自民党の政治には所得再分配の視点がない
12- 自民党の政治には所得再分配の視点がない
自民、公明両党は、10%への消費税率引き上げ時に、食料品の軽減税率を導入する形で合意するする方向だと盛んに報じられています。
食料品の税率を8%に据え置いても、それは高額所得者にも適用されるので消費税の逆進性を緩和するものでないことは明らかです。しかし食料品などの生活必需品に8%もの消費税を課す国は世界のどこにもない=多くの国はゼロであり最大でも5%=ので、せめて8%に抑えるのは極めて当然のことです。
自公の協議を見ていて何よりも問題なのは、消費税の減収分を社会保障費の減額に充てるという姿勢です。それでは経済的弱者への還流という「税の再分配」など起こりようがありません。
こうしたことは日本の政治が如何に弱者に優しくないかの現れであって政治家は大いに恥ずべきなのですが、なぜか日本にはそうした風土が見られません。
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北海道新聞 2015年12月⒒日
自民、公明両党は、10%への消費税率引き上げ時に導入する軽減税率を除く形で、2016年度税制改正大綱を了承した。
最大1兆円と見込まれる財源を中心に、両党が調整を続ける異例の事態となった。
現時点で確保できた財源は、医療、介護などの自己負担軽減策を見送ることによるものだ。軽減税率は本来、所得の低い人ほど負担感が重くなる消費税の逆進性を緩和するのが目的である。
確かに、軽減税率には高所得者も恩恵を受ける側面がある。
政府は経済界に対し、減税を条件に設備投資の上積みまで約束させた。経営介入に等しい強硬な態度は、政府自身が賃上げや投資が不十分とみている証左だろう。
安倍首相は「1億総活躍社会」を掲げ、子育てや介護の支援を打ち出した。本気で社会の底上げを図るのであれば、再分配重視の方向へかじを切る必要がある。
軽減税率導入の議論を、その契機としなければならない。