帰還者自身が「結局は消滅する」と 福島県楢葉町
2016年3月9日水曜日
帰還者自身が「結局は消滅する」と 福島県楢葉町
事故から4年半が経った昨年9月、国は空間線量20ミリシーベルト以下/年であれば居住できるとして、全町民が避難していた楢葉町の避難指示を解除しました。しかしそれから半年が経過しても、実際に帰宅した住民は町人口のわずか6%に過ぎず、しかもその大半が60歳を超える人たちでした。
ロイター通信は、帰還者自身が、「町の人口や経済が回復する望みはまずない」、「この地域は結局消滅する」と口にしていると伝えています。この先町が努力してみても事態は変わらないことでしょう。
そもそも居住できないところに帰れということに根本的な無理があります。国も自治体も、この現実に立脚して考え方を根本的に改めて再スタートを切るべきです。
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原発事故から5年、帰還住民が直面する「消えゆく町」
ロイター通信(国内版)2016年3月8日
2011年3月11日の東日本大震災で東京電力福島第1原子力発電所が見舞われた未曾有の事故。流出する放射能からの長期の避難を余儀なくされた住民たちは、事故から5年経った今、かつて夢見た自宅への帰還を「終わりの始まり」と感じている。
福島第1原発の地元市町村の一つで、放射能禍に直撃された双葉郡楢葉町。原発から半径20キロ圏内の警戒区域の端に位置する同町は、全住民が避難した自治体で初めて避難指示が解除された。政府にとって、同町住民の帰還は各避難地域の本格復興に向けたモデルケースとなるはずだった。
だが、そのシナリオは大きく崩れている。実際に帰宅した住民は町人口の6%、わずか459人。そのうち70%近くが60歳を超える人たちだ。
「この地域は結局、消滅するんだから。間違いない。人間がいないんだから」。避難指示が解除された昨年9月、楢葉町に戻った早川篤雄住職(76)は、ポケットに携えたガイガーカウンターをみながら、こうつぶやいた。
<戻らない若い世代>
楢葉町の帰還者の中に若者はほとんどおらず、町の人口や経済が回復する望みはまずないと、帰還した住民は言う。町で唯一の「商店街」と言えるのは、食堂2軒とスーパー、郵便局の入ったプレハブ小屋がある一区画だけ。その食堂も午後3時には閉まる。
東電の新潟限定の原発コマーシャル(CM)避難者ら抗議文提出へ
それに対して県内に3500人ほどいる避難者や新潟市議らは、「避難者への配慮が足りないし、流している東電が安全に配慮しているという内容も実態とかけ離れている」として、15日に、東電に放送中止を求める方針であるということです。
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東京電力が、柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市)の再稼働に向け、防災訓練や安全対策に関する取り組みを紹介する新潟県内限定のテレビCMを流していることに、避難者らが反発を強めている。福島第1原発事故から間もなく5年を迎える中、県内には福島県からの避難者がいまだに3000人以上いる状況で、避難者や新潟市議らは「配慮が足りず、内容も実態とかけ離れている」と指摘。15日には放送中止を求めて東電に抗議する方針で、準備を進めている。【真野敏幸】
「どんな状況にも対応できるよう訓練に全力を注ぎます」。東電が制作した最新の30秒CM「緊急時訓練編」では、柏崎刈羽原発内で防災訓練に取り組む様子が紹介され、最後は職員らのメッセージで結ばれている。
東電は福島第1原発事故後、おわびや節電の呼びかけ以外のCMを自粛していた。だが、昨年4月に新潟事務所を新潟本社に格上げし、柏崎刈羽原発6、7号機の安全審査が進む中、再稼働に向けた広報体制を強化。昨年6月から県内限定でCMを再開した。
CMは県内の民放4局が、1局当たり月80本ほど放送している。これまでに緊急時訓練編を含め5種類のCMが流されており、東電新潟本社の木村公一代表は「安全に向けた取り組みを理解してもらい、県民に安心してもらうためだ」と説明。「避難者のことを考えると申し訳ないところはあり、配慮に欠けるというのもしかりだ。ただ、原発立地県の県民を守るという重要性に鑑みて流している」と理解を求めている。