福島県の原発関連死1368人に
2016年3月7日月曜日
福島県の原発関連死1368人に
福島原発事故で避難した後、病状や体調が悪化して死亡した人を、東京新聞が独自に「原発関連死」として福島県内の市町村に取材したところ、2011年3月11日の発生後から、総数は少なくとも1368人になりました。
昨年3月の調査から1年間で136人増えました。
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東京新聞 2016年3月6日
東京電力福島第一原発事故で避難した後、病状や体調が悪化して死亡した人を、本紙が独自に「原発関連死」として福島県内の市町村に取材したところ、二〇一一年三月十一日の発生後から、総数は少なくとも千三百六十八人になったことが分かった。昨年三月の調査から一年間で百三十六人増えた。事故から五年近い今も約九万九千人の県民が県内外で避難生活を送り被害は拡大を続けている。(原発関連死取材班)
同県内の各市町村は、東日本大震災の直接の犠牲者だけでなく、避難生活の影響による死亡も「震災関連死」と認定し、災害弔慰金(最高五百万円)を支給。各市町村の弔慰金申請資料に「原子力災害の避難中の死亡」などの項目があり、本紙はこれらをもとに原発関連死を集計した。
福島第一原発が立地する大熊、双葉両町などを含む双葉郡は原発被害が大きく、原発関連死は昨年三月十一日と比べ、浪江町が二十一人増の三百八十人、富岡町が四十五人増の三百三十六人、双葉町が十二人増の百四十人となっている。
いわき市は震災関連死者が百三十一人いるが、原発を理由とした死者数を把握していない。南相馬市は本紙の取材に、震災関連死した四百八十五人のうち、この一年間に増えた十六人全員が原発事故による避難者と答えたが、昨年三月以前については、原発避難者かどうかの統計はないという。
震災から五年近くが経過し、震災関連死の申請が認められない例も増加。認定率は今年一月末で76・7%となった。
本紙は一三年三月から定期的に原発関連死を集計している。
<震災関連死と原発関連死> 避難生活での体調悪化など震災の間接要因による死亡を市町村が「震災関連死」と認めれば、最高500万円の災害弔慰金が遺族に支払われる。審査の統一基準はない。死後いつまでに申請しなければならないという決まりはないため、過去1年間に認定された人でも、亡くなったのは数年前というケースも多い。
07- 大震災5年 原発事故原告1万2539人 訴訟全国31件
東京電力福島第1原発事故の避難者らが東電や国を相手取り慰謝料など損害賠償を求める集団訴訟が、18都道府県の20地裁・支部で31件あることが、全国の弁護団への取材で分かった。原告総数は1万2539人で、請求総額は少なくとも1132億円に上る。今後も、裁判外での和解が成立せず訴訟に発展するケースが出てくるとみられる。
地裁別の原告数は福島地裁(2支部含め9件)の7826人が最多で、東京(5件)1535人▽新潟(1件)807人▽山形(同)742人▽札幌(同)256人▽大阪(同)240人−−と続く。99%(約1万2360人)は事故当時、福島県にいた住民だ。避難指示区域からの強制避難者は約3000人、自主避難者らは約9500人で、多くの訴訟で両者が混在している。慰謝料請求は1人1000万円以上のケースが多い。
強制避難者は、不動産などへの賠償や1人月10万円の精神的賠償を東電から受け取ったが「古里や地域コミュニティーを失ったことへの賠償が考慮されていない」などと主張。自主避難者らは、東電からの賠償が1人最大72万円に過ぎないことから「低線量被ばくによる健康被害への不安があり、避難には合理的理由がある」などと訴える。
帰還困難区域の福島県浪江町津島地区の242人は、地区の空間放射線量を事故前に戻すよう要求(福島地裁郡山支部)。同県南相馬市の808人は、局所的に線量が高い特定避難勧奨地点の指定を国が解除したことについて「まだ安全とは言えない」と取り消しを求める(東京地裁)。
原子力損害賠償法は、過失の有無を問わず電力会社が損害を賠償すると定めるが、27件の訴訟で東電に過失があることを明確にするよう求めているのも特徴だ。うち25件は東電への国の指導・監督責任も追及する。原告らは「東電や国の責任があいまいなままでは再び同様の事故が起きかねない」と主張する。