立地町の自治を奪った原発交付金 国には自立を支援する責任
2016年2月2日火曜日
立地町の自治を奪った原発交付金 国には自立を支援する責任
高浜町の財政に関しては、2013年度決算の一般会計歳入総額は91億8800万円、このうち原発関係の交付金が22億1100万円で歳入に占める割合は24%、さらに固定資産税収入が歳入全体の27%を占め25億1千万円に上ります。
このように町の財政が交付金に高率で依存しているのに加えて、地元企業も原発関連企業との取引が多く、町全体が原発抜きでは維持できない構造になっているので、事実上「立地自治体には再稼働を拒否する選択肢はない」(成美大学三好ゆう准教授)ということです。もともと原発が立地したところは過疎で産業の乏しいところでもありました。
こうして立地町が再稼働に同意するしかない状況下で、いま再稼働が進められているのです。
立地町の財政や町のあり方を長年にわたっていびつにしてきた責任は政府(と電力会社)にあります。政府(と電力会社)には地域が自立に向けて基幹産業を育成出来るように支援していく責任があります。
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信濃毎日新聞 2016年1月31日
アメとムチ―。広辞苑によると、支配者の硬軟両様の政策を意味する。政府が昨年末に打ち出した政策は、まさに「支配者」の思考を映し出している。
原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発が再稼働できるかどうかは、最終的には立地自治体の「同意」にかかっている。今回の政策は財政面で締め付け、同意を半ば強制する。自治体が将来を選択する権利を奪うものだ。
<政府の買収行為>
福井県と高浜町の資料によると、町の2013年度決算の一般会計歳入総額は91億8800万円。このうち、原発関係の交付金が22億1100万円で、歳入に占める割合は24%になる。さらに固定資産税収入が歳入全体の27%を占め、25億1千万円に上る。
高浜町はこれまで、原発関係の交付金で公共施設や観光施設を造り、その維持費や人件費も交付金で賄ってきた。交付金の活用事業は多岐にわたり、住民の予防接種や介護用品支給事業、高校生の通学費助成、乳幼児医療費助成なども対象だ。
東京電力福島第1原発の事故は、暴走した原発が国土と後世にどれほど深刻な影響を与えるのかを浮き彫りにした。原発が立地する地域が将来どう生きていくのか、住民たちが真摯(しんし)に話し合う機会になったはずだ。
政府は16年度当初予算案に、交付金の多くを占める「電源立地地域対策交付金」を868億円盛り込んでいる。政府が地元自治体の弱みに付け込んで「原発を支えるシステム」に組み入れ、「支配」する構造はあまりにも強固だ。
高浜原発で事故が起きれば被害が及ぶ京都府や滋賀県は、地元自治体並みの再稼働への同意権を求めたが実現しなかった。交付金などで大きな恩恵がある立地自治体のみに同意権がある現状は、政府による買収行為ともいえるのではないか。
<新産業の育成急げ>