は「海外派兵」そのものなので

例外なく許されない…というのが法的論理的帰結でありますので

これは安倍ちんの「ボクちん詐欺」に過ぎません

(安倍ちんの「ボクちん詐欺」とは、一見、当たり前な話をしているようでいて
 実はまったくデタラメな話をしている…という政治的詐欺講釈のことです)


この発言のなかで気になるところをもう一つ言うと、

安倍ちんは、存在しない例外の例としてホルムズ海峡の機雷掃海を挙げつつ

それ以外の例外は「なかなか今念頭にはない」…とボカしてることです

これは「今はないけど、将来はあるかもよ」という「含み」をもたせてるわけでして

仮に戦争法案が成立したら、その後にどんどん例外事例を増やすつもりでいるのを半ば認めてるトコです

(→これは戦争法案成立後に「例外を増やしていく」際に、野党から
「立法当時はホルムズ海峡の機雷掃海の話しかしてなかったじゃないか」とツッコまれたときに
 だからあのときは「今は念頭にない」って言っただけで、
「例外はホルムズ海峡の機雷掃海しかない」なんてひと言も言ってないよ…と言い逃れる仕掛けを
 今から準備してる…ということです)


かくして、戦争法案が成立してしまったら、また「例外が普通になる」のは確実で

自衛隊は海外に出て行ってアメリカ軍とともに戦うのが普通(≒基本的任務)…ってことになるでしょう





※補足で…

自民党と並ぶ「日本の諸悪の根源」である公明党は、違憲の戦争法案を自民と共同提出しながら

自民党案に「歯止めをかけた」と、すっとぼけたデタラメを勝手に宣伝してます

(そやかて、憲法という最大の歯止めを無視して、いったい何の歯止めなんですか…)


しかしながら、戦争法案の審議で明らかになったのは、

法案に規定されてるワケのわからん「ナントカ事態」はどのような基準で判断するのか…

という「法律上の歯止め」の実体が、実はほとんどないコトでありまして、

ソコをツッコまれると、安倍ちんは最終的には「総合的に判断」という「基準にならない基準」を持ち出して

思いっきり基準をボカしてます


これは「ナントカ事態」認定には基準なんかないのよ、時の政権が「総合的に」判断すんのよ…

ということですから、この法案には、実は海外派兵への「歯止め」などなく、

「総合的」…と言いつつ、その実態は「アメリカの意向」によっていかようにもなる…という、

アメリカ軍にとっての「打ち出の小槌法」になるのは確実でしょう


かくして、世界のどこでも「出てこい出てこい自衛隊!」…と言いながら

アメリカが打ち出の小槌を振ると(→日本政府に要求すると)

おやまた不思議、またたく間に自衛隊が出現する…というお話なのでありました