2巡目で発現した甲状腺がん患者(がん疑いを含む)は51人に

2巡目で発現した甲状腺がん患者(がん疑いを含む)は51人に

 福島県の原発事故発生時18歳以下の県民を対象にした甲状腺検査2巡目の本格検査新たに1人が甲状腺がんと診断され、がんと診断されたのは累計16人になりました。
 2巡目検査を受けた約23万人のうち、がんや「がんの疑い」と診断されたのは前回報告(同9月末時点)から12人増えて51人となり、このうち47人は1巡目の先行検査で問題ないと診断されていました。
 
 これについて検討委の星北斗座長は「これまでの知見で判断すれば、現時点で放射線影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示しましが、「これまでの知見」といわれても、これまでは常に頭ごなしに「放射能との関係は考えられない」の一点張りで、最も考慮されるべき要因である「放射能」が、いつも無条件で真っ先に切り捨てらるというのが、福島県県民健康調査検討委員会の見解表明のパターンでした。
 
 それでは第1巡目からわずか1~2年で新たに51人ものがん(またはがん疑い)の患者が発生したのはどう説明するのでしょうか。もしもそれらが放射能以外の要因によるものであるとすると、この大過剰の発生は何なのか説明がつくのでしょうか。
 
 それについての検討委員会の説明は、何と「1巡目検査では見つからなかったがんが2巡目で見つかった」というものでした。要するにこの1~2年間に発現した症状ではなくて、第1巡目に見落としていたのが見つかったという訳です。 そういう論理であれば、この先も延々と見落としの患者が見つかる可能性があります。きっとそれでもしばらくの間はそれでしのげると考えているのでしょう。
 いつもながら一体何を信用してい良いのか分からない検討委員会の発表です。
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甲状腺がん」累計16人に 福島県民健康調査・2巡目検査
福島民友 2016年02月16日
 (福島)県と福島医大は15日、福島市で県民健康調査検討委員会を開き、東京電力福島第1原発事故発生時18歳以下の県民を対象にした甲状腺検査2巡目の本格検査(昨年12月末現在)で新たに1人が甲状腺がんと診断され、がんと診断されたのは累計16人になったと報告した。2巡目検査を受けた約23万人のうち、がんや「がんの疑い」と診断されたのは前回報告(同9月末時点)から12人増えて51人となり、このうち47人は1巡目の先行検査で問題ないと診断されていた。検討委の星北斗座長(県医師会副会長)は「これまでの知見で判断すれば、現時点で放射線影響は考えにくい」と従来と同様の見解を示した。
  
 検査では、事故直後から3年目までの1巡目検査と、2014(平成26)年4月から始まった2巡目検査の結果を比べて放射線影響などを調べる。いずれも1次検査で超音波を使って甲状腺のしこりの大きさなどを調べ、程度の軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定、BとCが血液や細胞を詳しく調べる2次検査に進む。
 2巡目検査は昨年度25市町村、本年度34市町村を対象に実施。がんや「がんの疑い」と診断された51人のうち47人は1巡目でA1、A2と診断され、残る4人はB判定を受けていた。検討委では、1巡目検査では見つからなかったがんが2巡目で見つかった可能性が指摘された。
 
 福島医大によると、51人は事故当時6~18歳で男性21人、女性30人。腫瘍の大きさは5.3~30.1ミリ。このうち29人は、原発事故から4カ月間の外部被ばく線量が推計でき、最大は2.1ミリシーベルトだった。
 また、福島医大は1巡目の検査を受けた約30万人のうち、がんや「がんの疑い」と診断されたのは116人(手術で良性と確認された1人を除く)で、このうち100人ががんと診断されたと説明した。

17- もんじゅの廃炉に3000億円と機構が試算 原発の数倍

 高速増殖原型炉「もんじゅ廃炉費用を日本原研開発機構3000億円と見積もっていることが分かりました。これは通常の原発廃炉費用の数倍に上るということです。
 一般の原発では、見かけの発電コストを上げないために廃炉費用を低く算定していると見られているので、あるいはこれが正解なのかも知れません。
 しかしこれまで同機構のだらしなさを見ているので直ちには信じられず、むしろすべてが国の予算で賄われる組織特有の、どんぶり勘定的な過大見積もりの可能性の方が大きいように思われます。
 
 例えばもう20年近く全く動いていない「もんじゅ」の維持費が年間200億円(1日あたり5,500万円)かかっているとされていますが、そのうち「液化ナトリウム」が固化しなように保温するための電力料金は、僅かに年間12億円(1日当たり330万円)ということです。それでは残りの1日5,200万円は一体何に使われているのでしょうか?
 数十人~数百人を抱えた企業の年間の純利益が5,000万円程度というようなケースはいくらでもあります。それから見ると全く動かない設備に一日当たり5,500万円も延々と掛け続けるというのは、全く夢のような話です。きちんとした査定が行われているとは到底思われません。
    (関係記事)
2015年11月20日  「原子力は高くつく」 漫然と続けていていい筈がない
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もんじゅ 廃炉3000億円 原発の数倍、機構が試算
毎日新聞 2016年2月16日
 原子力規制委員会から運営組織の交代を求められている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構廃炉に約3000億円以上かかると試算していたことが15日、分かった。もんじゅ廃炉費用が明らかになったのは初めてで、通常の原発の数倍に上る。もんじゅにはこれまで1兆円超がつぎこまれ、再稼働する場合も改修費など1000億円超が必要。運転を再開しても廃炉にしても、さらに巨額の費用負担が発生する実態が明らかになった。 

 試算は2012年時点のもの。原子力機構が現在廃炉作業を進めている新型転換炉ふげんと同様の手順と仮定すると、もんじゅ廃炉には約30年間かかるとしている。費用の内訳は解体に約1300億円、使用済み核燃料の取り出しに約200億円、30年間の電気代や人件費などの維持管理費に約1500億円。使用済み燃料の中間貯蔵費用は試算に含まれるが、貯蔵施設の場所が未定のため輸送費は含まれていない。 
 通常の原発廃炉費用は、中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)が2基で約840億円、関西電力美浜1、2号機(福井県)は2基で約680億円と試算されている。もんじゅは、燃料が発する熱を取り出す冷却材にナトリウムを使うため、水を使う一般的な原発に比べて廃炉費用も割高になる。さらにナトリウムを使う原子炉の解体技術は確立されておらず、この研究開発費も別途かかる。もんじゅを巡っては、機器点検漏れなどの不祥事を受け、規制委が昨年11月、新しい運営組織を示すよう文部科学省に勧告。今年夏ごろまでに新組織を示せない場合、抜本的に見直すことも求めた。文科省有識者会合を設置、新たな運営主体を検討している。【斎藤広子】