福島原発 凍土壁がほぼ完成 運用めどは立たず

2016年2月1日月曜日

福島原発 凍土壁がほぼ完成 運用めどは立たず

 福島原発の「凍土壁」は29ほぼ完成ということですが、原子力規制委の認可が出ないため、今年度中としていた運用開始のめどが立たない事態となっています。
 凍土壁は1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて、全長1・5キロの氷の壁で囲み、建屋に流れ込む地下水の量を現在の10分の1以下の1日10トンまで抑えるのがねらいで2014年6月に着工し、国が345億円をつぎ込んで建設しました。
 
 ところが凍土壁内外の水位差のコントロール方法等について、規制委が東電の考えている方法では不十分であるとして凍土壁の運用開始を認めないために工事が完成しても動かすことができないでいます。何をいまさらというような話ですが、実はこの問題は計画の当初から問題視されていたもので、東電側は解決しないまま見切り発車で強引に着工したという経緯があります。
 
 これを解決する責任は勿論東電にあります。この程度問題も解決できないようでは、乃至は規制委を説得できる理論を構築できないようでは話になりません。
 その先には凍土壁が全面凍結するかどうかの根本問題が控えているのですから。
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福島第一原発 凍土壁ほぼ完成も運用めど立たず
NHK NEWS WEB 2016年1月29日
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水対策の柱として建設が進められてきた「凍土壁」は、29日、ほぼ完成する見通しです。ところが、原子力規制委員会の認可が出ず、今年度中としていた運用開始のめどが立たない事態となっています。
福島第一原発では、建屋の中に大量の地下水が流れ込んで汚染水を増やし続けていて、これをどう抑えるかが大きな課題となっています。
これに対して、凍土壁は、1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて、全長1.5キロの氷の壁で囲み、建屋に流れ込む地下水の量を、現在の10分の1以下の1日10トンまで抑えるのがねらいです。
おととし6月に着工し、国が345億円をつぎ込んで建設を進めた結果、29日でほとんどの工程が終わり、地中に打ち込んだパイプに「冷却材」と呼ばれる液体を詰める作業が終われば、設備は完成します。
ところが原子力規制委員会は、いまだに凍土壁の運用開始を認めていません。
現在、建屋内の汚染水の水位は周囲の地下水より低く保たれていますが、凍土壁によって地下水の水位が下がりすぎて、上下が逆転すると、最悪の場合、汚染水が漏れ出し、汚染が拡大するおそれがあるというのです。
東京電力側は、地下水の水位を細かく監視し、水位が下がり過ぎた場合は水を注入するなどとしていますが、原子力規制委員会は、地下水を巡っては想定外の事態が起きかねず、説明が不十分だとしています。
凍土壁は汚染水対策の柱として導入が急がれたことから、建設を先行させ、汚染拡大への対策などは建設と並行して議論することになっていましたが、完成を目前にしても、東京電力側と原子力規制委員会の隔たりが埋まらず、今年度中に計画していた凍結開始のめどが立たない事態となっています。
 
汚染水対策手探り続く
福島第一原発では、事故が起きた直後には毎日およそ400トンの地下水が建屋内に流れ込み、核燃料を冷やしたあとの水と混ざって、汚染水を増やし続けていました。
このため東京電力は、建屋から汚染水をくみ上げ、大半の放射性物質を取り除いたうえでタンクに保管していますが、すでにタンクは1000基を超え、いかに汚染水の増加を抑えるかが大きな課題となっています。
その後、建屋より上流側で地下水をくみ上げる「地下水バイパス」や、建屋の周囲にある「サブドレン」と呼ばれる井戸から地下水をくみ上げる対策などで、流入量は1日およそ150トンまで減っています。
国と東京電力は、「凍土壁」が完成すれば、建屋への流入量は1日10トン程度となり、汚染水対策は大きく進むとしています。
一方で、去年10月、汚染された地下水が海に流れ出るのを抑える「遮水壁」と呼ばれる設備が完成したあと、せき止めた地下水の量や放射性物質の濃度が想定を上回ったため、処理しきれない地下水を建屋に入れざるをえなくなり、結果的に汚染水を増やしてしまうという、新たな課題も生じています。
地下水の流れや汚染の状況は直接確認することができないだけに、手探りの対策が続いています。

伊方原発全停止、4回目の冬 安定供給に影響なし

愛媛新聞 2016年01月31日
 四国電力伊方原発愛媛県伊方町)が全3基停止した状態で迎えた4回目の冬。県内は1月、記録的な寒波に見舞われたが、電力需給に関しては供給力に占める需要の割合を示す使用率が90%に達した平日は昨年12月以降、3日間だけ。おおむね80%台で推移し安定供給に影響は出ていない
 
 使用率が90%と「やや厳しい需給状況」になったのは松山で最高気温が10度を下回り7.2度だった1月13日に加え、県内で大雪を伴う氷点下の地点が続いた25、26日の3日間。 
 最大需要の記録は松山で最高気温が3.3度までしか上がらなかった1月19日の481万キロワットだった。 
 一方、昨年12月の使用率は78~88%で推移。四電によると、四国4県の県庁所在地の平均気温は平年比プラス2.0度、前年比プラス3.6度と暖かく、需要減につながった。 
 
 四電によると例年、冬季の最大需要が発生するのは2月が多い。一般的に、寒い日が連続すると需給状況が厳しくなる傾向があるといい、安定供給へ「気は抜けない」としている。