沖縄の問題はマイノリティの問題であるってことを忘れたらあかんねん

2015-09-22

沖縄の問題はマイノリティの問題であるってことを忘れたらあかんねん

沖縄の翁長知事が、国連の人権理事会で基地問題(特に辺野古新基地建設反対)を訴えました…

沖縄知事:国連人権理事会演説「辺野古を世界の関心事に」(毎日新聞:2015年09月22日)

 沖縄県翁長雄志知事は21日、スイス・ジュネーブでの国連人権理事会で登壇し、県民の多数が反対する米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の名護市辺野古への移設が日米両政府によって進められている現状について「沖縄の人々の自己決定権がないがしろにされている状況を、世界中から関心をもって見てほしい」と訴えた。英語で2分間、演説した。日本の都道府県知事が国連人権理事会で演説するのは初めて。

 翁長知事は「沖縄県内の基地は、第二次大戦後、米軍に強制接収されたもので、私たちが自ら望んで土地を提供したものではない」と説明。そのうえで、日本の国土の0.6%の沖縄に、在日米軍専用施設の74%が存在することや、米軍に関連する事件、事故などが続いている現状に触れて「自国民の自由、平等、人権、民主主義を守れない国が、世界の国々と価値観を共有できるのか」と訴えた

 さらに、昨年11月の沖縄県知事選などで住民の多数が基地の県内移設に反対の意思を示していることについて「日本政府は民意を一顧だにせず、建設作業を強行しようとしている。私は、あらゆる手段を使って新基地建設を止める覚悟だ」と述べた。

 翁長知事は、人権理事会に先立って開かれたNGO主催のシンポジウムでも講演。沖縄が独自の言語、文化を持つ独立国だった点を説明し、1879年に日本の一部となった琉球処分や、戦後の米軍基地建設など、「自己決定権が侵害された」歴史への理解を求めた。また、沖縄の米軍基地移設問題の当事者である米側が「日本の国内問題」ととらえる姿勢があるとし、「日本と米国の民主主義はどうなっているのか」と批判した。米記者から米政府へのメッセージを尋ねられた知事は「米基地は沖縄本島の面積の18%を占め、米政府は当事者だ。国連人権理事会で理解されることで、米政府も動いてくれるだろう」と述べた。また、知事は既に表明した辺野古沿岸部の埋め立て承認の取り消しについて米記者に進捗(しんちょく)状況を質問され「法廷闘争の準備に取りかかっている」と答えた。

          ◇

 演説後、報道陣の取材に応じた翁長知事は「今日まで話してきたエキスをしっかり2分間で伝えられたので良かった。これから辺野古で強引に工事が進む可能性があるので、世界中の人が日本と米国の民主主義にぜひ目を向け、それぞれ発信してもらいたい」と語った。

 また日本政府の代表者が知事の発言を受け理事会で発言。「日本政府にとって一番大切なことは、安全保障環境が悪化する中、国民の安全を守ることだ。辺野古への移設は米軍の存在による抑止力を維持し、住宅密集地にある普天間飛行場のリスクを取り除く唯一の道だ。今後も継続して理解を得られるよう説明する」と語った。

この出来事を伝える今日のお昼の時間帯のTVニュース(→NHK・TBS・ABC)では、

翁長知事のNGO主催のシンポジウムでの講演に関しては、丸ごと省略してましたけど

沖縄の基地問題っていうのは、

マイノリティ(少数民族)が中央政府(≒多数派民族)から不利益を与えられ続けてるということ、言葉を換えれば

少数民族中央政府(≒多数派民族)から差別を受け続けてるということを抜きにしては語れないことです

(だから、TVニュースは一番肝心な視点を抜いて報道してると思います)


今、先住民族の尊厳(あるいは権利)回復や、少数民族への差別の是正が国際的な課題となるなかで

沖縄の問題を「アメリカ軍基地の偏在」という現象面だけで捉えることは、

その根本的な原因を(多数派民族が)都合良く忘れることに繋がると思います


今は日本となった沖縄の「先住民族」は沖縄人、すなわち琉球人であると同時に

これを日本全体から見ると、琉球人は圧倒的な少数民族ということになりますから

沖縄の問題は「先住民族の尊厳(権利)回復」と「少数民族への差別の是正」の視点を抜きには語れません


この点、記事の最後に紹介されてる日本政府代表のコメントは

「日本政府にとって一番大切なこと」
…という言葉から始まりますが

これは「日本政府(≒多数派民族にとって)の一番大切なこと」が

琉球人にとって一番大切なこと」にはなってないこと、それよりも優先されてることを象徴する言葉であり

これほど、先住民族かつ少数民族である琉球人を軽視する視点はないと思います


ぼくは素朴に「沖縄県民(≒琉球人)にとって大切なこと」が、

なぜに「日本政府にとって大切なこと」にならないのか…が、わからないんですが

それはマイノリティへの差別の存在を前提にしなければ、説明のできないコトであると思っています


そして、言うまでもなく、差別はなくさなければならないコトであるし、

そのなかでも、少数民族への差別は最優先でなくさなければならないことであるわけですので

沖縄の基地問題を「地政学」とか「安全保障環境の悪化」で正当化できる…なんて態度を示すのは

あまりにも恥ずべき行為、かつ、許し難い行為である…と、ぼくは真剣に思います