中国標的の戦争法<本澤二郎の「日本の風景」(2069)

2015年07月29日

中国標的の戦争法<本澤二郎の「日本の風景」(2069)

<正体ひけらかす安倍シンゾウ>
 問題の戦争法は、安倍自ら中国との戦争準備であるということを既に官邸担当記者に打ち明けていたことが、週刊誌にすっぱ抜かれている。それを今度は公然と27日の参院本会議でひけらかせて見せた。過去にソ連を仮想的にした自民党は、今回の安倍内閣のもとでは、中国を真正面から敵視、そのための戦争法であることを、臆面もなく公表した。もはや中国も、穏便な政策対応を修正せざるを得ないだろう。国粋主義者は民主主義の敵であるのだから。


<7月27日参院本会議発言をTBSが報道>
 日本のテレビを見ていない筆者は、ネット新聞でTBSテレビの録画を見て、やはり腰を抜かしそうになってしまった。
 TBSは、安倍の問題発言の部分を正確に報道していた。これはNHK・日本テレビ・フジテレビが決して報道しないことである。7月27日の参院本会議での演説である。
 「わが国を取り巻く安全保障環境は、ますます厳しさを増しております」という、ここまでは安倍や自公幹部らが意図的に垂れ流してきた認識である。

<中国を名指しで批判>
 安倍はこの後、2度も中国を名指しすることになる。「東シナ海では、中国が公船による侵入を繰り返しています」と決め付ける。
 尖閣領有権は、両国の話し合い決着が外交の本筋であるが、安倍は違う。自国領土だと断定した上で、中国の「侵入」と押し切るのである。いかにも乱暴な言い分であろうか。
 これは独裁者の論理で、外交とはいえないレベルである。
 「南シナ海では、中国が活動を活発化し、大規模かつ急速な埋め立てや施設の建設を、一方的に強行しています」
 南シナ海は日本の領土・領海と全く関係がない。それを、あたかも被害者であるように認識、したがってそこに日本が割り込んで、アメリカのように覇権を貫こうとしている?恥ずかしい。

<仁義無き対決へ>
 この安倍論理に公明党までも連座している。心中、北京の怒りは収まりそうもない。まるで、やくざの仁義無き戦いを連想させるものである。
 なぜなのか。いうまでもない。戦前の日本帝国に郷愁を抱く国粋主義者は、なんとしても戦後秩序の9条憲法を解体しようとしている。その実現に中国をダシにしているのである。北京もたまったものではないだろう。

2015年7月29日記(政治評論家・日本記者クラブ会員)