論議すべきは軽減税率ではなく増税中止 (植草一秀氏)
論議すべきは軽減税率ではなく増税中止 (植草一秀氏)
植草一秀の「知られざる真実」 2015年12月12日
軽減税率の報道が大々的に展開されているが、こんなことで主権者は問題の本質を見誤ってはならない。
あるべき税制を考えるなら、過去25年の日本の税収構造の変化を踏まえることが、まず優先されるべきだ。
いま論議されていることは、現在の8%の消費税率を2017年4月に10%に引き上げる際に、一部品目に限って、税率を8%に据え置くことである。
逆進性を緩和する、消費税の問題点を是正する、ということであるなら、生活必需品の非課税 税率ゼロを検討するべきだろう。
8%に据え置くか、10%に引き上げるか、などという話は、枝葉末節の論議だ。
それすら認めようとしない財務省の姿勢は言語道断を言わざるを得ない。
もともと、消費税を5%以上に引き上げる際に、消費税を引き上げる前に、官僚利権を断ち切るという話があった。その話について、何も進展がないのである。
「我が身を切る改革」をやってから、消費税増税の負担を求める、というのが、最低限の条件であるだろう。
25年前の税収構造はこのようなものだった。
消費税 3兆円(89年度)
だった。
これが2015年度は
消費税 17兆円
になっている。
富裕者の負担を徹底的に軽くして、中低所得者の負担を際限なく重くしているのである。
メディアが、「10%を8%にするなどという些末な論議をするのではなく、生活必需品は無税、非課税にすることなどを検討するべきだ」との報道を大々的に展開するのなら分かる。
そもそも、いま論じるべきテーマは、2017年4月の消費税10%の中止もしくは延期である。
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