米にプルトニウム返還へ 331キロ

2016年3月23日水曜日

米にプルトニウム返還へ 331キロ

 日本で原発の研究を開始したころに米国から供与されたプルトニウムを、米国に運ぶための英国輸送船が21日、茨城県東海村にある日本原子力発電の東海港に到着しました
 近年オバマ大統領から返却を要求されたもので、核物質の管理強化を進めるオバマ米政権の方針に沿って、日本プルトニウムを返還することにしたものです。
  ウランは当初から購入できましたがプルトニウムは購入できないので、研究用としてアメリが供与したものです。
 日本はそれによってウランとプルトニウムを用いた臨界実験が可能となり、高速実験炉「常陽」や高速増殖原型炉「もんじゅ」の設計等における実験データを得ることができました。
 ところで今回返却するプルトニウム331キロはプルトニウム原発40~50発分に相当するということです。
 それから見ても、日本が現在国の内外で保有している約48トンのプルトニウム(未精製)が、如何に膨大な量の核兵器に結びつくのかが良くわかります。
 それについて米国が最近警告したことに従って、日本は核燃料サイクルや「もんじゅ」を直ちに中止すべきです
 
※  3月19日 日本の核燃料サイクルに米高官が懸念を示す
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米にプルトニウム返還へ 東海村で331キログラム輸送準備
東京新聞 2016年3月22日
 核物質の管理強化を進めるオバマ米政権の方針に沿って日本が米国への返還に合意した研究用プルトニウムなどの核物質を運ぶとみられる英国の輸送船が二十一日、茨城県東海村にある日本原子力発電の東海港に到着した。 
 
 輸送船は接岸後、クレーンで甲板の扉を開閉するなどの準備作業を進めた。日本原子力研究開発機構原子力機構)の施設に保管されている核物質を積み込んだ後、近く米国に向けて出航するとみられる。
 プルトニウムは三百三十一キロで核兵器四十~五十発分に相当。冷戦期に英米仏が日本に提供し、高速炉臨界実験装置(FCA)で使われた。オバマ政権は安全保障の観点から返還を要求。二〇一四年の第三回核安全保障サミットで合意し安倍晋三首相が返還表明した。合意に基づく返還実施は初めてとなる。
 米国の核監視団体によると、これほどの量のプルトニウム海上輸送されるのは、高速増殖炉もんじゅで使う約一トンをあかつき丸が一九九三年にフランスから日本に運んで以来。
 輸送船は「パシフィック・イグレット」。もう一隻の「パシフィック・ヘロン」と共に英国を一月中旬に出航し、三月四日に日本に到着して神戸港に停泊していた。プルトニウムと一緒に高濃縮ウランも運ぶ予定で、最終処分のために米南部サウスカロライナ州にある米エネルギー省のサバンナリバー核施設に運ばれる。
 日米両政府は、核防護を理由に輸送ルートや到着時期を明らかにしていない。
 三月末からは米首都ワシントンで第四回核安全保障サミットが開かれる予定。オバマ政権は日本からの輸送を国際的な核物質管理の成果としてアピールするとみられる。


プルトニウム輸送船が出航 5月に米国に到着
東京新聞 2016年3月22日
 日本から米国に返還される研究用プルトニウムや高濃縮ウランを積んだ英国の輸送船が22日、茨城県東海村の東海港を出航した。最終処分のため米南部サウスカロライナ州にある米エネルギー省のサバンナリバー核施設に運ばれる予定で、米国への到着は5月ごろの見通し。
 
 各国が保有する核物質がテロなどに悪用されるのを防ぐため、オバマ米政権が進める管理強化策の一環。2014年の核安全保障サミットで日米が返還に合意した。サバンナリバー核施設では各国のプルトニウムを受け入れているが、最終処分方法は明確に決まっていない。(共同)

23- 栃木県北での甲状腺検査に関するシンポジウムが27日に

 現在、児童の甲状腺がんの調査は福島県内に限定されていますが、本来は栃木県北部など少なくとも福島県に隣接する県外地域でも行われるべきです。
 しかしながら国はそうした方向には何の動きも見せません。これについては、かつて福島県民健康調査検討委員会で、県外地区では児童の甲状腺がんの調査は不要なのかがテーマになったときに、ある委員から「放射能は同心円状に広がる。従って遠隔の地域では危険はなくなるので不要」という、まことに珍妙な意見が出されて傍聴席から憤激の声が上がったほどでした。
 
 これまで栃木県北部で民間の甲状腺検査を実施してきた「311『つながる、つたえる、そして未来へ』集い実行委員会」の主催で、27日大田原市で、子どもたちの甲状腺がんをテーマにしたシンポジウムが開かれます。
 
 講師の一人は、疫学的見地から福島県児童の甲状腺がんの高率な発生は放射線被曝によるとする見解を発表している岡山大環境生命科学研究科の津田敏秀教授です
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原発事故 県北での甲状腺検査 立場異なる識者が大田原で討論栃木
東京新聞 2016年3月22日
 東京電力福島第一原発事故の健康影響について考えるシンポジウムが二十七日、本町の市総合文化会館で開かれる。福島県で増加が懸念されている子どもたちの甲状腺がんをテーマに、有識者二人の講演と討論を通して、放射線への理解を深める狙い。
 主催するのは、住民団体「311『つながる、つたえる、そして未来へ』集い実行委員会」。子どもの健康が不安な保護者のため、栃木県北部で民間の甲状腺検査や講演会を実施してきた。
 
 福島県では、放射性物質がたまりやすい甲状腺に異変がないか調べるため、事故当時十八歳以下だった人に、国費で定期検査を保障している。栃木県内にも実施を求める声があるが、事故から丸五年が過ぎても実現していないことから、こうした場が設定された。
 パネリストとして参加するのは、放射線医学が専門で国際医療福祉大クリニック(大田原市)の鈴木元(げん)院長と、疫学を専門とする岡山大大学院環境生命科学研究科の津田敏秀教授
 
 鈴木氏は放射線による健康影響を議論する栃木県の有識者会議で座長を務め、県内は即時に甲状腺検査を行うほど切迫した状況にないとの立場。一方の津田氏は、栃木県などの周辺地域でも福島県並みの検査態勢を敷くべきだとしている
 
 午後一時~四時半。資料代千円。原発問題を積極的に取り上げている非営利のインターネット放送局「OurPlanet-TV(アワープラネット ティービー)」(東京都千代田区)の白石草(はじめ)代表が司会を務める。